第2話 誕生日に届いたカラス



ピーンポーン

私は、玄関のチャイムの音で目が覚めた。


「ん...朝?......」


時計を見ると昼の11時だった。

昨日の不思議な出来事のせいで、すっかり寝過ぎてしまったのだ。


ピーンポーン

「.....誰だろう....はい」


モニターで確認すると宅配業者だった。


「宅急便でーす!」


私は、荷物を受け取った。


「私宛て...?」


送り主は書いていなかった。

私宛てに荷物が送られてくるなんて滅多にない。

玲が嫌がらせで、送ってきたと私は思った。

泳げない私をプールに突き落とすくらいだから爆弾とかもありえそ....。

私は、恐る恐る箱を開けた。

すると、赤色のポシェットが入っていた。


「えっ、、、?何これ?」


特に手紙なども入っていない。

ポシェットを箱から出して持ってみると

少し重みがある。

私は、ポシェットを開けてみた。

すると....


「きゃぁっー!!何...!?またこの光...!!」


赤い光が、私を包み込んだ。

すると、1羽のカラスが目の前に現れた。


「き、、きのうの、、カラス!!」


昨日赤い光の中にいた、カラスが目の前にいる。

私は、何が起こっているのかわからずに腰を抜かして、ボー然としていた。


「お前が、月志摩まゆらだな」


「え....カ..カラスが喋った....。」


不思議なカラスは人間の言葉を話したのだ。


「.......えっと...あなた何者...」


「俺の名前は、ウルだ。

1000年前のレイディリア王国からきた。」


不思議なカラスの話しによると、1000年前の古代のレイディリア王国から現代へ、とある目的のためにやってきたらしい。


「とりあえず...腹が減った。たしか、この世界にはコンビニという食料が山積みになっている宝の山のような場所があったな..」


「宝の山....買うようだけどね...?

ってカラスなんだから、その辺の物適当に食べればいいでしょー!!」

(なんで私、カラスと話してるんだろか...)


「俺はカラスじゃない!!

まぁ、今はカラスの姿になってしまっているが、、、レイディリア王国の王子だ」


私はとりあえず、水とクッキーをカラスに渡した。


「........まぁまぁな味だな」


「文句言わないでよ!カラスのくせに!!

とりあえず、どうして私の前に現れたのか説明して!」


「そう焦るな、今から説明する。

それと、、、カラス、カラスって俺の名前はウルだ。」


ウルは、静かに話し始めた。


「俺は、1000年前のレイディリア王国からこの世界と、王国をダークアビスから守るために時空の鏡を使ってこの世界へやってきた。

ダークアビスは、お前のいるこの世界で、ダークスピネルの欠片をあちこちにばら撒いている。そろそろ不吉なことが起こり始めるだろう、、それを阻止しなければこの世界と、レイディリア王国は、ダークアビスに支配されてしまう。

マリーシャの生まれ変わりである、まゆら

お前の力が必要だ」


「マリーシャの生まれ変わり...??

誰その人?...」


「マリーシャは、レイディリア王国のプリンセスで、俺の恋人だった」


「だった..って今は違うの?」






-------1000年前のレイディリア王国-------



「マリーシャ、話しってなんだ?」


「ウル、あなたにお願いがあるのです。」


「このままでは、王国がダークアビスに支配されてしまいます。

私は、最後の力を使いダークアビスを封印します。」


「最後の力って、、、そんな事したらお前が、、、!!」


「レイディリア王国のプリンセスとしてこの王国を守ることが、私の使命です。」


「マリーシャ.....」


「私がいなくなって、再び王国が危機に陥った時は、これを使って下さい」


「この、ペンダントはお前が大事にしていた物じゃないか!」


「このペンダントには、私の魔力を宿しておきました。

1000年後の遥か未来に、私の力を継ぐ後継者の子がいます。

きっと、このレイディリア王国と未来を救ってくれるでしょう...」




---------------------------------------------------------------


「マリーシャは、自分の命と引き換えにしてダークアビスを封印することに成功した。

だが、何者かによってダークアビスの封印が再び解かれ、マリーシャの持っていたレッドスピネルのエレメントストーンが、ダークアビスの手に渡ってしまったんだ。」


「そのレッドスピネルのエレメントストーンが、ダークスピネルってのに変化してこの世界に散らばってしまったってわけね。」


「そういう事だ。」


「......私、魔力とかないから無理だよ!!」


「大丈夫だ。今は魔力はないが、レッドスピネルの欠片を集めれば魔力が戻る。」


「戻る...??」


「まゆら、お前には本来、魔力があったはずだ。何らかの原因で、魔力が消されてしまっているんだ。」


「へぇー.....」


ウルに一通り説明されたけど、私はあんまりピンときていなかった。

14歳の誕生日にカラスが届いて、しかも人間の言葉を話して、魔力だとか、なんだとか非現実的な事を言いだして。

最悪な誕生日だと思った。

私にとっては、この出来事が不吉な事だ。














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