第560話 容赦なしの修行

 ああ、見慣れまくった天井が見えるぞ……


 また気絶してしまったみたいだな。


「まだまだざますね、ヒモノ。もっと精進するざます」


「気楽に言いやがって」


「気楽な立場だから当然ざます!」


「腹立たしいなぁ」



「そういえば、他のみんなは?」


「今日は全滅ざますよ。近くで寝ているざます」


「そうか。あれでは無理もないか」



 修行開始から一年と一か月後。


 ようやく弾に慣れてきたぞ。


「今日の修行は終了ですマッス! プールから上がってくださいマッス!」


 おっ、やった!

 今日は気絶しなかったぞ!


 成長しているなぁ。



 修行開始から一年と二か月後。


「今日の修行は終了ですマッス!」


 よしよし、今日も気絶しなかったぞ!


「ヒモノさん、今日は気絶しなかったのです!」


「あーしもッスよ!」

「わしさんもじゃ~」

「ほぅほぅ、ほ~さんもだよ」


「みんな成長しているみたいだな」


「素晴らしいでげすぜ!」


「そうだな!」


「ええ、まったくでございますね! では、ヒモノさん、記念に生殖活動をしましょうでございます!!」


「するわけないだろ!? お前は少しくらい成長しろ!?」


「不潔すぎますね! 洗浄します!!」


「ゴージャスビューティフル私様能力セットもどうぞでござんす!!」


「「ぐああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」


 ああ、なんて進歩のないやり取りなんだ……



 次の日。


「おはようございますマッス!」


「おはようございます」


「では、今日の修行を始めますマッス! 皆さん、プールに入ってくださいマッス!」


 俺たちはプールに入った。


「それでは、修行開始マッス!」


 よし、今日もがんばろう!



 おっ、また大量に出て来たな!


「ぴょこぴょこペコペコどすどすピャコピャコぺこんぺこんドカンドカンちょこちょこ歩きながら、チョコを食べているような感じを出してみるグモッ」

「このカレーは辛いような気がする甘口でうめーグモッ。隠し味にうめーカレーが入っているからグモッ。ワンダフルエクセレントだグモッ」

「超すごいチート能力満載の『キャクヨームちーとラクダ』という生物に転生したら、なんか生きるのがすごく楽だった気がするグモッ」

「カッターが安いなグモッ。買おうかなグモッ? いやいや、別にいらないような気がするグモッ。でも、安いグモッ。いや、無駄遣いは良くないグモッ。でもでも、やっぱり買ったーグモッ」


 青い塊がいっせいにしゃべり出した。


 ん?

 ギャグの気配を感じなかったぞ。


 誰もダジャレを言ってなかったのか?


 珍しいな。


 まあ、どうでもいいか。


 灰汁あくを倒してしまおう。



 青い塊が消えた。


 ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!


 な、なんだと!?


 灰汁あくは全部倒したのに、体に電気が流れただと!?


 どういうことなんだ!?


 ギャグ雲がどこかにいたのか!?



 あっ、また出て来たな。


「これは、こってりドップリもっさりペッサリぽっさりバッサリあっさりボボッサリした味のアサリだなグモッ」

「掛け布団と敷布団と座布団と毛布とタオルケットは吹っ飛ばなかったグモッ。でも、布団は吹っ飛んだグモッ」

「亀にまれたら、み返してやろうと思っていたけど、あまりにも臭くてめなかったグモッ。まあ、どうでもいいグモッ」

「あ、あの虫は伝説の『チョースゴイムッシー』なのではないかグモッ!? いや、違ったグモッ。なら、あいつに用はないグモッ。無視するグモッ」


 また青い塊がいっせいにしゃべり出した。


 えっ!?

 またギャグの気配を感じなかったぞ!?


 でも、誰かが『布団は吹っ飛んだ』って言ったよな!?


 どういうことなんだ!?


 まさかギャグの気配を感じなくなってしまったのか!?



 また見慣れまくった天井が見えるぞ……


 また気絶してしまったようだな……


 なんで急にギャグの気配を感じなくなってしまったんだ?


「それはあいつらが『ギャグの気配を隠蔽する能力』を身に付けたからざます!」


「なんだそれは!?」


「名前通り、ギャグの気配を隠す特殊能力ざます!」


「ええ…… そんなぁ…… どうやって区別すれば良いんだよ?」


「完全にギャグの気配を隠せているわけではないみたいざます! 微弱なギャグの気配を感知して攻撃するざます!」


「ええ…… そんなことできるのだろうか?」


「やるしかないざます!」


「はいはい、分かったよ!」



 修行開始から一年と半年後。


 ようやくギャグの気配が分かるようになってきたな。


「はい、今日の修行は、これで終了ですマッス!」


 よし、今日は気絶しなかったぞ!


 素晴らしい!


 では、ゆっくり休むとするか。



 次の日。


「はい、皆さん、おはようございますマッス!」


「おはようございます」


「今日から最後の仕上げをしますマッス!」


「なんですか、それは?」


「今日からは、ギャグ雲とギャグじゃない雲も弾を撃ってくるようになりますマッス! もちろん、当たると電気が流れますマッス!」


 ええええええええええっ!?


「それでは、プールに入ってくださいマッス! ……入りましたねマッス! では、修行開始マッス!!」



 むっ、また大量に出て来たぞ!


 うげっ!?

 全員いっせいに弾を撃ってきた!?


 こんな四方八方から大量に撃たれたら、さばき切れないっての!?


 ぐあああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!

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