第561話 金の聖剣

「では、これで今回の修行は終了になりますマッス! 皆さん、お疲れ様でしたマッス!」


「みな、強くなったようじゃな。よくがんばったぞ」


「ありがとうございました! お世話になりました!」


 やっと終わったか。


 長かった、つらかった……


 気絶しまくったなぁ……


 ああ、本当につらかった……



 ファミリールームを出ると、筋肉の塊Tシャツの職員がいた。


「皆様、お疲れ様でしたマセ。剣の方をどうぞマセ」


 筋肉の塊Tシャツの職員が、両手を差し出してきた。


 そこには、長さ一二〇センチくらいの金色の馬用のむちが載せられていた。


「えっ!? これが聖剣ですか!?」


「はい、その通りですマセ」


 何をやったら、こうなるんだ!?


 ちょっと聞いてみるか!


「久しぶりだな、聖剣。ずいぶんとゴージャスな感じになったな」


「……………………」


「しゃべらないな」


「どうやら気絶しているようですマセ」


「やはり過酷な修行をしていたのかとげぇ?」


「はい、毎日職員と『マタケットゥー』をしていたそうですマセ」


「なんですか、それは?」


「剣の方を股に挟んで、相手と戦うのですマセ」


「そ、そうなんですか……」


 なんじゃそりゃぁっ!?


 あっ!?

 だから、聖剣は金色になったのか!?


「聖剣にとっては、すさまじくつらい修行ッスね」


「ああ、そうだな」


 気絶して当然だな。



「それと、こちらもどうぞマセ」


 筋肉の塊Tシャツの職員が、馬の顔のような像を二体差し出してきた。


 大きさは、大き目のリンゴくらい。

 色は金。


「これはなんですか?」


「剣の方から出現したそうですマセ。おそらく特殊能力でしょうマセ」


「そうなんですか」


 マタケットゥーをしたら、これが出たのか。


 ということは、これはアレなのだろうか?


「とりあえず、これは受け取っておこうとげぇ」


「そうだな」


 ステーさんが聖剣と馬のような像を受け取った。



「それでは、我々はこれで失礼します。二年間、お世話になりました」


「またのお越しをお待ちしておりますマセ」


 筋肉の修行場を出た。



「ああ~、久しぶりの外でヤンス!」


「気持ち良いッスわ!」


「ええ、そうでございますね! では、ここはさらに気持ち良い……」

「言わせません! 洗浄します!!」


「豪華絢爛私様能力セットもどうぞでござんす!!」


「「ぬわあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」



「ああ、疲れたでナンス。ヒモノ、宿に行こうでナンス」


「金がないから行っても意味ないぞ」


「なら、今すぐに稼いできてくださいよでナス~」


「自分でやれ」


「むっ、こ、これはでナンス!?」


「どうしたんだ?」


「私の鍛え抜かれた『宿力やどりょく』が、金目のものを発見したみたいでナンス!」


「なんだよ、その宿力やどりょくって?」


「私が適当に考えたステータスでナンス!」


「妙なものを作るな!」


「うっ!?」


「ステーさん、どうしたんだ!?」


「その宿力やどりょくというものが、隠しステータスとして出現したとげぇ」


「ワタシのところにも出ましたキュ~」

「私にも出ましたピッ」

「私のところにもですニュ」


 他のみんなにも出たそうだ。


「ええっ!? なんで本当に出て来るんだよ!?」


「不明だとげぇ」


「それはどんなステータスなのじゃ~?」


「名前通り、宿に関するステータスだとげぇ。高いと良い宿を探せたり、宿代を稼げそうなものを察知できるようだとげぇ」


「そうなのか」


 訳の分からんものだなぁ。


「ステータス令嬢もいるぞとげぇ」


「そうか。機会があったら出してみよう」


 そんなものがあるかは分からないけどな。



「ヒモノ、早く拾いに行こうでナンス!」


「本当にあるのか?」


「行ってみれば分かるでナンス! 早く行こうでナンス!」


「何を言っているのであるか! すぐに悪を倒しに行くのである!」


「ええ~、修行で疲れたでナンス! 長期間休もうでナンス!」


「すぐに行くのである!」


「まあまあ、落ち着いてくれ、ケイカさん」


「ずっと修行していたのだから、少しは休んだ方が良いわよッピ」


「それに、聖剣が起きないしなとげぇ」


「聖剣がいないと、戦力が低下するわよニャ」


「分身がいなければ、大連旋風だいれんせんぷうが使えないですだぜ」


「これは休むしかないでヤンス」


「むっ、そういうことなら仕方ないのである。少し休息を取るのである」


「ああ、そうしよう。では、拾いに行くか」


 俺たちは鳥類になり、飛び立った。



 リカーヒキラキラ大陸の海岸にやって来た。


 そこには、木製に見える宝箱がふたつ置いてあった。


「あれでナンス! あれに金目のものが入っているでナンス!!」


「あれは開けても大丈夫か?」


「はい、問題ないのです」


「じゃあ、開けてみるか」



 中には、黒いピーナッツのようなものが大量に入っていた。


「これは『闇の種』ですわペカッ!」


「なんだそれは?」


「見ての通りの黒い種ですわペカッ」


「光の種みたいに、美味しいものが出てきたりしないのキュ?」


「発芽したものは美味しくありませんが、ったものは美味しいですわペカッ」


「なら、食べるでゴザル!」


「ちょっと待ってくださいでナス~! それを売って、宿に泊まるのではないのですかでナス~!?」


「闇の種は、たいした値段は付きませんわよペカッ」


「なら、食べるキュ!」


「では、料理しましょうか」


 リリィさんが料理を始めた。


「できましたよ」


「できるの早いな」


「修行の成果でしょうかね?」


「そうなのか」


 った闇の種を食べてみた。


 ピーナッツみたいで、なかなか美味しかった。

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