第559話 ギャグの気配!?

「う…… こ、ここは?」


「ヒモノさん、気が付きましたか? 大丈夫なのですか?」


「チカ? 俺は何を?」


「修行中に気絶してしまったのです。その後、神の力でプールサイドのビーチチェアに寝かされたのです」


「ああ、そういうことだったのか」


「今日の修行はおしまいなのです。体が動くようになったら、着替えて休むのです」


「分かったよ」



「他のみんなは?」


「皆さんも気絶して、ビーチチェアに寝かされているのです。わたくしも気絶して、先程気が付いたところなのです」


「そうだったのか」


 今回は全滅か。


 まあ、あれでは無理もないけどな。



「まだまだ未熟ざますね、ヒモノ」


「成熟していたとしても、あれをどうにかできるとは思えないぞ」


「そんなことはないざます! 超一流のエンターテイナーなら、ギャグの気配を感じて、的確なツッコミを入れられるざます!!」


「ギャグの気配!? なんだよ、それは!?」


「言葉通りのものざます! ヒモノも早くそれを感じられるようになるざます!」


 ええ……

 そんなの本当にあるのかよ……



 修行開始から一か月後。


 うっ……

 ここは……


 ああ、今日もまた気絶してしまったのか……


 何度もやっているのに、成果が出ているような気がしないなぁ……


 はぁ……


「ヒモノ、修行の成果は出てきているざますよ!」


「そうなのか?」


「そうざますよ! 動きが良くなっているざます! 明日もがんばるざます!!」


「ああ、そうだな。ありがとう、ユモア」



 修行開始から三か月後。


 なんだこの感覚は?


「布団とは寝具であるグモッ。断じて、吹っ飛ぶものでもなければ、と豚を一緒に煮込んだものでもないグモッ」

「超ドスケベ色情魔ド変態スケベ浮気者っぽい顔をした変態浮気者お兄さんっぽい何かがいるグモッ。うわっ、きもっグモッ」

「アルミ缶の上にあるように見せかけつつ、下にあるように見せかけながら、横に置いてあるみたらし団子グモッ」

「シュレーゲルアオガエル君とジャワトビガエル君とデニスアオガエル君は帰って行ったグモッ。名前の分からんカエルの私も帰るとしようかグモッ」


 ほとんど聞き取れなかったのに、ダジャレを言ったヤツが、なんとなく分かるぞ。


 あのドスケベと言ったヤツとカエルと言ったヤツが、ダジャレを言った気がする。


 これがギャグの気配なのか?


 まあ、いい、攻撃しよう。


 ハリセンで殴った。


 青い塊は消えた。


 電気は流れてこない。

 どうやら正解だったようだな。



 あっ、また出て来た。


「そこの草むらのあたりにいるヘビは人間に比べて体重は軽いけど、なかなかにヘヴィなヘビ生を送っているんだぜ、ベイビーグモッ」

「砂糖と味噌みそと塩と醤油しょうゆとカレー粉と粉チーズと抹茶と緑茶とチョコレートが大量にあまっちゃったグモッ。誰か食べてグモッ」

「今日の天気は、晴れのような雨のような曇りのような雪のようなヒョウのような晴天のような雨のようなやりみたいグモッ」

「塩をなめている気分で、砂糖をなめたら甘かったグモッ。幸福だったけど、太ったグモッ。ああ、やれやれやれやれやれやれだぜグモッ」


 今度は草むらと言ったヤツと調味料を大量に言ったヤツが、ダジャレを言ったみたいだな。


 ハリセンで殴った。


 青い塊は消えた。


 電気は流れてこない。

 これも正解だったようだ。


 俺はギャグの気配を感じ取れるようになってきたのかな?


 おっ、次が出て来た。


 まあ、なんであれ、がんばるとしようか。



「今日の修行は終了ですマッス! プールから上がってくださいマッス!」


 えっ、終わり!?


 おおっ!!

 今日は気絶しなかったぞ!!


 やった!!!


「おめでとうざます、ヒモノ!」


「ありがとう、ユモア!!」


「よくぞ、やり切った。成長しているようじゃな」


「ナーン・コォツグーシ様、ありがとうございます!」


「明日からは、もう一段階難しくするのじゃ」


「えええええええええええええええええええええええええええええっ!?」


 まだ難しくできるの!?


 次の日は当然のごとく気絶させられてしまった。



 修行開始から半年後。


「今日の修行は終了ですマッス! お疲れ様でしたマッス!」


「お疲れ様でした」


「今日は気絶しなかったのです!」


「最近は気絶しない日が増えてるッスよ!」


「成長しているでゴザル!」


「めでたいことでげすぜ!」


「そうだな」


 みんなもギャグの気配を感じ取れるようになってきたのだろうか?


「では、ヒモノさん、さらにめでたくなることをしましょうでございます!!」


「また不潔な話をしていますね! 洗浄します!!」


「ファンタスティック私様能力セットもくらうでござんす!!」


「「あああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」



 修行開始から一年後。


「皆さん、だいぶ慣れたようですので、今日から新しいルールを追加しますマッス!」


 えっ!?


「まずは、これをどうぞマッス!」


 アーカミさんから丸い盾のようなものを二枚受け取った。


「今日から灰汁あくが、このような弾を撃って攻撃してきますマッス!」


 アーカミさんの近くに出現した灰汁あくが、直径二センチくらいの白い球体を飛ばした。


 弾速は、かなり速いな。


「これが体に当たると電気が流れますマッス! 盾に当たった場合は流れませんマッス! うまく防いでくださいマッス!」


 今度は防御もしなければならないのか。


 面倒だな。



「追加ルールは以上ですマッス! 何か質問はありますかマッス!?」


「その弾を武器で防いでも良いのですか?」


「はい、構いませんマッス! その場合も電気は流れませんマッス!」


「分かりましたよ」



「質問は以上みたいですねマッス! それでは、盾を両腕に装着して、プールに入ってくださいマッス!」


 言われた通りにした。


「準備できましたねマッス! では、修行開始マッス!!」


 よし、行くか!


 俺はプールの中を走り始めた。



 おっ、また白い塊と青い塊が大量に出てきた。


 うげっ!?

 弾をいっせいに発射しやがった!?


 こんなのどうすればいいんだよ!?


 ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る