第108話 こいつらのミックスジュースか

 チョ・コォターイッヤ・キが三六匹、タ・イィターコ・ヤァキが三四匹釣れた。


 釣れすぎだろ!?


 コロモの釣り竿すごすぎだな!



「ただいまキュ!」


「戻ったでゴザル」


「おかえり、なんかあったか?」


「いろいろ見つけたキュ!」


 キュキュが頭から収穫物を出した。


 さまざまな野草、キノコ、木の実がある。


 本当にいろいろ採ってきたんだな。


 って、このキノコはセイケ・ンーキィノォコじゃないか!?


 こいつは、ここにも生えているのかよ!?


「このふたつの実は甘かったでゴザル」


 プリーディさんからふたつの木の実を受け取った。


 毒々しい紫色のバナナのような実と、真っ青なリンゴのような実だ。


「その長い実は『クッタァ・ラソォ・クーシ』ですねミャン。丸い実は『サーン・ズゥノカ・ワチョッコ・ウービン』ですミャン。どちらもとても美味しいですよミャン」


 食ったら即死!?

 三途さんずの川直行便!?


 とんでもない名前だな!?


「これも甘かったキュ」


 キュキュから黒、赤、黄のマダラ模様のヤシの実のようなものを受け取った。


「それは『ジワジ・ワクール・シィンデェ・シヌー』ですミャン。それも美味しいですよミャン」


 じわじわ苦しんで死ぬ!?


 こっちもひどいな!?


「これでミックスジュースが作れるでゴザル!」


「ああ、そうだな。ふたりとも、ありがとう」


 ものすごく死にそうなミックスジュースが完成しそうだな。



「なんとか飛べるようになったわミジュ」


「これでイナミルも立派な鳥類ッス!」


「ふたりとも、お疲れさん」


 これでエーセ・ミロコに行けるな。



「では、料理します」


「頼むよ、リリィさん」


 リリィさんが料理を始めた。



「完成しましたよ」


 リリィさんが皿を調理台の上に並べた。


 そこには焼いた魚の切り身のようなものと、野菜のスープと、適度な大きさに切って皮をむいた果物が載せられていた。


「リリィお姉さん、これは何キュ?」


「チョ・コォターイッヤ・キとタ・イィターコ・ヤァキの焼き魚、魚のアラとキノコと野草のスープ、果物を切ったものです」


 外見は長靴でも、中身は魚なんだな。



 では、食べてみるか。


 いただきます。


 チョ・コォターイッヤ・キを食べてみた。


 ソースとマヨネーズがかかったお好み焼きみたいな味だな。


 チョコたい焼きなのに。


 タ・イィターコ・ヤァキも食べてみた。


 こっちもソースとマヨネーズがかかったお好み焼きみたいな味だな。


 魚のアラのスープも同じような味がした。


 なんでこんな味なのだろうか?


 生命の神秘?



 果物も食べてみようか。


 クッタァ・ラソォ・クーシを食べてみた。


 甘っ!?

 なんだこれは!?


 カスタードクリームみたいな味と香りがする!?


 食感はバナナだな。


 他のものも食べてみた。


 サーン・ズゥノカ・ワチョッコ・ウービンは生クリーム、ジワジ・ワクール・シィンデェ・シヌーはハチミツの味がした。


 食感は両方とも、シャリシャリとしているリンゴみたいな感じだな。


 この三つのミックスジュースか……


 すさまじい甘さになりそうだな。



 食事を終えると、暗くなってきた。


 今日はここまでにしておくか。


 テントを張って、洗浄してもらい、就寝した。



 次の日。


 では、ピヌー・ゼミゼ大陸に向かうとするか。


 俺たちは飛び立った。



「ヒモノさん、昨日の化け物が海を走っているようなのです」


 チカさんが海面を指差しながら、そう言った。


 そこには、イール・カオジ・サーンを追いかけている化け物がいた。


「あいつは何をやっているのだろうか?」


「多分、海の動物を食べようとしているのでしょうねミジュ」


「そうなのか。まあ、今は放っておこうか。さあ、先を急ごう」



 ピヌー・ゼミゼ大陸に着いた。


 周囲の様子は他の大陸とあまり変わらないな。


「ヒモノ、案内するわミジュ。こっちよミジュ」


「分かったよ」


 イナミルの後を追った。



「あそこよミジュ」


 イナミルが地上を指差しながら、そう言った。


 そこには和風の大きな城と、それを取り囲んでいる日本家屋の大きな町があった。


 なんであんな和風なんだ?


 日本人がいるのか?


「チカさん、あそこはなぜあんな建築様式なんだ? あれは日本人が造ったのか?」


「いいえ、違うのです。偶然デザインが似てしまっただけなのです」


「そうなのか。地球に帰れそうなところはないか?」


「なさそうなのです」


「そうか……」


 パーニズ・ズマには、地球に帰る手段はなさそうだな。



「チカさん、このあたりにアアアアアアアアはいるのか?」


「ここにもいないようなのです」


 ここもか。


 もしかして、アアアアアアアアは全部あの化け物に取り込まれているのか?


 あいつをなんとかしないと修行ができないのかもしれないな。



「ここはエーセ・ミロコ王国の王都の『トーミロコ』ですよねミャン?」


「そうよミジュ」


 ほう、王都だったのか。


 道理で大きいわけだな。



「それじゃあ、中に入りましょうミジュ」


 イナミルが地上に下りて行った。


 俺たちもそれを追った。


 あれ?

 城に向かっているのか?


「もしかして、城を拠点にしているのか?」


「そうよミジュ」


「乗っ取ったわけか?」


「……ええ、そうよミジュ」


 過激だなぁ。



 城の中に入った。


 内部も日本の城みたいだな。


「ここに置いてあるわミジュ」


 イナミルが部屋に案内してくれた。


 そこには、無色透明のガラスの板のようなものが大量に置いてあった。


「これがすべてミックスジュースにされてしまったステータスウィンドウか。何枚あるんだ?」


「何万という単位であるんじゃないのミジュ?」


 すさまじい数だな。


 これをミックスジュースに漬ければ良いんだな。


 よし、やってみるか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る