第107話 ステータスウィンドウミックスジュース漬け

「もしかして、あの化け物を元の生物に戻す手段があるのかな?」


「その可能性もありそうねッピ」


「イナミル、どうやって元に戻すんだ?」


「そんなの知らないわよミジュ。ミックスジュースソルジャーを元に戻したことなんてないからねミジュ」


「そうなのか」



「そういえば、ミックスジュースソルジャーって、どうやって作っているんだ?」


「アタシと他のヤツのステータスウィンドウを、水にけてかき混ぜるのよミジュ。そのまましばらくかき混ぜ続けていると、水に色が付くのミジュ」


「ステータスウィンドウから何かが溶け出ているのか?」


「そうみたいねミジュ」


「何色になるんだ?」


「個体ごとに違うわミジュ」


「ほう、そうなのか」


「後は、その水を飲み干すと完成するのよミジュ」


「イナミルではない方の、ステータスウィンドウの持ち主の体がミックスジュースソルジャーに変化するのか?」


「その通りよミジュ」


 ステータスブレンドティーと、だいたい同じなんだな。



「能力を使用し終えた後のステータスウィンドウは、どうなったんだ?」


「透明になっていたわねミジュ」


「消えずに残っているのか?」


「ええ、そうよミジュ」


「もしかして、それに何かをすれば良いのか?」


「可能性はありそうねッピ」


「ステータスウィンドウをミックスジュースに漬け込むとか?」


「そんな単純なものなのミジュ?」


「さあ? どうなんだろうな? 試したことはあるのか?」


「ないわねミジュ」


「チカさん、この案をどう思う?」


「良いような悪いような感じなのです」


「なんとも微妙だな。まあ、いいか。やってみよう」


「ヒモノ、ミックスジュースはどうするのニャ? 作るのニャ?」


「そうだなぁ。能力で作ったものと似たような味にすれば良いんじゃないか? イナミル、ミックスジュースはどんな味だった?」


「甘かったことくらいしか覚えてないわミジュ」


「なら、甘いもので作ってみるか」


「甘いものでございますか。ならば、雄と雌の……」

「言わせません! 洗浄します!!」


「あああああああああああああっ!!!」


 セイカさんが洗浄された。



「ところで、ステータスウィンドウはどこにあるんだ?」


「『エーセ・ミロコ』にあるアタシの拠点よミジュ」


「エーセ・ミロコ?」


「地図の南東に位置する『ピヌー・ゼミゼ大陸』にある王国の名前ですミャン」


「そうなのですか。では、そこに行こうか。イナミル、案内してくれ」


「その前に飛ぶ特訓ッスね」


「ああ、そうだったな。では、頼むよ、トーリさん」


「任せるッス! イナミルを立派な鳥類にしてみせるッスよ!」


「えっ、アタシも飛べるようにならなきゃダメなのミジュ!?」


「また俺にしがみ付いて飛ぶ気だったのか!?」


「そうよミジュ!」


「勘弁してくれよ。飛びにくいんだぞ」


「なんと厚かましいヤツでナンス! ヒモノには私がしがみ付くから、自力で飛ぶでナンス!」


「ヒモノさん、私もよろしくお願いしますねでナス~」


「お前らも自分で飛べ!」


「ヒモノのケチでナンス!」

「ヒモノさんはケチですねでナス~」


「やかましい!」



「では、特訓を始めるッス! さあ、気合と根性と勇気と熱血と闘魂と情熱を込めて、羽ばたくッス!」


「どういうことミジュ!?」


 イナミルが特訓を開始した。



「腹が減ってきたでゴザル。ちょっとその辺で食べられるものを探してくるでゴザル」


「わたしも行って来るキュ!」


「分かったよ。なら、俺は釣りをしようかな。キュキュ、竿を出してくれ」


「分かったキュ」


 キュキュから竿を受け取った。


「ああ、ありがとう」


「それじゃあ、行って来るでゴザル」


「気を付けてな」


 プリーディさんたちが近くにある森に向かって行った。



 さて、俺も釣りをするか。


 俺は海に近付き、ルアーを投入した。


 あれ?

 これは引いているみたいだな。


 もうかかったのかよ。


 俺は糸を巻き上げた。



 な、なんだこれは!?


 全長一メートルくらいの黒い右足の長靴が釣り上がった。


 デカい長靴だな。


 誰が履くんだ?


「ヒモノさん、大物が釣れましたねミャン。それは『チョ・コォターイッヤ・キ』という魚で、とても美味しいですよミャン」


 チョコタイヤキ!?


 どう見ても、長靴なのに魚なのか!?


「そうなんですか。なら、これはリリィさんに料理してもらいましょうか」


 大物だけど、一匹じゃ足りないな。


 もっと釣るか。


 俺はルアーを投入した。


 おっ、また引いているぞ。


 このルアーは、本当によく釣れるな。


 俺は糸を巻き上げた。



 今度は、全長一メートルくらいの白い左足の長靴が釣り上がった。


「それは『タ・イィターコ・ヤァキ』という魚ですねミャン。こちらもとても美味しいですよミャン」


 タイタコヤキ?


 たい焼きなのか、タコ焼きなのか、よく分からん名前だな。


 まあ、見た目は長靴だけど。 


「こんな大物を二匹も釣り上げるなんて、すごいですねミャン。ヒモノさんは釣りがお上手なんですねミャン」


「この竿とルアーがすごいだけですよ」


「そうなのですかミャン? 私もやってみたいですミャン」


「良いですよ。どうぞ」


 リザァカさんに竿を渡した。


「ありがとうございますミャン」


 リザァカさんがルアーを投入した。


「あっ、引いているようですねミャン」


 またすぐにかかったのか!?


 このルアーには特殊能力でもあるのか!?


「釣れましたよミャン!」


「お見事ですね!」


 リザァカさんがチョ・コォターイッヤ・キを釣り上げた。


 満面の笑みがかわいい。


「ちょっとヒモノさん、リザァカさんと仲良くしすぎじゃないのッピ!」

「ヒモノ、正妻の妾をもっと構いなさいよニャ!」

「ヒモノさん、私も釣りをするでヤンス! やり方を教えるでヤンス!」

「ヒモノさん、私もやってみたいッスわ! 手取り足取り教えてねッスわ!」

「お姉さんもやってみたいわ!」

「社長、釣り竿を五本作っておきましたよ」

「そうなのか。では、私もやってみよう」

「わたくしもやってみるのです」

「私もやってみるであります!」


 みんなで釣りを楽しんだ。

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