第104話 アはいくつ?
「アアアアアアアですか!?」
「いえ、アアアアアアアアでございますマセ」
「アアアアアアアアアですか!?」
「アアアアアアアアでございますマセ」
「アがいくつあるのですか!?」
「八つ並んでおりますマセ」
メ、メンドクセェ!?
なんでこんなややこしい名前なんだ!?
いったい誰が命名したんだよっ!?
責任取れ!
もっと良いものに改名してやれよっ!?
「それはどのようなミョガガベなのですか?」
「頭に角がある人型のミョガガベですマセ」
角がある人型か……
鬼や悪魔みたいな感じなのかな?
「どこにいるのですか?」
「パーニズ・ズマの陸上なら、どこにでもいますマセ」
生息範囲が広いみたいだな。
「修行期間ですが、今回は半年かかるそうですマセ」
「分かりました」
今回も結構かかるなぁ。
また帰還が遅れるな。
まあ、仕方ないか。
「では、アアアアアアアアを探しに行って来ます」
「はい、お気を付けてマセ」
俺たちは筋肉の修行場を出た。
俺たちは聖剣を入れて四一名いるから、全員修行するにはアアアアアアアアを二〇五体狩らなければいけないのか。
多すぎるだろ……
いや、待てよ。
修行をするのは俺だけで良くないか?
他のみんなはどこかで待っていてもらおうか?
あまり狩れなかったら、そうしようかな。
まあ、とりあえず、やってみようか。
「では、始めようか。チカさん、アアアアアアアアの居場所は分かるか?」
「どうやらこのあたりにはいないようなのです」
「そうなのか」
陸上ならどこにでもいるんじゃなかったのか?
まあ、偶然そうなることもあるのかな?
「ところで、地球に帰れそうな場所はありそうか?」
「いいえ、なさそうなのです」
「そうか」
ここもハズレか。
「では、移動しよう。どこに向かおうか?」
「ヒモノさん、私、地図を持っていますよミャン。それを見ながら決めましょうミャン」
リザァカさんが地図を広げた。
ほう、これがパーニズ・ズマなのか。
北東、北西、南東、南西に大陸がある。
俺たちが来た場所は北極にあるようだ。
他は海みたいだ。
「今、私たちがいるのは、この『ポ・ナジーモジ大陸』の中央あたりですミャン」
リザァカさんが北西の大陸を指差した。
「へぇ、そうなんですか」
「ヒモノさん、どこに行きますかミャン?」
「そうですね。南の方が近そうですから、そこに行ってみましょうか」
「分かりましたミャン」
俺たちは飛び立った。
「変でゴザル」
「何がだ、プリーディさん?」
「食べられそうな動物が、まったく見当たらないでゴザル」
「そうなのか?」
「それはおそらく、ティーソルジャーにされてしまったからでしょうミャン」
動物を片っ端から変えているというのか!?
もしかして、アアアアアアアアもなのだろうか!?
「ひどいキュ!」
「許せないでゴザル!」
「ええ、そうですねミャン! ひどすぎますよねミャン!」
リザァカさん、そのふたりは肉が食えなくて、文句を言っているだけだと思うぞ。
ん?
そういえば、植物は残っているな。
ということは、動物にしか効かないのか?
南西の大陸にやって来た。
下にはキレイな青い海と白い砂浜がある。
奥の方には、山や森が見える。
「ここが『プーネゾム・ゾ大陸』ですよミャン」
「そうなんですか。チカさん、ここにアアアアアアアアはいるのか?」
「ここにもいないようなのです」
「ここもダメなのか」
「もしかしたら、みんな『合わせ出汁ソルジャー』に変えられてしまったのかもしれませんミャン」
合わせ出汁ソルジャー!?
「なんですか、それは!?」
「『ワーセア・トウーダ』という者の『ステータス合わせ出汁』という特殊能力で作った兵士ですミャン」
「それってステータスブレンドティーと、どう違うのですか?」
「でき上がる者と能力名が違うだけらしいですミャン」
「そうなんですか。では、合わせ出汁ソルジャーとティーソルジャーは、どう違うのですか?」
「姿が違うだけですねミャン。他の特徴は同じですミャン」
「どんな姿なんですか?」
「金色の液体が入っている透明な容器に、人間の手足が生えた化け物ですミャン」
確かに化け物っぽいな。
「むっ、ヒモノよ、悪である!」
「えっ、いきなりどうしたんだ、ケイカさん?」
「今、巨悪が現れたのである! 退治しなければいけないのである!」
「そうだな! 行くぞ、みんな!」
セレンさんが無言でぬるま湯をぶっかけてきた。
「洗浄している場合ではないのである! 悪を滅ぼさなくてはならないのである!」
「なら、いちいち思考誘導をするな!?」
「我は思考誘導能力を使用した覚えはないのである!」
「なら、さっきのはなんなんだよっ!?」
「勝手にヒモノが、我の影響を受けただけなのである!」
「なんだそれは!? 俺が悪いのか!?」
「ヒモノさん、どうやらケイカさんは、無意識に思考誘導能力を使っているようなのです」
「ええ…… 自覚がないのかよ……」
そんな有様では、注意しても直らないのかもしれないな。
面倒だなぁ。
「ヒモノよ、くだらないことでもめている暇はないのである! さあ、悪を倒しに行くのである!」
「ああ、そうだな! みんな、行くぞ!!」
またセレンさんが無言でぬるま湯をぶっかけてきた。
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