第103話 パーニズ・ズマ

 では、出発しようか。


 俺たちは飛び立った。


「飛んでいる最中は邪魔しないでくれよ」


「事故を起こさせるつもりはないのである」


「さすがにそれはしないでげすぜ」


「いえ、空での生殖活動も、また一興でございますよ?」


「無茶を言うな!? 普通に墜落してしまうぞ!? 余計なことをするなよ!? フリじゃないからな!?」


「仕方がありません、大人しく飛んでいますでございます」


「そうしてくれ」


 これで墜落はしなさそうだな。


 良かった。



 リザァカさんに案内してもらいながら進んで行った。


 すると、洞窟を抜けた。


 目の前には、砂浜と海と思われる巨大な青い水たまりがある。


 後方には、巨大な岩壁が続いている。


 上には、所々白く光る岩の天井がある。


 未開の領域の入り口と同じような場所だな。


「むむっ、ここには悪がいるのである! ヒモノよ、さっそく倒しに行くのである!」


「ああ、そうだな! 行くぞ、みんな!」


「いえ、ここは生殖活動でございます。こういった場所では開放的な気分になり、生殖活動がはかどりますでございます」


「それは名案だな。さっそく始めよう!」


「では、洗浄しますね」


 またぶっかけられた。



「早くこいつらをなんとかしなくては……」


「そうねッピ。でも、そろそろ夜になりそうよッピ。今日はここで休みましょうッピ」


「そうだな」


「夜、それは生殖活動の時間でございます。さあ、ヒモノさん、始めましょうでございます」


「彼女たちが何かを始めたら、すぐさま洗浄することにしましょうか」


「ぬわあああああああああっ!!!」


 セイカさんが洗浄された。


「ああ、そうだな。頼むよ、セレンさん」


「お任せください」


「ありがとう」


 これでゆっくり休めそうだな。


「セレンさんは頼りになるなぁ」


「ヒモノさんは世話が焼けますね」


「申し訳ないです……」



 そういえば、リザァカさんはどうやってここに来たのだろう?


 ちょっと聞いてみようか。


「船で来ましたミャン。上陸する寸前で沈没してしまいましたがねミャン。名前は『プグアァユボ・パヤエ・メヤハホカーナ』と言うのですよミャン」


「そうなんですか……」


 妙な名前が付けられているんだな!?



「食事の用意ができました」


「ああ、分かったよ、リリィさん」


 俺たちは夕食を取り、就寝した。



 次の日。


 俺たちは筋肉の修行場へ向かった。



 しばらく飛んで行くと、何かが海を泳いでいた。


 イルカのようなマスクと、黒いダイビング用のスーツを身に着けている人型の何かだ。


 バタフライのような泳法で泳いでいる。


 あれは確か、前の場所にもいたイール・カオジ・サーンだったっけ?


 ここにもいるんだな。


 その後も何度か、何かのマスクと黒いダイビング用のスーツを身に着けた、バタフライで泳ぐ人型のミョガガベに遭遇した。


 なんでまたいるのだろう?


 まあ、どうでもいいか。



 さらに進むと、大陸が見えてきた。


「リザァカさん、あそこに目的地があるのですか?」


「はい、そうですよミャン」


「では、あそこにティーソルジャーというのがいるわけですね? そういえば、どのような特徴があるのですか?」


「大量の茶葉を球体にしたものに、人間の手足が生えている化け物ですミャン」


 本当に化け物だな!?


「やはり強いのですか?」


「個体ごとに違いますねミャン。強い者は強いですミャン」


「どれも同じ強さではないのですか。なぜそうなっているのですか?」


「おそらく元の生物の影響だと思いますミャン」


「なるほど」


 元々強いヤツは強いのか。



 大陸の上空を飛んでいる。


 ここにも草原、森、川、天井とつながっている壁に、小さな山がある。


 こういうところは前と変わらないな。


「ティーソルジャーらしきものは見当たりませんね。どこかに拠点があって、そこにいるのですか?」


「いいえ、この大陸中を我が物顔で闊歩かっぽしていたはずなのですが、どうしたのでしょうかミャン?」


「そうなんですか。いったいどこに行ったのでしょうね?」


 まあ、そんなのどうでもいいか。


 敵なんていない方が好都合だしな。



 広大な草原の上空にやって来た。


「ヒモノさん、あそこが筋肉の修行場ですミャン」


 リザァカさんが地上を指差し、そう言った。


 そこにはショッキングピンク、金、銀色の縦縞たてじま模様をした小さ目のログハウスが建っていた。


 派手な建物だな。


「では、中に入りましょうか」


 俺たちは筋肉の修行場の中に入った。



 中は広大な洞窟のような場所だった。


 天井が所々白く光っていて、内部はとても明るい。


「内装が前とまったく同じだな」


「わたくしの電球が、ここはピセーイ王国の修行場と同じ場所だと言っているのです」


「えっ!? 支部ではないのか!?」


「なんじゃ、またお主たちか」


「この声はナーン・コォツグーシ様!? どうも、お久しぶりです。また来ました」


「うむ、精進せよ」


 本当にピセーイ王国の修行場と同じ場所みたいだな。


 なぜそんなことが起こるのだろう?


「それは神の力じゃな」


「そ、そうなんですか……」


 さすが神の力!


 人知を超えているな!



 奥から、筋肉の塊Tシャツの職員がやって来た。


「いらっしゃいませマセ。筋肉の修行場『ガナガーナァヤセ』へようこそマセ」


「どうも、またまた来ました」


「ああ、先日いらっしゃった方々ですかマセ。本日はどのようなご用件でしょうかマセ?」


「またまた特殊能力を強化しなければいけなくなりました。報酬と修行の日数を教えてください」


「かしこまりましたマセ。今回は『アアアアアアアア』というミョガガベをおひとり様、五体いただきますマセ。エクスレトは不要ですマセ」


 えっ!?

 なんだその名前は!?


 ちょっと雑すぎないか!?

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