第101話 ずっとびしょびしょ

「さあ、ヒモノよ、善行をしに行くのである!」


「おおっ! 行くぞ、みんな!!」


「洗浄します!」



「さあ、ヒモノさん、生殖活動でございます。生物としての本懐を遂げるのですでございます」


「よし、やるぞ、みんな!!」


「洗浄開始です!」



「さあ、ヒモノ、すべてを手に入れに行こうでげすぜ! 目標は世界征服でげすぜ!!」


「ああ、行こう! この世のすべては俺のものだ!!」


「はいはい、洗浄洗浄」



「も、もう勘弁してくれ……」


 俺は後何回、思考誘導と洗浄を繰り返せば良いんだ!?


 このままでは、一生びしょぬれで生活しなければいけなさそうだぞ!?


「ヒモノさん、私の能力のせいで申し訳ありませんミャン……」


「いや、リザァカさんのせいというわけではないですよ……」


「くっくっくっ、悪いと思っているなら、誠意を見せてもらおうかでげすぜ!」


「さあ、あなたもヒモノさんと生殖活動でございます!」


「ああ、そうだな! リザァカさんは俺のものになるんだ!」


「わ、分かりましたミャン。末永くよろしくお願いしますミャン」


「分かる必要はありません。洗浄開始!」



「これ、どうにかできないのかよっ!?」


「ヒモノさん、わたくしの電球が、理性のステータス令嬢がいれば、そいつらを抑えられると言っているのです」


「な、なんだって!? なら、筋肉の修行場に行くしかないのか!?」


「はい、現状はそれしかないのです!」


「かなり遠いけど、仕方ないか。では、戻るとしよう」


「筋肉の修行場ミャン? それはガナガーナァヤセのことですかミャン? ヒモノさんの住んでいる場所にもあるのですかミャン?」


「前にいたところにはありましたよ。もしかして、パーニズ・ズマにもあるのですか!?」


「はい、ありますミャン」


 な、なんだって!?


「そこは特殊能力の修行ができるんですよね!?」


「はい、できますミャン」


 筋肉の修行場で間違いなさそうだ。


 ここに支部があるのかな?


「当然そっちの方が近いよな?」


「わたくしの電球が、その通りだと言っているのです」


「なら、そこに行こう! リザァカさん、場所は分かりますか!?」


「はい、分かりますが、そこは『ティーソルジャー』たちの勢力圏で、とても危険ですミャン」


「ティーソルジャー!? なんですか、それは!?」


「ティーソルジャーは『ルーゼィマ・トウテキ』という者の『ステータスブレンドティー』という特殊能力で作った兵士ですミャン」


 ブレンドティー!?

 訳が分からなさすぎる!?


「それはどんな能力なのですか?」


「なんでもルーゼィマと他者のステータスウィンドウを煮出して、お茶を作るそうですミャン」


 お茶!?

 ステータスウィンドウって、お茶になるのか!?


「そして、それをルーゼィマが飲むと強くなるそうですミャン」


 何その謎能力!?

 訳が分からなさすぎる!?


「さらにそれを飲み干すと、ルーゼィマ以外のステータスウィンドウの持ち主はティーソルジャーになり、ルーゼィマの命令に従うようになってしまうそうですミャン」


 本当に訳が分からんぞ!?


 特殊能力って、変なのがたくさんあるんだな!



「ところで、なぜ能力の情報を知っているのですか?」


「ティーソルジャーが教えてくれたからですミャン」


「えっ!? ティーソルジャー自身が!? それは信用できないのでは!?」


「そこは不明ですミャン」


「ヒモノさん、わたくしの電球が、それは真実だと言っているのです」


「ヒモノ、私の勘もそう言っているでナンス」


「本当なのかよ!?」


 ティーソルジャー、口軽すぎだろ!?



「さて、どうするか? パーニズ・ズマの筋肉の修行場に向かうか、それともピセーイ王国に戻るか?」


「そんなことよりも、善行である!」

「そんなことよりも、生殖活動でございます!」

「そんなことよりも、世界征服でげすぜ!」


「ああ、そうだな! やるぞ、みんな!!」


「はい、では、洗浄します!」



「は、話が進まない……」


「ヒモノさん、これは多少危険でもパーニズ・ズマの修行場に向かった方が良さそうなのです」


「そうだな。一刻も早くこいつらをどうにかしないと」


「いや、それよりも、善行である!」

「いいえ、それよりも、生殖活動でございます!」

「いや、それよりも、世界征服でげすぜ!」


「それもそうだな! よし、やるぞ、みんな!!」


「はい、では、毎度おなじみの洗浄ですね」



「は、早く筋肉の修行場に行かないと……」


「リザァカさん、場所を教えてッピ」


「それなら、私が案内しますよミャン」


「えっ、良いんですか!? 危険ですよ!?」


「原因は私ですから、責任は取りますミャン。それに……」


「それに?」


「私は先程ヒモノさんのものになりましたからねミャン」


「えええええっ!?」


「ヒモノ、またなのか……」

「ヒモノさん、また浮気なのですか!?」

「これはもうあきれるしかないッスね」

「いったい何人増やせば気が済むのッピ!」

「本当にどうしようもないわねニャ!」

「さすがは強者でゴザル!」

「ヒモノさん、増やしすぎでヤンス!」

「まったくねッスわ!」

「そろそろ危険な気がするでナンス……」

「ヒモノさんは、とんでもない浮気者ですねでナス~」

「またにぎやかになるのね。お姉さんうれしいわ」

「さすがは社長ですね!」

「ヒモノ様は攻めるのがお好きですわね! 素晴らしいですわ!」


「それは能力のせいで言ってしまっただけですよ!?」


「ヒモノさん、ひどいですミャン…… 私を弄んだのですねミャン?」


「誤解ですよ!?」


「ヒモノよ、これは責任を取るのが善というものである!」


「その通りでございます。さあ、彼女と生殖活動でございます!」


「女を手に入れて、何が不満でげすか? くれるというのだから、遠慮なくもらおうでげすぜ!」


「ああ、そうだな! リザァカさんは俺のものだ!」


「はい、では、洗浄します」


 またセレンさんに洗浄された。


 俺は今日、何回洗浄されたのだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る