第98話 ステータスウィンドウにホイップクリームを!?
「あっ!?」
突然、迷彩服の女性のお腹が、くぅ~とかわいらしく鳴った。
迷彩服の女性は恥ずかしそうな表情をしている。
その表情も、またかわいらしい。
「食事にしましょうか。ご一緒にいかがですか?」
「はい、ご相伴にあずかりますミャン。ありがとうございますミャン」
「では、リリィさん、頼むよ」
「分かりました」
リリィさんが料理をし始めた。
リリィさんがオルファムシたちをチェーンソーでぶった切って、ダンボール箱の中に入れている。
「そ、その、とても豪快ですねミャン……」
「そうですね」
あれは食べられるのだろうか、と思っているのだろうなぁ。
まあ、無理もないけど。
「完成しました。どうぞ」
調理台にオルファムシとオオルファムシの塩焼き、塩ゆで、スープに、
迷彩服の女性は意外そうな顔をしている。
まともな料理が出て来て驚いているみたいだな。
「では、食べるでゴザル!」
「いただきますキュ!」
みんなが食べ始めた。
「どうぞ、食べてください。見ての通り食べられますから」
「あ、はい、いただきますミャン」
迷彩服の女性がオルファムシの塩焼きを食べた。
「お、美味しいミャン!?」
迷彩服の女性にとても喜ばれた。
食事が終わった。
「ごちそうさまでしたミャン。とても美味しかったですミャン」
「お粗末様でした」
結構食べたな。
彼女は健啖家なのかな?
ん?
そういえば、まだ名前すら聞いていなかったな。
自己紹介をしておこうか。
「そういえば、自己紹介がまだでしたね。私は
「そうでしたねミャン。失礼しましたミャン。私は『リザァカ・ピトッグ』と申します。リザァカとお呼びください。こちらこそよろしくお願いします」
その後、他のみんなも自己紹介をした。
「あのヒモノさん、先程のお礼をしたいのですが、何か調味料のような料理のトッピングに使えそうなものはありますかミャン?」
「えっ、なぜそんなものを?」
「私には『ステータストッピング』という特殊能力がありますミャン」
トッピング!?
ステータスに!?
「それはどのようなものなのですか?」
「ステータスウィンドウになんらかの食材をトッピングして食べると、ステータスが強化されたり、特殊能力を身に付けられるかもしれない能力ですミャン」
なんじゃそりゃぁっ!?
意味が分からなさすぎる!?
なんでそんなので強化されるんだよ!?
「今の私にはそのくらいしかできませんミャン。確実に強化されるわけではありませんが、リスクは食材を消費するくらいなので、受けてみてくださいミャン」
訳の分からん能力だが、断るのも失礼だよな。
受けてみるか。
「では、ありがたく頂戴します」
「ところで、残っている食料は何があるんだ?」
「畳と塩と、後はホイップクリームが少しだけあるキュ!」
「先程の食材たちも、まだ残っていますよ」
「少なくなったもんだな。結構買い込んだと思ったのに」
そろそろ補充したいところだな。
「皆さん意外と食欲旺盛なのです」
「毎日羽ばたいて、たくさん運動するから仕方ないでナンス」
「その通りですよでナス~」
「まあ、確かにそうだな」
「ヒモノさん、そのホイップクリームを見せてくださいミャン」
「どうぞ」
リザァカさんにホイップクリームの容器を渡した。
「こ、これは素晴らしいミャン!? 私の創作意欲があふれ出してくるミャン!」
「そうなのですか?」
「これをどこで手に入れたのですかミャン!?」
「上の階ですよ」
「なんと、さすがは未開の領域ですねミャン。すごいものがありますミャン……」
リザァカさんが感動しているようだ。
「ええと、それなら能力を使えるのですか?」
「はい、これなら成功しそうな気がしますミャン!」
「食材なら、どれでもいいというわけではないのですか?」
「はい、私のインスピレーションが湧き上がるようなものでなければなりませんミャン」
ほう、そういうものなのか。
「ただ、このクリームの量では一回しかできないと思いますねミャン」
「では、誰にやってもらおうか?」
「ヒモノさんで良いと思うわッピ」
「私もそれで良いでナンス。強くなって私のために稼ぐでナンス」
「強くならなくても一生養ってくださいねでナス~」
「お前らなぁ!?」
このふたりは相変わらずだな!
他のみんなも俺で良いそうだ。
「では、ヒモノさん、ステータスウィンドウを出してくださいミャン」
「私がヒモノのステータスウィンドウだ」
「えっ、ご、ご冗談をミャン!? ステータスウィンドウは半透明の青いプレートですよミャン!?」
「いや、冗談ではありませんよ。ステーさんは人型のステータスウィンドウなんです」
「そ、そうなのですかミャン!? 初めて見ましたミャン!?」
「能力は使えそうですか?」
「ええと、とりあえず、やってみますミャン…… まずはトッピングできそうな場所を探しますミャン」
リザァカさんがステーさんを観察し始めた。
「どうやら左耳にトッピングすると良さそうですねミャン」
ステーさんの左耳に、ホイップクリームを塗って食べるのか!?
「それって、ステーさんの耳ごとホイップクリームを食べなければいけないのですか!?」
「いえ、食べるのはホイップクリームだけですよミャン」
「そうですか」
良かった。
さすがにそこまで狂った能力ではなかったか。
ん?
ホイップクリームだけを食べる?
それって要するに、ステーさんの耳をなめることになるのか!?
「ヒモノさん、思考が不潔になりつつありますよ。洗浄しておきますか?」
「い、いえ、遠慮します」
「ヒモノさん、そういうのも好きなのッピ?」
「仕方ないわねニャ。今度やってあげるわよニャ」
「私もやるでヤンス!」
「私も全身に塗ってなめさせてあげるわッスわ!」
「そこの四人も不潔になりつつありますね。洗浄しましょうか?」
「遠慮するわッピ」
「妾もよニャ」
「お、お許しをでヤンス」
「それはやめてねッスわ」
ああ、また変な誤解をされてしまった。
「ヒモノさんには、そんな趣味がミャン……」
リザァカさんが妙なことをつぶやいている。
しかも、なぜか顔が赤い。
「リザァカさん、何を言っているのですか!?」
「い、いえ、なんでもありませんミャン! それでは始めましょうミャン!」
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