第88話 VS巨大マッサージチェアー

 しばらく進むと、広大な角型の部屋に出た。


 その中央には、上り螺旋らせん階段があった。


 デザインや大きさは、他の階のものと同じだ。


 その周囲には、黒と白のマッサージチェアーが大量に置いてあった。


 さらに、巨大な白いマッサージチェアーも一台置いてあった。


 大きさは、高さ一二メートルくらい。


 ウゴーカァの十倍くらいの大きさだな。


「あの小さいのは、すべてウゴーカァとシィロウゴーカァなのか?」


「はい、その通りなのです」


「では、あの巨大なのは?」


「『ウッゴク・シィロウゴーカァ・ナァイィッス』というミョガガベなのです。通称は『ウシィロウゴーカァ』なのです。強くなったシィロウゴーカァなのです」


 動く白動かない椅子?


 動くのか、動かないのか、ハッキリしない名前だな。



 むっ!?

 突然ウシィロウゴーカァの底面から、巨大な白い馬のような足が四本生えたぞ!?


 長さは八メートルくらいある。


 しかも、かなりの速さで接近して来た!?


 さらに、ウゴーカァたちとシィロウゴーカァたちも接近して来たぞ!?


 シィロウゴーカァたちにも、いつの間にか白い馬のような足が四本生えている!?


「美味しそうな鳥さんウッゴク! さっそく食べるウッゴク!」


 ウシィロウゴーカァがそう言いながら、跳びかかって来た。


 俺たちが鳥と認識されているだと!?


 ウシィロウゴーカァは鳥類に詳しくないみたいだな!


「そうはさせないであります!」


 マモリさんがそう叫んだ直後、俺たちの前に巨大なモザイクの壁が現れた。


「うごげっ!? い、痛いウッゴク!? なんだこれウッゴク!?」


 ウシィロウゴーカァは壁に激突し、押し返された。


 あんな巨体がぶつかっても壊れないのか!


 頼りになるモザイクだな!


「これはお返しであります!」


 マモリさんがいつものモザイクのかかったプレート、白いレーザー、泡と湯気の塊のような球体を大量に撃ち出した。


 それらがウシィロウゴーカァに命中した。


 だが、かすり傷程度にしかなっていない。


「なんだこれ、痛いウッゴク!? いったん退くウッゴク!?」


 ウシィロウゴーカァが飛来物に当たりながら、後退している。


 あれらでは小さすぎて、仕留め切れないようだ。


 他の連中も後退しているようだ。


「ならば、これを受けるであります!」


 マモリさんの前に、直径一メートルくらいの白い球体が現れた。


 そして、そこから極太レーザーが放たれた。


 マモリさんはあんなこともできるのか!?


「ぐああああああああああっ!!!」


 レーザーがウシィロウゴーカァのド真ん中を貫いた。


 ウシィロウゴーカァは倒れ、足が消えた。


 そして、動かなくなった。


 レーザーが貫通した部分には、キレイな穴が開いていた。


 威力高すぎぃっ!?


 防御力のステータス令嬢って、すごいな!!



「小せぇ連中は、俺様に任せな! くらいやがれ!!」


 聖剣がシャイニングブミブミ・セイクリッドマッスルを放った。


「「「ブミィィィイィィィイィィィッ!!!」」」


 ウゴーカァとシィロウゴーカァを、すべてブミらせた。


 よし、これで俺たちの勝利だな!



 では、後始末だな。


 ウシィロウゴーカァたちのエクスレトを取り込んだ。


 またちょっと強くなったような気がする。



 ステータスウィンドウせんべいを拾い集めた。


 シィロウゴーカァのレベルは四百億で、防御力と素早さが他よりやや高いな。


 特殊能力は『体のどこかに獣の足を出す能力! お得な四本入りです!』だ。


 ウシィロウゴーカァは、シィロウゴーカァの十倍のステータスがある。


 特殊能力は同じだ。



「では、この食材を料理します」


 リリィさんがチェーンソー、くぎバットのようなもの、寸胴鍋を出して料理を作り始めた。


 今回は何ができるのだろうか?



「完成しました。どうぞ」


 リリィさんが料理を調理台の上に並べた。


 そこには、ハンバーグのクリーム煮のようなものが入ったスープ皿が置かれていた。


 緑色の野菜とキノコのようなものも入っているようだ。


「美味しそうキュ! リリィお姉さん、この料理は何キュ?」


「ウゴーカァとその辺に生えていた草とキノコとステータスウィンドウせんべいを、ウシィロウゴーカァとシィロウゴーカァをすり潰したもので煮たものです」


 白いマッサージチェアーをすり潰したものに、黒いマッサージチェアーと草とキノコとせんべいを入れて煮たものか……


 ものすごい料理だな。



 では、食べてみるか。


 いただきます。


 おおっ、うまい!?


 クリーミーでコクがあって、とても美味しいぞ!


 なんであの材料で、これができるんだ!?


 ここには不思議が多すぎるぞ!



「リリィさん、ごちそうさま。とても美味しかったよ」


「お粗末様でした」


「さて、今後の話をしようか。まだ四階に行った方が良い場所はあるのか?」


「わたくしの電球が、もうないと言っているのです」


「では、五階に向かうか。五階ってどんなところだっけ?」


「五階からは資料がないのよッピ」


「そうなのか。なら、ここからが本当の未開の領域になるわけか。気を引き締めていかないとな!」


「残念ながら、そろそろ暗くなりそうよッピ。気を引き締めるのは、明日からにしましょうッピ」


「そうだな。では、今日はここで休むとしようか」


「休むなら、マッサージチェアーを出すでナンス」


「私も使いますでナス~」


「ワタクシも使うわッピ」


「妾もやってみたいニャ」


「食後のデザートに、シィロウゴーカァのホイップクリームを食べるでゴザル」


「わたしも食べるキュ!」


「ワタシも食べますキュ~」


「社長、テントを張りますよ」


「ヒモノさん、明日のためにスペシャルなマッサージをするでヤンス!」


「姉さん、それは私がするわッスわ! さあ、ヒモノさん、服を脱いでッスわ!」


「不潔な思考を感知しました。洗浄します!」


「「ああああああああああああっ!!!」」


 緊張感がないなぁ。


 こんなのでやっていけるのだろうか?

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