第87話 巨大宝箱発見

 しばらく進むと、また広い角型の部屋に出た。


 その中央に縁の部分が金で他は赤い、巨大な宝箱が置いてあった。


 幅が四〇メートルくらい、奥行きと高さは三〇メートルくらいありそうだ。


 なんだあれは!?


 デカすぎるだろ!?


 家みたいじゃないか!?


 これは宝箱なのか!?


 それとも家だったりするのか!?


 宝箱ハウス!?


 とりあえず、これがなんなのか、チカさんに聞いてみようか!


「あれは宝箱なのです」


「宝箱? 敵や罠ではないのか?」


「違うのです」


 本当に宝箱なのか!?


 なら、あれにはいったい何が入っているんだ!?


 もしかして、金銀財宝が大量に入っていたりするのか!?


 今日から俺も大金持ちの仲間入りなのか!?


「よし、開けてみようか! ……ひとりでは無理そうだから手伝ってくれ」


「分かったでゴザル」


 俺たちは宝箱を開けてみた。


 そこには、なんと!



 なんと!!




 何も入っていなかった!!!


 なんでだよぉぉぉっ!!!


 なんで何も入っていない宝箱を置いておくんだよっ!?


 クソッタレがぁぁぁっ!!!



「社長! これも社長の宮殿を建設するのに使えるかもしれませんよ! 解体して、保管しておきましょう!」


「ああ、好きにしてくれ」


「承知しました!」


 コロモがそう言って、宝箱を解体し始めた。


 あいつは本気で宮殿を建てる気でいるのか?



「社長! この宝箱は二重底になっているみたいですよ!」


「な、なんだって!?」


「開けてみますね!」


「ああ、頼むよ、コロモ!」


 そんなものがあったのか!


 中には何が入っているんだ!?


 やはり金銀財宝が入っていて、大金持ちになれるのか!?



「社長、何も入っていませんでした!」


「ええっ!?」


 なんでだよっ!?


 なんで何も入れてないのに、二重底になっているんだよっ!?


 おのれっ、期待させやがって!!


 実はこの宝箱は、精神を攻撃するための罠なんじゃないか!?



「社長、作業終了しました!」


「ああ、分かったよ。お疲れ様。それじゃあ、少し休憩して、先に進もうか」



 しばらく進むと、また広い角型の部屋に出た。


 その中央に、また先程と同じ大きさの宝箱が置いてあった。


 今度のは縁の部分が銀色で、他は青だな。


「チカさん、あれはなんなんだ?」


「あれも宝箱なのです」


「危険はないのか?」


「なさそうなのです」


「なら、開けてみるか」


 今度こそ良いもの入っていろよ!


 俺たちは宝箱を開けてみた。


 そこには、なんと何も入っていなかった!!


「また何も入っていないのかよっ!? これはなんのために置いてあるんだ!?」


「そこは不明なのです」


「そうなのか……」


 本当になんでだろうな?


 訳が分からんなぁ。



「では、社長、これも解体して、保管しておきますね!」


「ああ、構わないよ」


「承知しました!」


 コロモが宝箱を解体し始めた。



「社長! この宝箱は七重底になっているみたいですよ!」


「七重!?」


 なんでそんなにあるんだよっ!?


 意味が分からなさすぎるぞ!?


「何か入っていたか!?」


「いいえ、何もありませんね!」


「ないのかよっ!?」


 なら、なんでわざわざ七重底なんかにするんだよっ!?


 訳が分からなさすぎるぞ!?


 せっかく造ったのなら、何か入れておけよっ!?



「社長、作業終了しました!」


「ああ、お疲れさん。では、ちょっと休憩したら、先に進もうか」



 しばらく進むと、またまた広い角型の部屋に出た。


 その中央に、またまた先程と同じ大きさの宝箱が置いてあった。


 今度のは真っ白だな。


「チカさん、あれも宝箱なのか?」


「はい、その通りなのです」


「危険はありそうか?」


「なさそうなのです」


「なら、開けてみるか」


 またまた空箱なのかな?


 俺たちは宝箱を開けてみた。


 ん?

 これには何か入っているぞ。


 そこには、白いものが入ったマヨネーズの容器のようなものが大量に入っていた。


「なんだあれは?」


「わたくしの電球が、あれはホイップクリームのようなものだと言っているのです」


「ようなものって、どういうことなんだ?」


「あれはホイップクリームのような味や質感なのですが、原料が牛乳ではないのです。だから、ホイップクリームのようなものなのです」


「そうなのか。では、何で作られているんだ?」


「この階にいる『シィロウゴーカァ・ナァイィッス』というミョガガベなのです。通称は『シィロウゴーカァ』なのです」


 白動かない椅子?


「もしかして、白いウゴーカァだったりするのか?」


「はい、そうなのです」


「そんなのもいるのか」



「さっそく食べてみるでゴザル!」


「そうするキュ!」


「それって食べられるのか?」


「食べられるでゴザル!」


 プリーディさんとキュキュが、シィロウゴーカァのホイップクリームを食べ始めた。


 容器に口を付けて、直飲みしている。


「うまいでゴザル!」


「甘くて美味しいキュ!」


 そうなのか。


 では、俺も味見してみるか。


 リリィさんにスプーンを出してもらって、少し取り出して食べてみた。


 上品な甘さとコクがあって美味しいな。


「これは美味しいでヤンス」


「確かに美味しいッスわ」


 他の面々にも好評のようだ。


 では、こいつはありがたくいただいておこうか。


 残りのホイップクリームを頭に収納した。


 数は二百本くらいあった。



「では、社長、この宝箱も解体して、保管しておきますよ!」


「ああ、構わないよ」


「承知しました!」


 コロモが宝箱を解体し始めた。



「社長! この宝箱は二二重底になっているみたいですよ!」


「に、二二重!?」


 なんだそれは!?


 ありすぎだろ!?


 そんなに隠したいものがあるのか!?


「それで何か入っていたのか!?」


「いいえ、何もありません!」


「二二も用意しておいて、何もないのか!?」


「はい、ありませんでした!」


 なんでだよ!?


 それだけやったのなら、何か入れておけよ!?


 これを造ったヤツは、何がやりたいんだ!?


 意味が分からないぞ!!

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