第86話 マッサージチェアーを求めてダンジョン探索!?

「ヒモノさん、私もマッサージチェアーが欲しいですでナス~」


「お姉さんも興味あるわ」


「ワタクシも欲しいわッピ」


「妾にもお願いねニャ」


「みんな欲しいのか。なら、探してみようか」


「愛する旦那様、ありがとうございますでナス~」


「お姉さんがご褒美をあげるわ!」


 女性たちに抱き着かれた。


「不潔ですね。洗浄します」


 そして、ぬるま湯をぶっかけられた。



 しばらく進むと、通路のド真ん中に先程と同じデザインのマッサージチェアーが置いてあった。


「おっ、発見したぞ!」


「待つのです、ヒモノさん! あれはマッサージチェアーに擬態している敵なのです!」


「敵!?」


「はい、あれは『ウゴーカァ・ナァイィッス』というそうなのです。通称『ウゴーカァ』なのです」


 動かない椅子?


 故障中なのかな?



「では、倒してしまうか」


 俺はすべての聖剣キノコと温泉黒卵を、ウゴーカァに向かわせた。


 突然ウゴーカァが急上昇し、聖剣キノコと温泉黒卵を回避した。


 動かない椅子なんて名前のくせに、機敏な動きだな!?


 ん?

 ウゴーカァの背面に、大きな魚の体のようなものが生えている!?


 しかも、空中を泳いでいる!?


 なんだあれは!?

 椅子魚になる特殊能力か!?


 まあ、なんでもいいか!


 攻撃を再開しよう!


 いけ、聖剣キノコと温泉黒卵たち!



 俺は聖剣キノコと温泉黒卵を操り、何度も攻撃するが、すべて避けられてしまった。


 くそっ、聖剣キノコと温泉黒卵が当たらない!?


 素早くて面倒なヤツだな!?


「ヒモノ殿、加勢するであります!」


 マモリさんがモザイクのかかったプレート、白いレーザー、泡と湯気の塊のような球体を、避ける隙間もないほど大量に撃ち出した。


 それらのいくつかがウゴーカァに直撃した。


 ウゴーカァは吹き飛ばされ、壁に激突し、動かなくなった。


 マモリさん、容赦のないな……



 では、後片付けだな。


 ウゴーカァの体は穴だらけだな。


 マモリさんの攻撃はすさまじいな。


 おっ、エクスレトだ。


 さっそく取り込もう。


 ふむ、体に変化はないな。


 まあ、一個だけだからかな。



 ステータスウィンドウせんべいを発見した。


 ウゴーカァのレベルは四百億で、素早さが突出して高いな。


 特殊能力は『体のどこかに魚の体を出す能力! 申し訳ありませんが、おひとり様一点限りとさせていただきます!』と『空中遊泳』のふたつか。



「こいつも食べられるでゴザル」


「なら、食べてみようキュ!」


 こいつも食えるのか。


「では、料理します」


 リリィさんがくぎバットのようなものを出し、ウゴーカァを殴り始めた。


 今回はひき肉を使った料理みたいだな。



「完成しました。どうぞ」


 リリィさんが調理台の上に、ハンバーグのようなものが載った皿を並べた。


 見た目はすごく美味しそうだな。


 作っている光景はすさまじかったけど……


 では、食べてみるか、いただきます。


 牛肉のハンバーグみたいな味と食感だ。


 ステータスウィンドウせんべいも牛肉のような味がする。


 これはうまいな!


 なんでマッサージチェアーなのに、こんな味なのだろうか?


 よく分からんな。


 自然の神秘ということにしておくか。



 ごちそうさま。


 では、食休みをしたら、出発するか。



 しばらく進むと、広い角型の部屋に出た。


 そこには、ウゴーカァと同じデザインのマッサージチェアーが大量に置いてあった。


「あれはもしかして、ウゴーカァとマッサージチェアーが混在しているのか?」


「はい、その通りなのです」


「そうなのか。ここはまたシャイニングブミブミ・セイクリッドマッスルで一掃しようか」


「ああ、良いぜ! それじゃあ、いくぜ!!」


 聖剣が光線を照射した。


「「「ブミィィィィィィィィッ!!」」」


 ウゴーカァたちがブミブミと鳴いた後、動かなくなった。


 どうやらすべて倒したようだな。



 では、後片付けをしてしまおう。


 ウゴーカァを七三体倒し、マッサージチェアーを三六台手に入れた。


 エクスレトを取り込み、ステータスウィンドウせんべいも拾い集めた。



 さて、せっかく手に入れたんだし、使ってみようかな。


 俺はマッサージチェアーに座った。


 首、背中、尻、肩、両腕、両足が心地良く刺激されて、とても気持ち良いな。


「ああっ、マッサージチェアーにヒモノさんを寝取られたでヤンス!?」


「ひどいわ、ヒモノさんッスわ!? 愛する妻のマッサージよりも、マッサージチェアーを選ぶのねッスわ!?」


「何を言っているんだ、お前らは!?」


「うわ~ん、ヒモノさんの浮気者でヤンス!」


「うえ~ん、ヒモノさんがまたまたまたまたまた浮気してるわッスわ!」


「人聞きの悪いことを言うな!? ただマッサージチェアーを使っているだけだろ!? それに『また』の数が多すぎじゃないか!?」


「浮気じゃないと言うなら、私のマッサージも受けて欲しいでヤンス」


「私のも受けてねッスわ!」


「はいはい、分かったよ」


「それじゃあ、さっそく服を脱ぐでヤンス」


「もちろん、全部脱いでねッスわ。私も脱ぐからッスわ」


「何をする気だ!?」


「それはもちろん、スペシャルマッサージでヤンス」


「新たな命が誕生しちゃうかもしれない、スペシャルなマッサージよッスわ」


「不潔極まりない愚か者どもを発見しました! 洗浄します!」


「「きゃああああああああああああっ!!!」」


 レデベールさんとルヴィベールさんは洗浄された。

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