第22話 予想通りのオチ

「これでみんな立派な鳥類ッスね!!」


 しばらく練習した結果、全員飛べるようになった。


 さらに、トーリさんのお墨付きまでもらってしまったぞ。


「これで移動手段は問題なしだな。次は食料を買いに行こうか。そういえば、何日分くらい必要なんだ?」


「たくさんあった方が良いキュ!」


「まあ、確かにそうだな」


「そして、たくさん食べるキュ!」


「食いすぎも良くないのだがな……」


 俺たちは食料品店に行き、保存食料を大量に買い込んだ。


 そして、宿に泊まった。



 次の日の朝。


 俺たちはジャッダァ王国に向かって飛んだ。



 飛んでいると、いろいろな地形が目に入ってくる。


 草原、森、川、天井とつながっている壁に、小さな山なんかもあった。


 まるで星が丸ごと入っているようだ。


 とんでもない場所だな。



 おや?

 ハトのような鳥が飛んでいる。


 この中にも鳥はいるのか。


「あの鳥は襲ってこないのか?」


「あれは襲ってこないヤツキュ」


 ほう、そんなのもいるのか。


 あいつはミョガガベではない、野生動物なのかな?


「ん? ということは、襲ってくる鳥もいるのか?」


「大きいのは襲ってくるキュ」


「そういうのもいるのか……」


「おっさん、そんなの俺様がブミらせてやるから、なんの心配もいらねぇぜ!」


「そいつは頼もしい限りだな」


 襲ってきたら遠慮なく頼ることにしよう。



「あの鳥はなかなか美味しいキュ!」


「へぇ、そうなのか」


「ちょっと捕まえて来るキュ!」


「お手伝いしますキュ~」


「食料はたくさんあるから必要ないって! 先を急ぐぞ!」


「分かったキュ!」


「命拾いしましたねキュ~」


 良かったな、ハトっぽい鳥。



「疲れてきたな。ちょっと休憩にしようか?」


「そうしようキュ! お腹もすいたキュ!!」


 俺たちは近くの草原に下りて、頭から食料を取り出した。


 今回は『ルァナミダンゴヴァイゼのおかき』というものを食べてみた。


 日本にもありそうな塩味のおかきだった。


 まあまあの美味しさだな。


 その後、少し休憩して、出発した。



 こんな感じで景色を楽しんだり、休憩したりしつつ、三日間飛んだ。


 すると、レンガのようなもので造られた、西洋の城のような建物が見えてきた。


「あれはジャッダァ王国の本城なのか?」


「いえ、あそこはとりでなのです!」


「あそこに王がいるのか?」


「わたくしの電球が、その通りだと言っているのです!」


「そうなのか。では、これからどうしよう? 偵察でもしようか?」


「おっさん、どうやらそんなことしなくても良さそうだぜ!」


「えっ? なぜだ?」


「砦を見てみな!」


 俺は砦の方を向いた。


 砦の中から西洋甲冑を着こんだ人たちが、うじゃうじゃ出て来た。


 そして、俺たちの方に向かって来た。


 どうやら見つかってしまったようだ。


 不用意に近付きすぎたか。


 集団の先頭に、ひと際輝く青い鎧を着た人がいる。


 もしかして、あれが王なのか?


 ん?

 青い鎧の人が俺たちに手のひらを向けたぞ。


 うわっ、まぶしっ!?

 手が白く光った!?


 なんだ今のは!?


「ヒモノさん、わたくしの電球が、今の光がステータス奪取だと言っているのです!」


「えっ!? あれが!? なら、あいつがジャッダァ王なのか!? ステーさん、何か盗まれたのか!?」


「いや、ヒモノの特殊能力に変化はない。鳥力が『あなたは身も心も立派な鳥類よ。誇りを持ちなさい!』になっているくらいだ」


「なんだそりゃぁっ!? って、そこはどうでもいいって! 俺に変化がないとすると…… キュウィ、そっちはどうだ!?」


「特殊能力に変化はありませんキュ~。鳥力が『いつの間にか、こんなに立派な鳥類になっていたのね! お母さんうれしいわ!!』になっているくらいですキュ~」


「わたしは立派な鳥類なのキュ!?」


「おふたりとも間違いなく立派な鳥類ッスよ!!」


「だから、それは今関係ないって! それよりも、これはステータス奪取に失敗したと判断して良いのか!?」


「わたくしの電球が、その通りだと言っているのです!」


「ということは……」


 俺はジャッダァ王のいる方を向いた。


 おや?

 ジャッダァ王の近くに、妙なヤツがいるぞ。


 円柱型の容器のようなものに、人間の手足が生えている化け物だ。


 身長は二メートルくらい。

 容器の高さは一メートルくらい、直径一メートルくらい。


 容器の上部には、網目状に穴の開いた青い蓋のようなものが付いている。

 下部には、透明なプラスチックのようなものでできている。

 中には、半透明の小さなボールのようなものがたくさん入っている。


 手足は筋骨隆々で、良い色に日焼けしている。


 無駄毛は生えていない。


 青いスニーカーを履いている。


 あの化け物はなんなのだろうか?


 もしかして、ジャッダァ王のステータスウィンドウだったりするのだろうか?


 ん?

 ジャッダァ王が慌てているような感じだな。


 何かあったのか?


「皆さん、わたくしの電球が、逃げた方が良さそうだと言っているのです!」


「えっ!? 分かった! 逃げるぞ!」


 俺たちは逃げ出した。


 その後、後ろで大きな爆発音が聞こえた。



 ジャッダァ王がいたところに、戻って来た。


 そこには大きなクレーターができていた。


 その中央には、エクスレトが落ちている。


 どうやら王は亡くなったようだ。


 周囲には、西洋甲冑を着こんだ人たちが倒れている。


「あれはやはりピセーイ王と同じ特殊能力で、こうなったのかな?」


「わたくしの電球が、あれは『超必殺究極奥義スーパーアルティメット爆発オチすぺしゃる』だと言っているのです!」


「やはり俺たちのステータスと規格が違うせいで、その能力を身に付けてしまったのか?」


「その通りなのです!」


「そうなのか……」


 予想通りの展開だな!!!

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