作中の言語について
【人工言語】
「Sing...Erhese, yzzew hysomene...as!?」
いきなりですが、これは物語の最序盤、澪が献慈に向かって発した言葉です。
これに限らずシルフィードの異言やCML(呪文)など、作中で使用されているラテン文字表記の言語は、一定の法則に従って書かれています。
説明の前に、実例として序盤の澪の台詞を日本語訳してまいります。
「Sing...Erhese, yzzew hysomene...as!?」
(ちょ……あなた、一体いつから……えっ!?)
「Re, rhelsha fejeme reri!?」
(な、何でハダカなの!?)
「Hyumene! Dequo'e ki, kena kydessas-sene!」
(いいから! まずはそ、それ仕舞ってったら!)
「Kim'mene obimerew-sha!」
(そこから動かないで!)
もうお気づきかもしれませんが、実は何てことはない換字式暗号です。要するに、ア○ベド語 (FF1○)とかメルニ○ス語 (T○E)と同じカラクリです。
『マレ来た』においては、日本語の子音と母音をそれぞれ対応した別の音韻に置き換えています。その際、実際の発声を想定した音便も施してありますが、解説が複雑になるため割愛します。
人工言語が必ず突き当たる問題に「語彙」がありますが、以上のような形を取ることで膨大な単語を一から作り上げる工程を省略できました。
あの素晴らしい完成度を誇るヒュ○ノス語 (アルトネ○コ)ですら借用語から逃れられなかったのを考えれば、身の程をわきまえた選択だったと思います。
【詠唱】
「Ena tizit: ZELSU iinchu FYNEW melkono'e zelpi MAREBITO enou'e Eudenacia...fegaing!」
(我求む:探知および飛来 関するは単語 マレビト或いはユードナシア……馳せよ!)
資料館で初対面したノーラの詠唱です。無声音が有声音に変化 (例:k→g)することでアクセントを表現しています。
冒頭の「Ena tizit~」は定型で、地方によっては「Ena riguit~」(我望む~)になったりもしますが、術の効果には影響ありません。
「あまわたる たまのをごとの こゑとよむ ほしのやどりに をかれてしかな」
最終決戦で大曽根が使った〈七星護法陣〉の祝詞です。
直訳すると「空を渡る 玉の小琴の 音色が鳴り響く 星の宿 (=星座)に 招かれたいものだな」という意味になります。
構想段階では神道の様式に沿った祝詞を書こうと考えていました。
しかし実際文章にしてみると外連味が足りないと感じたので、現在のような五七五を詠むスタイルに思い切って変えました。
【技名】
「屠光迅剣 (リヒト・シュレヒター)!!」
繰り出す技の名を表明するのは、古くから武人たちに伝わる一種の作法です。これは一〇八星に名を連ねるエティエンヌ・モワソヌール (Estienne Moissonneur)の伝説が起源であるとされています。
↓ (意訳)
技名? 叫びますよ。様式美です。何せヘヴィメタルですから。スティーヴ・グ○メットだってイントロで思いっきし曲名叫んでるじゃないですか。気合いです。
【地名】
フォズ・イムガイ (穂瑞日向)の語源は「瑞穂=みずほ」と「ひむかし=東・日向」です。
ワツリ (和津里)やナコイ (菜乞)など、イムガイ国内の地名は語感で決めました。漢字はすべて当て字ですが、そうなった起源が想像できるようにしています。
【口調】
北方出身者は東北弁、西方出身者は関西弁など、方言という形でキャラクターの口調に反映させています。ジオゴとラリッサのように、世代によって訛りの程度を深くしたり浅くしたりもしています。
同様に、ノーラや無憂などが古めかしい口調をしているのは、彼らが見た目以上の長寿者であるという表現です。
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