世界観の裏設定

 今後ストーリーに関わることのないであろう裏設定に絞って公開していきます。




【〝裏〟創世記】


 SF的な設定を押し出してしまうと、ファンタジー作品としての軸がブレてしまうのでオミットした――というのは第五章でも書いたとおりです。


 これについては作品のアウトライナーに走り書きした初期設定をそのままコピペ投下いたします。



  ※※※  コピペここから  ※※※


 トゥーラモンドは地球より遥か離れた宇宙に浮かぶダイソンスフィア。地球をエコーロケーションで定点観測し、その情報を収集分析、(連星の一方を核とした)内部世界で四つの力を統合・再分割して魔法の各元素を生み出す。


 この内部世界こそが霊質界 (ethereal dimension)。それと対応した物質界 (material dimension)は外表面にある。


 連星のもう一方こそが、トゥーラモンド世界の太陽である。こちらは高速で公転しているが、同時にダイソンスフィアも太陽をトレースするように回転しているため、地上からは止まっているように見える。


 今ある月は超古代戦争 (『十三年戦争』よりもさらに昔)で使われた衛星兵器の残骸。これは人体改造されたヒトの頭部に作られたアンテナ部分から生命力を吸い上げ、同時に操縦もされていた。


 やがて兵器は用済みとなり月として空に残った。改造人間の末裔はリコルヌという種族となって現在まで存続している。


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 何気にリコルヌ族の起源についても触れられていますが、この辺は現存人類にはどうでもいいことなので、多分続編でも扱わないと思います。


 同様に『マレ来た』本編の第五章・初稿からの一節を (ちなみに決定稿は第四稿にあたります)。



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 何者が、何の目的で、どうやってそのような大掛かりなシステムを作り上げたのか。

 ここにある『情報』からだけでは、残念ながらそこまで遡るのは不可能だ――そうキルロイは語った。

「だが、少なくともこれだけは確かだ。重力波に性質の似た波動を不定期に放射し、地球に対して定点観測を行っているとみられる挙動が、この地には今もある」

 なるほど前置きされたように、全てを献慈が理解するには無理のある内容なのは間違いない。

 パンスペルミア、連星パルサー、ダイソン・スフィア、高次元多様体、局所連結――それ以外にも聞き慣れぬ単語や難解な言い回しが、次々と右耳から入っては左耳から抜けてゆく。


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 だいぶSF色を薄めたつもりでしたが、それでもクドく感じます。次の改稿でばっさりカットしました。


 「凪の巨神」や「三友神」などは、トゥーラモンド世界の創造プロセスや維持システムについての知見が歪んで伝え広まったものです。




【マレビト】


 半人工的に創られたこの『世界』の姿を、被造物=人類の五感に合わせて認識させるシステムが、裏世界リヴァーサイドに根を張る『大いなる幻術 (グランド・イリュージョン)』です。


 歴史上「預言者」「幻視者」などと呼ばれるのは、この『大いなる幻術』を偶発的に突破し、世界の本質に接触してしまった人たちのことです。

 マレビトはその生い立ちゆえ、その資質を自動的に有しています。ただし実際その機会に巡り会えるかどうかは運次第です。


 キルロイは死後早期に『大いなる幻術』にアクセスしたことで、翻訳術式『相案明伝』発明のヒントを得ました。

 本人的には「なんか出来そうだからやってみよう」ぐらいの感覚だったのでしょうが、現世では歴史を揺るがす一大事になっています。


 余談ですが、序盤の回想で出てくる「本歌取り」「完コピ」「ダビング」などのワードはマレビトの正体を示唆しています。この時点では読者に察しようがないので、ほんの戯れのようなものです。




【先史人類】


 上で少し触れたリコルヌ族ですが、人体改造を施したのが何者かについては書いていませんでした。

 結論から言うとドヴェルグ族――トゥーラモンドの原住民です。


 例によって、走り書き状態の設定メモをそのまま貼らせていただきます。前項と重複する内容がございますがご了承ください。



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ドヴェルグ族の正体

地球人、パンスペルミアの次善の策として文化的遺伝子を遺す候補地を模索

外宇宙からの信号を探知

高重力のため強靭で小柄な体、高度な技術力、ドヴェルグと命名、相手側からの提案を承諾、ナディール (仮)を地球文化の移住先として決定


トゥーラモンド先住民ドヴェルグ、無数の未来をシミュレートするも悪魔の侵略が回避不能と予知

連星パルサーのパルスを信号として外宇宙を探索、外的因子で不可避の未来を打破することを計画

地球人との接触、利害が一致するとして地球の時間軸を遡っての観測・ランダムな情報取得をする了承を得る

シミュレーションは成功、しかし実践の段になり予測不能だった数々のイレギュラーが発生、悪魔の侵攻も回避できず多くのドヴェルグらはトゥーラモンドを打ち捨てて脱出する道を取る


リコルヌ族の起源

リコルヌの起源は、超古代戦争で使われた衛星兵器の動力源として、ドヴェルグの手で作られた改造人間である。角は元々衛星に生命力を送るアンテナとして埋め込まれたもの。

ちなみに用済みとなった衛星は現在、月と呼ばれている天体である。


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 ドヴェルグたちは自らを (エルフ族などと同じ)妖精の末裔としてトゥーラモンド史の中に組み込み、雌伏して時を待ちます。


 外宇宙からの侵攻自体は不可避でしたが、トゥーラモンドに残った少数のドヴェルグは他種族と協力し、結果的に悪魔の軍勢を退けてしまいます。後世『十三年戦争』として語られる出来事がこれです。


 ドヴェルグ族についてはいずれ続編で別サイドから触れる機会もあるかもしれません。


 これまた余談になりますが、リコルヌは角髄の解毒作用でアルコールを分解してしまうので概してザルです。

 カミーユを未成年飲酒させるわけにもいかず、この辺りを本編では描写できませんでした。一応ナマモノとかを食べても平気なのは解毒作用のおかげではあります。




【遺存種】


 『十三年戦争』以前にもあった幾度かの動乱期を経て、妖精たちはその数を激減させていきました。ですが、かつては原始人類と地上を二分するほどに繁栄していたことは【設定】精霊にも記したとおりです。


 星幽鉱 (アストラライト,astralite)という鉱物が作中に登場します。烈士の指輪や無憂むうの使う宝具に用いられている半霊物質です。

 これは実のところ太古の妖精たちの死骸の堆積物です。物質と霊質の間を行き来する性質が魔導技術によって活用されています。




【男女関係】


 トゥーラモンド人類は霊体を獲得しているので、武力などで女性よりも男性が必ずしも優位にはなりえません。原始社会でも軍事集団の主戦力が女性である例は珍しくありませんでした。

 歴史的にわりと男女平等なのは、この世界の人々の意識が特別高いからではなく、そのあたりの身も蓋もない事情ゆえだったりします。


 ♀×♀、♂×♂の関係は社会的にオープンなだけで、比率そのものはユードナシアのそれと大差はありません。上記の理由により女権が強いため、♀×♀も♂×♂と並んで早くから嗜まれています。

 両性愛者・同性愛者・異性愛者は恋愛市場における商売敵にはなりえますが、互いに特権意識や差別意識といったものはありません。

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