第八章~終章裏話/付録:血液型

 八章序盤では献慈たちがそれまでに親交を結んできた人々が駆けつけての前哨戦がありました。

 本来であれば各地で多元中継的に行うはずだったバトル描写ですが、全編を主人公である献慈の視点のみで通したく、ああいった道すがらの連戦という形を取りました。


 前哨戦の後に待つのは章のメインとなるヨハネスとの決戦。ロケーションを古墳にしたのはロマンという名の思いつきです。


 薄暗い地下を飛び回るコウモリを掴み取り、頭から噛みちぎるヨハネス (○ジーリスペクト)――みたいな初期案でしたが、書き進めていくうちに「コイツそんなキャラじゃないな……」となってきたので没に (ヴェルーリならやりそう)。


 ところで、ここまでヨハネスが逃げおおせられた理由ですが、それは前もって盗掘者たちから目ぼしい遺跡の場所を聞き出していたためです。

 各地の遺跡を転々と隠れ進み、最終的にたどり着いたのが邪教・冥遍夢 (めいへんむ)がアジトとする古墳だったのです。


 当初はそのままヨハネスがラスボスとなる予定でした。しかし個人的な事情でプロットを変更し、続編で登場させるはずだった自称・魔王様にお出ましいただいています。




・ヴェルーリ


 原型となったのは『マレ来た』の原案『オー・ソレ・ミオ』のラスボス、ラピス・ラズリです。吸血鬼の王で、澪の肉親の仇という設定も踏襲しています。

 この前身キャラには「薬師」という異名が先にあり、薬師瑠璃光如来→瑠璃→ラピス・ラズリという連想から命名された経緯があります。今作でも同じく「瑠璃」の語源とされるヴェルーリヤから着想を得て名付けました。




 ヴェルーリ本人とともに続編で出すはずだった設定ですが、ヴァンピール・オリジンの本質は人格を持たない「核」です。


 ヴェルーリの俗物っぽい言動は、現「器」であるヘゲデュシュ・イシュトヴァーンの精神性を如実に映した結果です。これは「魔王の器」にない者が「魔王」の「器」にあるという皮肉でもあります。


 もし勇者ヨハネス・ローゼンバッハが次なる器として「核」を完全に受け入れていたなら、まったく違った未来が訪れていたことでしょう。


 それから、この人物にも少しだけ言及しておきます。




・ラインハルト・フォン・タンネンハイム


 ライナーは初めから不審を匂わせるキャラクターではあったと思います。ただ、彼は登場から最後に至るまで嘘は口にしていません。

 宿泊する部屋には魔力フィールドを展開し、機密漏洩を防ぐための防音効果をいつでも発動できるようしてありました。「献慈が部屋に踏み込んで以降の記憶を消す」効果をこのフィールドを利用して起動させたのです。




 最後に、ストーリーには関係しない裏設定を。


 吸血鬼と言えば「血」ですが、一応トゥーラモンド世界にも血液型の概念があります。O型が最も古く、そこからA→B→ABの順に派生していきました。

 ヒトとリコルヌ以外の種族はすべてO型ですが、例外的に魔人だけはほぼAB型です。


 以下は主なキャラクターの血液型です。




献慈 A (AA)

澪 A (AO)

臣幸 O

美法 AB

千里・明子・寿麻 三人ともB


カミーユ B

ライナー AB


永年 B

永和 AB

永定 O


ラリッサ O

ジオゴ A


馨 O

碧郎 B


ヨハネス A

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