第13話 鍛冶場
鍛冶場にて野太刀を見せ、これより短く反りを浅くしたものを頼んだ。
職人曰く打ってはみるが恐らく数合で折れる出来上がりしか期待できないとの事であった。
駄目もとで何本か打ってもらえるように頼んだ。
「構わんけどもさっきも言ったが多分強度が足りねえぞ。俺にはお前のいう打ち刀とかいうやつのノウハウはねえからな。魔獣なら下手すりぁ一太刀で折れるし、対人ならまともに受ければそれだけでポッキリだ。うまくいなしても数合で折れると思うぞ。いいんだな?」
「構いません。今は持ち合わせがないので後日改めてお願いしにきます。」
「ジェニン、これをドクト殿から預かってます。」
そういってダジンは僕に子袋を差し出した。
受け取ると中には金貨が数枚入っていた。
「これは?」
ドクトがなぜ僕にお金を寄越したのかわからない。
僕はまだ何も仕事をしていない。
「これは君がヴァナホッグでダイアウルフの亜種を狩った時に得られたお金です。ちなみに君の負った怪我の治療費や衣食住の費用は差し引いてあるそうです。」
やや苦笑しながらダジンはそう言った。
「なるほど、ちなみに親方さんこれだけあれば何本打てますか?」
「金貨四枚か。どの程度のものを求めてるかによるな。とにかく数を打って粗雑なものが欲しいのか逸品を目指して打つのかによる。」
「それじゃあ数を打ってください。それでノウハウを得てもらえると助かります。」
「やってみんとわからんところもあるがそれなら二十ぐらいは打てるな。多少増減するかもしれんがそこは我慢してくれ。」
「わかりました。ではそれでお願いします。」
「それじゃあダジンさん館に戻りましょう。」
「ジェニン少し用があるので付き合ってもらえますか?」
「わかりました。ダジンさんが居ないと多分まだ館に戻れないですからね」
ダジンに着いていくとそこらで見かけるような家の前でダジンが立ち止まった。
「私の実家です。仕送りをしているので今日はそれを届ける日だったんです。私用で申し訳ない。」
「仕送りという事はダジンさんの稼いだお金をご両親に渡してるって事ですよね?親孝行をしててすごい事じゃないですか。」
僕にはもう出来ない事。僕のせいでできなくなった事。羨む気持ちと憤りが同時に心に響く。
そのあいだダジンさんは両親と仲良く話をしているようだった。
あの瞬間自分が気を付けていれば僕もきっと今父上と母上と三人で笑いあっていたはずだった。今更どうしようもない事を何度も何度も何度も考えてしまう。
「……ン、ジェニン。」
「あ、はいすみませんぼうっとしてました。」
「その割には凄い顔をしましたが大丈夫ですか?お待たせしすぎましたねこちらこそ申し訳ない。」
「いえ、考え事をしていたら怪我をした時の事を思い出してしまって。」
また嘘をついた。
「なるほど、死にかけるような怪我だったと聞いているのであんな顔になっても仕方ありませんね。」
苦笑しながらダジンはそう言って納得してくれたようだ。
「ほかに何か用はありますか?」
「もうありません、館に戻りましょうかジェニン。」
そうして僕たちは館へと帰っていく
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