第11話 ニアール
ひとしきり笑われた僕は慣れたようにお茶を飲んだ。
「んでニアールって誰だっけ。俺会った事ないよな?」
「そうだな私の娘だ。お前がここを去った後にできた子だからな歳は一五になる。」
「一五か…ポートさんに一五の娘が出来てんだもんなあ。そりゃあ俺も歳を取るわけだわ。」
無精ひげを撫でながらドクトはしみじみとそう言った。
「旦那様失礼します。ニアール様を連れて参りました。」
ダジンがそう言い扉を開けた。
「お父様入ります。」
女性の声だ。きっとニアールと呼ばれる子爵様の娘。姿が見えた。
ポート子爵と同じ赤髪。背は僕よりも高い。垂れ目にすまし顔。少女はこつこつと足音を鳴らし子爵の隣に座った。
「娘のニアールだ。歳は今年で一五になった。妻が亡くなってから寂しがっているから二人ともよくしてくれ。」
「お父様!お母さまの話はやめてください!あと別に寂しくはありません!」
部屋に入って早々ニアールは声を荒げてそう言った。
「はは!そうだな寂しがってはいないか。すまない、だが妻の事は依頼主として話さないといけない事だ。」
ややばつが悪そうに子爵は言う。
「父上、紹介は終わりましたし私はもう部屋に戻っていいですか?」
やや不機嫌そうな様子のニアールに僕はやや気圧されていた。
「少し待ちなさい。お前の紹介はしたが二人の紹介はまだだろう。この無精ひげの男はドクト。礼節はあまり良くないが気の良いやつだ。そしてこちらの少年はジェニン。歳は一二でお前と三つ違いだ。彼も私兵として雇っているからいつでもとはいかないが仲良くするといい。」
「ドクトにジェニンですね。覚えました。では戻っても?」
「はいはい、好きになさい。」
子爵は苦笑しながらニアールを送り出した。
「すまないな。妻が亡くなって以降あんな様子でね。以前は元気で明るい子だったんだが……。親馬鹿かもしれないが本当は人と仲良くなるのが得意でいい子なんだ。長い目で見てくれ。それはさておき、今日はもう休むといい。ダジンに部屋に案内させよう。明日はダジンに街を案内させる。ダジンあとは頼む。」
「はい、旦那様。」
そう言いダジンが扉を扉を開ける。
「あ、少し。」
ポート子爵が口を開いた。
「ジェニン君、ダジンも君と歳はそう変わらないはずだ確か一六だから四つ違いだ。良ければ娘共々仲良くするといい。ダジンも歳の近いもの同士仲良くするといい。」
「ポートさんありがとうございます。ダジンさんよろしくお願いします。」
「承知しました。ジェニン殿よろしくお願い致します。」
「ダジンさん僕のほうが歳下なんですしもっと楽に話してください。」
「ではジェニンと呼びます。構いせんか?」
「はい!よろしくお願いします!」
歳の近い友人が出来たようで僕は嬉しくなると同時に里の友人達の事を思い出し自己嫌悪に陥った。
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