第五小節 武藤りきた
当時、僕はインターネットにさらにハマり出していたが、喫茶店で働き始めて3年位たった頃、YouTubeというサイトが盛り上がって来ていることを知った。
それまではインターネットで動画を観るという習慣は僕はなかったのでこれはかなりのカルチャーショックだった。
まだ今程コンテンツは充実していなかったが、世界各国のいろんな人達がいろんな動画をアップロードしており、とても面白いサイトだと思った。
ある日、ふと思い出した。
「失ってしまったP-Funkのあのビデオがもしかしてアップロードされていないだろうか?」
僕は検索してみた。
あった。
あったのだ。
6・7年ぶりに僕はYouTubeというサイトでThe Mothership Connectionと再会した。
もう二度と観ることはできないと諦めていた動画が今、目の前で再生されている。
僕は文字通り狂喜乱舞した。
奇跡が起きたと思った。
その日から毎日、何度も僕はThe mothership connectionを観た。
何度も何度も。
そして繰り返しこの動画を観ているうちに、僕はこのビデオのアップロード者に感謝のメッセージを送らずにはいられなくなってきた。そして決してこの動画を削除しないように要望する気持ちを抑えられなくなってきた。
チャンネル開設者のプロフィールを見ると、そのアップロード者はスペイン人のようだった。
僕は、僕がいかにこの動画を愛しているかということを、毎日観ているということを、アップロードしてくれた事を心の底から感謝している事を、拙い英語のメッセージに書き、彼に送った。
すると彼から返信が届いた。
「メッセージありがとう日本の友達よ。P-Funkは最高だよね。ちなみにこのDVDはアマゾンで売っているよ。」
僕は驚いた。アマゾンというサイトは噂には聞いていたが、利用したことはなかった。
命の次に大切だった、そして一度手放してしまったビデオをもう一度購入できることを僕は知り、躍り上がるほど喜んだ。
僕は彼に心の底からの感謝の意を伝えた。すると彼は言った。
"Thank you too, my friend.
One nation under a groove."
クレジットカードを当時僕は持っていたのか、それとも着払いにしたのかは覚えていないが、とにかく僕はその時生まれて初めてアマゾンというサイトにアクセスし、
その日のうちにThe Mothership Connectionを注文した。
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