Blue Orange

うつりと

川原楓

正反対な性格の

彼女と僕

出会ったときの印象は

むしろ最悪だったのに

一緒にいるのはなぜだろう

運命なんてわからない


確かなのは

発想の違いを

面白いと思える感性

それだけは揺るがずに

ここまで来た


晩酌の瞬間を楽しみに

生きてるような僕

仕事のことなど忘れて

酔いしれたいんだ

語り明かしたいんだ


酒はほどほどに

よく食べて

よく笑い

よく喋る

そんな彼女が好きなのに

ダイエットすると言われた瞬間

僕はつまらなくなって

舌打ちしてしまったんだ


なりたい自分になろうとして

何が悪いの?

彼女はあきれ顔

タバコを燻らせる僕


どうしようもないな

勝手すぎるよな

短気な僕が

また顔を出してしまった

冷静になれば

わかるはずなのにな


積もりゆくストレス

愚痴も重なってく

こんな会社辞めてやる……

短気な僕は

上司に啖呵を切っていただろう

彼女の存在がなければ

自分を見失い

途方に暮れていただろう


どこへ行っても順応できる

しなやかな彼女

こだわりを捨て切れない

頑固な僕


ずっと一緒にいると

楽しいことばかりじゃない

本音でぶつかり合い

反発してしまうこともある


そんな時は

目を閉じて

深呼吸してみる

瞼の裏に映る色彩に

心解き放たれる


ブルーとオレンジ

海辺と大地の色

自然なのに洗練された

渚の彩り


子どものころ

飽きずに描いていた

空と太陽

削れて丸くなった

クレヨンの色


冷静と情熱

クールさと温かみ

相反するイメージの2つの色が

互いを引き立てながら調和する

補色の関係

絶妙なバランス


彼女はブルー

僕はオレンジの蝶みたく

ひらひらと

空中を彷徨っているのか

ブルーはオレンジを求め

オレンジはブルーを求め


日々の食卓

とりとめのない会話

ありのままでいられる

何気ない日常に

ブルーとオレンジがある


愛ってよくわからないけど

パズルだとしたら

ずっと探してた

僕に足りないピースを

やっと見つけたんだ


もしも彼女に足りないピースが

僕の中にあって

苦手なことは認め合い

心地良く補い合えるのなら


あしたも

あさっても

晴れの日も

雨の日も

同じ風に吹かれよう


僕たちはもう若くない

あちこちが乱れたり

傷ついたり壊れたり

思い通りにいかないことも

多くなるだろう


だけど恐れることはない

今からでも遅くはない

とっておきのオアシスを

探しに行けばいい


寄りかかったり

寄りかかられたり

できる方がすればいい

できなければ

ただそばにいるだけでいい


ひとりの快適さも

ふたりの心強さも

両方手に入れたい

彼女も僕も

欲張りで負けず嫌い

そんなとこは似ている


ブルーオレンジの世界は

ユートピアなんかじゃなく

揺れ動いている

どう転ぶかわからない

だから人生は面白い

忘れかけてた大切なことを

思い出させてくれる

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Blue Orange うつりと @hottori

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