第9話 白圭の玉

 広い屋敷の何処かで、誰かが話している声が聞こえる。

「ハナエミヒメ様、お母様によく似ておられてとてもお美しくなられました」

「天司神族との混血だと聞いておる。また先の大戦の火種にならねば良いが……」

「あの邇邇芸命とかいう男は磐永姫様に袖にされた途端に妹姫様を嫁に迎えたらしい」

「女に逃げられたとあっては体裁が悪いのか、あの様に美しい磐永姫様のことを醜いと触れ回っているらしい」

「嫌だねぇ、天司神族は……そもそも野蛮なのだよ。どちらも美しいから両方嫁に来いだなんて、磐永姫様が怒るのも無理はなかろう」

 少女はそんな噂話に首を傾げながら丸い窓から外を見上げていた。雲雀が飛んできて木槿の枝に止まり、囀っている。その声が心地良くて聞き入っていた。自分もどうせなら、この鳥の様に綺麗な歌を歌っていたいと思った。人の噂や悪口は言いたくないし、聞きたくない。不意に玉響の音がして少女が振り返ると、母が部屋を覗き込んでいた。

「何をしているの?」

「石を見ていたの。お母様の石は、紅くて所々澄んでいて、光に当てると虹色に反射するからとても綺麗だなって……」

「日長石ね。父上はその石から私の名前をつけたの。でもね、貴女の石だって、とても綺麗よ」

「私のは色が無いので味気ないです」

 少し不満そうに机に並んだ石の中から水晶を弾いてみせた。

「私はハナエミヒメの石が好きよ? まるで水を閉じ込めたみたい。私には真似出来ないわ」

 そう言われ、思わず頬を高揚させた。

「本当に?」

「勿論。透き通っていてまるで貴女の心の様よ」

 少女が笑うと、長い髪に百合の花が幾つも咲いた。

「ふふ、私と同じね」

 そっと頭を撫でると、少女は母の顔を見上げた。母の髪にも、桃色の小さい岩団扇が咲いている。二人はお互いの花を見て笑いあった。こんな幸せがずっと続くと思っていた。

 ある日、沢で瑠璃色の綺麗な石を見つけた。母にあげれば喜ぶだろうと思っていたら、不意に見知らぬ男が来て声をかけられた。

「もし、お美しいお嬢さん、名は何と言うのかな?」

「ハナエミ」

 にこやかだった男の顔が、その名を聞いて一瞬曇った。

「そうか、大山祇命様の娘さんか」

「大山祇は祖父です。母は磐永姫ですよ?」

 男は歯軋りして少女の腕を掴むと引っ張った。

「来いっ」

「やめて! 離して!」

 そのまま遠くへ連れて行かれた。泣く度に打たれ、男は剣をちらつかせた。

「何でお前は生きているんだ?」

 男は少女の胸に刀を立てつけた。頭から抜けるような痛みに耐えかねて気を失うと、男は笑っていた。

「全く、我が子達は人間と変わらぬ寿命で終わったと言うのに、地司神族の分際で……」

 刀を引き抜くと、少女は咳き込んだ。死んだと思っていた少女が息を吹き返して男はたじろんだが、傷を抑えて蹲る少女に再び剣を振り上げた。少女の額を割る様に剣が振り下ろされた。綺麗な顔が赤い血で染まる。それでも死なない少女に男は恐怖と高揚を覚えた。

「そうか、お前も不死なのか」

 不敵な笑みを浮かべた男は腰につけていた壺から黒い玉を一つ取り出した。

「これは天司神族に伝わる禍獣から造った禍玉よ。お前にこいつを入れたらどうなるだろうなぁ?」

 男はそう言うと少女の口に禍玉を押し込んだ。吐き出そうとするが、男が手で抑えていて吐き出せない。そのまま飲み込むと、喉に支えた。禍玉が熱を持つと、喉に痛みが走った。喉が焼け爛れて潰れ、そのまま禍玉が胃へ落ちていく。あまりの苦しさに身悶え、体に水晶の鱗が浮き出ると、次第に龍の姿に変わった。男の笑い声を聞きながら龍はのたうち回って川を登った。透明な龍の姿は禍玉に侵され、どんどん黒く変色していく。木々や草を薙ぎ倒して山を幾つも越えた。黒い血を吐き、やっと疲れ果てて倒れ込むと、死んだ様に眠った。

 気付いたら真っ暗だった。何の音も聞こえない。胸に支えた痛みがあるだけだった。手探りに周りを確認しようとした。何が起こったのか分からない。なんとなく、板間の様な気がする。川や山ではない。誰かの家なのだろう。不意に肩を掴まれた感覚があって、脳裏にさっきの男の姿が浮かんだ。

 いや!

 声も出なかった。逃げようと無我夢中で、龍になった体をばたつかせた。体を床に押さえつけられて身悶えする。耳が擽ったくなって、その後右目が熱くなった。右目に眩しい光が入って、体が硬直した。

「落ち着いた?」

 そっと顔を上げると、碧い瞳がじっとこちらを見ていた。白い髪が、光に当たって所々銀に光っていた。

 綺麗……

 そう思ったが、声が出なかった。龍の体が少しずつ少女に戻ると、青年は衣を一枚脱いでそっと体にかけてくれた。男の人に優しくされたのが初めてで、思わず恋をしてしまった。けれども自分の肌がまるで死者のそれと遜色なく血の気が無い様に愕然とした。こんな姿になる前に会いたかったと目を伏せた。

 


 遠い記憶を思い出しながら、少女は母親の顔を見上げた。

「あの神は、私を助けようと手を尽くしてくれたのです」

 少女の話しが俄には信じられないと言いたげな顔をしていた。顔が真っ青になった母が、目に涙を溜めている。

「けれども、あれが自ら、お前を隠したと申し出たのですよ?」

「それは多分、お母様に私の死を知らせるのを憚ったのでしょう」

 少女の言葉に母親はなんとも言えない苦い顔をした。

「私は自我を失ってお母様を傷付けたくなくて、自ら葦原を離れようとしたのです。けれども私に禍玉を呑ませたのが天司神だと知ればまた戦の火種になったでしょう。そうと知らずに私が禍津神になれば、禍津神討伐を名目に天司神に葦原を荒らされてしまう。それだけは阻止したかったのです。その私の願いを叶える為に、あの神は自らそんな嘘をついたのです」

 少女の話しを御簾越しに聞いていた小蝶は顔を覆っていた。そうとは知らず、憎い相手と信じて自らが侵した罪が苦しい。

「そう……ならば長い間、酷いことをしてしまいました」

 母の言葉に少女は小首を傾げた。

「永く、根の国に縛り付けてしまいました」

 それが、我が娘可愛さから何も知らずに侵してしまった罪であることは少女にも解っていた。そして彼が、それを知られたく無くて母の元へ帰って欲しくないと考えていた事も容易に想像出来た。

「お母様は何も悪くはありません」

 少女の言葉に、母の頬を涙が伝った。

「謝らなければなりませんね」

「いいえ、お母様に、赦して頂きたいのです」

 少女がすかさず応えると、母は少し驚いた様に首を傾げた。



 白い雪が次から次へと降り続いている。橋本 直人はずっと縁側に腰掛けている祐弥に声をかけた。

「迎えに行ったら?」

 直人の言葉に祐弥が少し戸惑った様な驚いた様な顔をして直人を見上げた。

「迎えに行って、岩永姫様にも謝って来たら? 嘘付いてすみませんでしたって。それで娘さんを下さいって言ってくれば良いと思う」

 直人の言葉に祐弥は溜息を吐いた。そんな様子を見ていた智弥がそっと祐弥の隣に腰掛けた。

「一人が怖かったらついて行ってあげるよ?」

「向こうの親へ挨拶に行くのに、兄弟引き連れて来る男が何処に居るんだ」

「僕としては心配なんだよ。そんな何年も根の国に幽閉されていたなんて知らなかったから……」

 智弥が心配そうに話すと、和弥がやって来て智弥の頭を鷲掴みにした。

「てめぇは過保護過ぎんだよ。ほっとけ」

 和弥が木魚でも叩くように軽く何度も智弥の頭を叩いた。

「和弥は心配じゃないの?」

「あ? 俺が止め刺したのにこいつが全部自分のせいにして岩永姫のとこへ死にに行った事なんて何とも思ってねえよ」

 とは言いつつ、あえてそれを口にしたのは凄い根に持ってる。という意味なのだろう。

「俺が行って来る」

 和弥の言葉に三人は目を白黒させた。

「それは駄目です」

 部屋の奥から伊織が声を上げた。息巻いて和弥の傍に来ると、睨む様に祐弥の顔を見てから和弥へ視線を向けた。

「坊っちゃんにもしものことがあったらどうするのですか」

「お前は心配し過ぎだ」

「あんたの娘に止めを刺した張本人です。すみませんでした。話が変わるけど、娘さんを弟にくれてやってくれ。なんて言ったら、僕ならそれこそ挽肉にします。娘居たのに親の気持ち解らないんですか?」

 伊織が怒鳴ると、刹那が後ろから伊織の両耳を摘んで引っ張った。

「傷が開くから喚かないで。子供って言ったって殆面倒見てないんだから仕方ないじゃない。血が繋がってるってだけでしょ? 情が薄いからそこまで考え到らないのよ」

 和弥はそれを聞いてあからさまに眉根を寄せ、不満気な顔をした。

「でなきゃそもそも人質として地司神に差し出したりしないわよ」

「俺、思うんだけどさぁ」

 不意に霞雲がやって来て声をかけた。

「賢兄の子供って、真奈だけ?」

 霞雲が問い質すと、全員の視線が和弥に注がれた。和弥は明後日の方向を眺めて何も言わない。

「え、ただのクズじゃないですか」

 伊織が抗議すると、和弥が伊織の頭を鷲掴みにした。

「あ?」

 和弥が睨むと、祐弥が声を殺して笑っていた。智弥が不思議そうに祐弥の様子を伺った。

「何だか昔に戻ったみたいだな」

 呟く様に言うと、皆其々の顔を見合わせた。祐弥は不意に立ち上がると雪の降り積もった庭に出た。智弥もそれを追って外へ出ると、祐弥の腕を掴んだ。

「君の望みは何?」

 智弥に問い質され、祐弥は澄んだ眼差しを向けた。

「俺の望み……?」

 智弥の後ろを見ると、心配そうに佇む刹那や、不満そうな顔をした伊織、困惑したような表情の直人を見回した。

「俺の望みは……」

 灰色の空を映した祐弥の瞳は、澄んだ青空の様な光を宿していた。



「彼は私をお母様の元へ帰そうとしていました。けれども私は、彼を犠牲にしてお母様に顔向けする事はどうしても出来ませんでした。彼も生まれは高天原でしたでしょうが、この葦原に住む以上、私の守りたかった葦原の神々に違いはありませんでした。私の願い通り、彼はこの葦原を守ってくれました。自分を犠牲にしてしまった事は残念でなりませんが……」

 母は静かに少女の話しを聞いていた。

「彼を犠牲にしてお母様の元へ戻らなかった私を赦してほしいのです。そして、私が守りたかった葦原の為に嘘を吐いた彼をどうか赦して頂けないでしょうか?」

 少女の瞳には強い意志が籠もっていた。母は美しく磨き上げられた金剛石の様な自分の娘の成長が喜ばしく、心底嫉妬していた。

「何を言うの。貴女が無事に戻って来てくれれば、私は怒ったりなどしないわ。ただ貴女が、誰かを犠牲にした上での幸せを願わないと云うのであれば、それこそその気持ちを最優先にしたことを誇りにこそ思えば、恨みになど思いわしないわ」

 母が優しく少女の頭を撫でると、少女はにこりと笑った。その笑顔につられて母も笑顔になると、優しく頬を包んだ。

「お母様、私、葦原でまだやり残した事があるのです」

 娘の唐突な発言に母は目を丸くした。

「これからはもう、私の傍で、私の手伝いをしてくれないかしら? 私と一緒に葦原に住むあらゆる命の為に……」

 母は娘の言葉を遮るように矢継ぎ早に話した。やっと戻って来た娘をもう二度と手放したく無いと思うのは、当然の思いだろう。

「お母様、私にもう一度機会を与えて頂けないでしょうか?」

 娘の言葉に母は不安そうな顔をした。

「もし、あの時に禍を飲まされなければ、私は外の世界に踏み出すこと無く、お母様の元でこの国のあらゆる命の弥栄の手助けが出来たでしょう。けれども私は外に出て、悪い事を平気で行い、自らの罪で地獄へ堕ちていく者たちが居ることを知りました。お母様ならそんな愚かな者をどうしますか?」

「放っておきなさい」

 母は冷たく言い放った。

「貴女に禍を飲ませた男も、自ら地獄へ堕ちていったのです。そんな者たちに一々構っていては埒が明きません。愚かな者は愚かな者らしく、それに見合った苦しみの中で身悶えていれば良いのです」

「けれどもお母様は、そんな愚かな者たちにも白圭の玉を授け、弥栄を祈って葦原へ見送って下さるのでしょう?」

 母は決まりが悪そうに顔を歪めた。

「それを磨くのも曇らせるのも人の行い次第です。私の思いを蔑ろにして霊留は懈怠に走っているではないですか。だから、私は住まいを分けたのです」

「そうですね。けれどもその白圭の玉は、玉石混交の中ででしか磨かれません」

 娘の瞳に母は気圧された。

「私は、お母様の思いを抱いて葦原へ生まれ出た命の、白圭の玉を磨くお手伝いがしたいのです」

「それならここでも出来ます」

「そうです。だからこれは私の我儘です。もっと人の世で勉強して、人の事を知り、人に寄り添ってみたいのです」

 娘の目に迷いなど無かった。

「……そんなにあの男に惚れているの?」

 母の言葉に少女はにこりと笑った。

「私は、彼から沢山の事を学びました。何も知らなかった私の世界を拡げてくれた人です。彼は私でなくても、誰にでもそうしたでしょう。だから、彼のお手伝いをしたいのです。足が不自由な彼を支えられるくらいもっと強くなりたいのです」

 少女の言葉に、御簾の向こうに座っていた小蝶が体を震わせた。それに気付いていたが、母は素知らぬ顔で娘を抱き締めた。

「沢山学んでいらっしゃい。そしていつか学んだことを私に教えて頂戴。いつでも見守っているから……嫌になったらいつでも帰って来なさい」

 母が涙を堪えて言うと、少女は優しく母の背中を擦った。

「長くご心配をお掛けしていたのに、本当にすみません。必ずここへ戻って来ます」

 母の頬を涙が伝った。何度も頷く母に少女は優しく抱きしめていた。



 もう日が暮れ始めたのか、辺りは暗くなって来ている。祐弥はそんな空を見上げてから視線を縁側に寝かせた百合へ向けた。

 やっぱり戻って来なかったか……

 祐弥は溜息を吐いて百合の髪を撫でた。

 取り敢えず適当な魂を捕まえて、自分の式神として彼女の体を人間として活かしておかなければならないと思った。でないと姫宮家の者が悲しむだろう。自分の式神にしてしまったら記憶が無いから適当に書き換えるとして……彼女の傍で色々と支援してやらなければならないから、和弥に頼んで施設で生活するか……高校まではそれでなんとか……出来る気がしないが、和弥と伊織にも手伝って貰おう。姫宮家の人間には騙す形にはなってしまうが、長く行方不明だったのにまたいきなり失踪したとか事故で死んでしまったとなると不審に思う者が出てくるのは当然だからな……高校卒業したら俺の式神としてまたここに戻って二人で暮らそうか……? 彼女を見る度に百合の事を思い出して、自分が正気でいられる自身は無いから多分、彼女を道連れにして死ぬんだろうな。

 そこまで考えて、祐弥は百合の髪から手を引っ込めた。

 自分勝手で酷い話しだ。だから百合にも嫌われてしまった。俺は結局、自分の事しか考えてない。百合の笑顔が見たいのに、泣かせてばかりだった。だから何もかも投げ出してこの世界から逃げ出したかった。

「祐弥、和弥が帰るって言ってるんだけど……」

 不意に智弥に声をかけられて我に帰った。

「百合ちゃんの遺体、姫宮家に持って行くって」

 思わず、咄嗟に百合の体を抱き上げていた。辛うじて術で血の流れが止まらない様にしているが、見捩り一つしないその体は屍体のそれと変わりなかった。

「もう少し……」

「祐……」

 智弥が心配そうに声を掛けるが、祐弥は百合の体を離さなかった。見兼ねた和弥が祐弥の傍に来ると、祐弥は更に強く百合の体を抱き締めた。

「そんな人形どうするつもりだ? 式神にでもして人間のフリでもさせる気か?」

 図星を刺されて祐弥は何も言えなかった。

「俺がまた止めを刺してやるよ」

 思わず、智弥が祐弥を庇う形で二人の間に割って入った。

「辞めて下さい」

「うっせぇ。退け」

「坊っちゃん! 前科一犯で務所に入るつもりですか?!」

 伊織が和弥の腕を掴んで叫んだ。和弥が睨むが、伊織も睨めつけた。祐弥は百合の体を抱え上げると、雪の吹き荒ぶ外へ出た。

「何処へ行くのよ!」

 すかさず刹那が祐弥の前に立ちはだかると、祐弥はゆっくりと息を吐いた。

「この娘が居ない世界なら俺も居なくていい」

 祐弥の言葉に刹那は困った様な顔をした。

「花ならまた咲くわ」

「そう。けど、俺が愛した花はもう咲かない。生まれ変わったとしてももうそれは俺の花じゃない」

「だから、愛おしいんでしょう?」

 刹那の言葉に祐弥は驚いた様に目を丸くした。

「花は何れ枯れてしまう。美しく咲いて、潔く散ってしまう。その一瞬の気高さに惚れたんでしょう?」

 祐弥の目から涙が一筋流れ落ちた。霞雲が心配そうに祐弥の頭を撫でた。

「こうなるって解ってて御魂伏の解体をしたんだろ?」

「解ってた! けど……」

 祐弥が怒鳴ると、霞雲は手を引っ込めた。

「どうすれば良かった……?」

 祐弥がその場に蹲ると、刹那と霞雲は視線を交わせた。

「何処で間違えた?」

「間違えてなんかないよ」

 不意に百合の声がして祐弥は百合の顔を見つめた。大きな黒曜石の様な瞳に自分の顔が映り込んでいる。百合は祐弥の頬に手を伸ばすと、頬を流れた涙を拭った。

「泣いてるの?」

 百合が微笑むと、祐弥は少し不満そうな顔をした。

「泣いてない」

「嘘」

「泣いてない」

「泣いてたよな?」「泣いてたわよね?」

 刹那と霞雲に言われ、祐弥は百合を抱え上げた。百合はお姫様抱っこをされて思わず頬を赤くする。

「お帰り」

 百合の額に軽く口吻をすると、百合は嬉しそうに笑った。

「ただいま」

 百合の声が心地良くて離すことが出来なかった。

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