07:伝統の決闘

 シイタケ、マイタケ、ピーマン、アスパラ、ニンジン、サツマイモ、紅ショウガ。

「今日はごちそうだね!」

「死ぬ前にわんつかでも良いもんかへでやりてぇべ。ホッシーや、イモの皮だら剥がねくていいで」

 脚は1本無くても、座って野菜の処理が出来る星将軍はニンジンの皮むきを終えてサツマイモに手を掛けようとしていた。言葉は通じないが手振りと勢いで通じる。

 厨房仕事用に将軍の髪型はヨモが結った”友情二毛巻”。基地到着以来、初めて彼女が笑った偽中国語である。側面ちょっと後ろ下寄りが大人っぽいかもしれない。

 鳥肉、ウィンナー、エビ。

「これはイカかい?」

 本日到着の木箱氷詰めの活イカ。

「親んずだな。あいや、わんつかコウイカ混ざってらで。半端だことすんでねぇじゃや」

「刺身?」

「あーん、ゲート潜ってらばアニちゃんも菌も死んでらけどな」

「めんどくさい?」

「めんどくせぇことはしねじゃ」

「この蟹、何て言うのカニ?」

 ヨモちゃんダブルピース。

「チクビスケスケマンジュウガニ」

「チクビスケスケマンジュウガニ!?」

 異界の海産貢納品。甲から見ればマンジュウガニ、裏を返せばチクビスケスケ。

「今時期だと網で近くの底引けば獲れんだど。そのおっぱいえったヤツは卵だな、スケスケ膜は食われねから投げれ。醤油とみりん漬けさする。明日かー、明後日だな」

 蟹の脚をもぎ、脚先以外の殻を剥いて天ぷらへ。胴体は中をほじって味噌汁へ。

 星将軍が北京語で何か喋って身振り手振り。トウコが解読する。

「おぉおぉケジャンだらめぇよな! 食いづれっけどな」

 本日は天ぷらに加えてざるそば。大量の湯、そして冷やす氷水。温かい汁のそばより作り辛いごちそう。

 屋上で「ご飯ですよー!」と呼び掛け。

 配食窓口の1番着はユウコ、ヒャーとも聞こえる喜びの声を上げる。

「天ぷらとそばだよ!」

「おそばっ、おそばっ」

 何時に無い上機嫌、小躍り。好物は冷たいそば。

「撒がすなよ!」

「はーい!」

 2番着。

「あっピーマン!」

「ピーマンが食べられない人は臆病者の敗北主義者だよ」

「みっ子食べれるもん!」

「えらい! じゃあ、おまんけ」

 天かすをそばに追加。

「やった、おまんけ!」

 3番着。

「わたしもおまんけ!」

「はいおまんけ!」

 天かすのふりかけは売り切れごめん。

 厨房勝手口から異界語。

「はいはーい」

 食器洗い用の海砂利の受け取りにヨモが「ご苦労さまー!」と出る。言葉は通じないが、やり取りは単純。

「あれ、トコちゃんお金かなんかいいんだっけ!?」

「税金みてぇなもんだ、いいじゃ!」

「でもなんか」

「んだら天ぷら包んでやれ! コウイカ余ってらじゃ、分けでらっけよ。あー、昨日の握りママもけでやれじゃ!」

「はーい!」

「お茶も出せじゃ。かへろかへろ」

 基地周辺の現地人は荷車のような車輪付き器具は持たない。砂を俵に入れて担いできており、基地までは海岸線より登り坂で重労働。彼等は喜んで飲み食いを始め、拝むような仕草で礼を言われる。通じなくても大体分かる。

 星将軍が指差し、通じない言葉で疑問を呈した。

「あん? おめなの基地だら全部ぶっ殺してらのが? そんだらまそんだろな」

 敵対感情は地域で異なった。出会いの不幸にも程度がある。

「いただきます」

「あいよ! おお黒ちゃん、そばアレルギーとかなんかあんだが? たまねぎ食ったら血管裂けるとかよ」

「問題ありません」

「んだが」

 ”門の方”などと呼ばれるのが異界で一般的らしい黒い賢者も霞ではなく天ぷらとざるそばを食べる。箸使いは基地訪問初日、見真似ですぐに習得した。

「あ、黒ちゃんこっちきて食べよ!」

 トウコが不相応なあだ名をつければ皆も異形だろうと慣れた。


■■■


 夕食を支度する音が聞こえる食堂で、使い辛い日本仕様の辞書を使って星将軍は日本軍広報誌を時系列順に読む。ユウコとハリカのやや拙い英語で内容を聞いていて、それをおおむね信用するが自身で確かめなければいけないと感じたのだ。

 責任者は辛い情報も受ける義務がある。

 瀋陽軍閥将官、顔も名前も知る、輝ける巨星を筆頭に友人知人に親戚戦友から嫌いな糞野郎までが軒並み民主政府によって絞首刑に処されていく。追究する件が無くなり次第吊るされている様子であった。

 ゴシップが目的ではない軍広報誌には載らない軍事政権への批判は厳しく、有ること無いこと醜聞まみれになっていると想像に難くない。緊急事態だったとはいえ戦争犯罪ばかり犯していたことは事実。感覚が麻痺し、あからさまな悪事も確かに横行。その上、人員不足から処罰も曖昧、身内の論理で通っていた。潔癖に考えるなら恥を覚える。

 地球上の旧国境線は回復された。民主政府が正統正義であることを示すため刑罰は苛烈にならざるを得ないが中世のような腰斬刑は出来ない。ならば見せしめに過剰な恥で潰す。不条理は勿論だが、統治上不合理ではない。

 旧軍閥下の一般人、責任追及するには多すぎる将兵と民兵。彼等には洗脳から解放されたという物語が示され、罪悪感や反抗心を払拭させて現状に復帰させる必要がある。求められるのは真実ではなく統制、後に平和。

 向かいの席にハリカが座る。千切れた腕は生え変わり、今はまるで赤子のような小ささと肌つや。魔力とは変幻自在。

「将軍は名を捨てここにいるべきです。地球に帰れない者を外人部隊として置いたこともあります。補給は死者を死んでいないことにして調整してきました。将軍の才能が縄に吊るされるのはあまりに惜しい。私が必要とします」

 メモ用紙片手に、ハリカは出来るだけ意志を伝えようと言葉を選んだ。

「敗軍の将だ。好きにしろ」

「では早速才能を活かして貰いたいのですが、よろしいですか」


■■■


 渡島大島基地には迫撃砲が配備されている。集中運用する程の技師は生存しておらず、突発的な戦闘には使えず、魔力が非常に乗せ辛く、プラスチック程ではないが地球と違う腐食環境によって劣化した砲弾は不発率が高い。かつては嫌がらせに谷の居住地を爆撃したものだが、目に見えた効果は無かった。

「設置完了!」

 星将軍は砲術の天才と言われる。念動、発火、電撃等の複数の特殊技能を組み合わせて複数機械を同時操作可能。ハリカに忠実な姉妹達が設置した7門の81mm迫撃砲程度なら容易い。最大で54門の火砲、18機の多連装ロケットシステムを同時管制したこともある。

 星将軍の特殊技能は射撃レーダー照射に準ずる行為が可能。双眼鏡にて谷の勢力最大の財産である堤防を観察する。

「破壊しなくていいんだな」

「砲弾外交です。日本の将棋はご存じですか」

 ハリカはただで停戦条約を履行する気などなかった。

「相手の駒が使えるとは……これから照準を当てる。用意は?」

「どうぞ」

 魔力による射撃レーダー照射開始。その1点に砲弾が当たるよう、見えない魔力の無数の手で迫撃砲の照準を調整。傍目には砲自体が自らジリジリと旋回、仰角調整。手伝い不要、砲弾を念動で砲口から装填。腐食した整備不良弾であろうと強制発射。砲弾初速を感知しては念動で弾着点を発射後に修正し、照射点に着弾。噴煙、破片、破孔を確認。

 堤防は木製である。ただし異界の原油を吸って育ったカーボン複合材的な木材であり極めて頑丈。破孔部にピンホールショットを繰り返さなければ脅しにもならない。今なら出来る。

 空に1本影、ハリカが短槍で斥力穿って迫る矢を”第3の目”で良く捉えて弾く。

「精確な狙いが弱点ですね」

 堤防卿の軍には対レーダー射撃が出来る弓使いが存在する。魔力レーダー波を照射し理解して利用出来る才能を持つ者はごくわずかで有用。電子機器が軒並み使えない異界では尚更。

「ではもう1発。次に煙が治まってから不発弾を連続、それから同時着弾」

 星将軍は信管を麻痺させた迫撃砲弾をもう1発発射。堤防に作ったばかりの破孔へ当て再度炸裂。次に7発連続で当て、弾けず転がり落ちる。仕上げに同時着弾もしてみせた。

「ははっ、精確っ!」

 ハリカが喜び、合図の旗を少女兵が振れば、俗世にはあまり関りそうにない黒い賢者が堤防城へ向けて進んだ。

 異界の超越者とハリカ、思惑が一致している。”行動力に感銘を受けました”とその魔力により第3の目が開かれ、その権威により野望を果たす決闘を堤防卿に望む。

 賢者、尊者は異界においては威光極まった時代の天朝のごときもの。あまねく絶対の権威が立会人を買って出て交渉した時に断れる者はいない。不義も当然許されない。後は実力が物を言う。


■■■


 決闘準備のために時間が設けられた。こと政治に関わり結果が政変に至るならば関係各部へ連絡を入れ、立会人を集めなければならない。

 堤防卿は堤防より下流、水利の恩と奉公の関係にある土豪と調整しなければならない。黒い賢者のご威光あれば話は早いが、単純に伝令を各地に行き渡らせるだけで日数が掛かる。当然電話など無く、遠出になれば準備が要る。彼等も大変なのだ。

 渡島大島基地側も本来は霞が関に留まらず永田町とも連携を取らねばならないような案件であるが対応する頭は1つ。軍閥化が進む。

「この地方の伝統では決闘本戦の前に予備戦を行います。本戦では勝敗が曖昧な場合があります。例えば相討ち、勝者が生存することが成立条件下での予後不良、そのような場合に予備戦の結果を参考にします。そのため武具を用いず、素手で非殺、殺さないで行います。つまり相撲ですね」

「お相撲!」

「はい。このような戦いはヨモ、あなたに手伝って貰います」

「私でいいの?」

「徒手格闘では最良です」

「そうかなぁ?」

 これは褒められたと思って照れ笑い、平手打ちを受けて顔つきが変わる。終始機嫌良さげな表情が真顔に落ちる。

「ヨモ、あなた、1発貰わないと戦う気力が湧かない性格をしていますね」

 眉間に皺が寄って目が据わる。

「もしこの1発で死んだら何にもなりませんよ。分かりやすく言うと糞にもなりません。その間に仲間が死にます。職業プロレスラーならそれでも良いでしょう。であなた、プロレスラーですか?」

 喋る口を閉じる。

「私達に深い繋がりだけを大切にしている寿命はありません」

 身体は脱力、やや猫背、手は半開き。

「惜しんでいる暇もありません」

 ヨモはハリカの首を掴んで1本片手投げ、は勢いを利用されてそのまますっぽ抜け、後頭部に反撃の膝蹴りを受ける。脳が揺れる感覚も無い。

 掴む熊の手を避ける回転舞の脛踵蹴り、水月足先蹴り、頸部回し蹴り、胸部両脚蹴りからの後転連続逃げ。

「手応え無し! そんなにも才能があるのに私に余裕があるのはあなたに攻撃精神が足りていないから。やれば出来るのにやれることをしないから。プルガサリを殺した剣持玉のように一切躊躇無く玉砕しろとまでは言いませんが、その重い腰を直さなければいけません。もし予備戦で不甲斐無い結果に終わったなら私はトウコを殺します、島の可愛いご親戚だって狙ってやります。決闘には我が身を賭けました。本気です。生涯も基地も壊す覚悟でやっています。逃がしはしませんよ」


■■■


「ずんぶお嬢とイチャコラしてらのぅ!」

「うーんーうん」

 ここのところ朝から晩までヨモは徒手格闘訓練に専念している。ハリカや長髪の姉達に負けはしないが攻撃精神とやらが足りないとケチがつけられ続けている。疲れて足取りが重い。偽装した死者名義で発注した義足をつけ、杖を突いて歩いている星将軍の方が元気に見える。精神が攻撃されている。

「ヤツだら一生懸命だからな。良いどこだし、めんどくせぇどこだな。馬鹿も真面目も程々にしろって教わんねがったんだな。ホッシーどんだの!?」

「勝利だけ。負ければ全部無い。首……喉?」

「あいやいいでゃいいでゃ。まあ、んだのぅ」

 星将軍は簡単な日本語を覚えつつある。必要があれば吸収も早い。

 今日の厨房はほぼお休み。瓶のオレンジジュースと菓子パン各種。カロリーは問題無し。腹が減ったとうるさければ期限切れが近い保存食糧が出せる。現地人からの貢納品があればそちらも多少は出せる。異界の植物食品は癖が強いが動物食品は工夫が必要だがおおむね良好。

「いただきます!」

「はい」

 配食するヨモの返事は小さい。姉妹達が首を傾げる。

「ヨモちゃん元気無いの!?」

「何でぇ!? パンの日だから? お米の力が足りないの?」

「分かったトコちゃんの足めっちゃくっさいからだ!」

『足くさぁ!』

「うるせじゃこのはえぐ行けじゃ! へぁっ! しっしっ! やいや痰絡んだじゃ」


■■■


 厨房隣の寝室には星将軍が新メンバーとして加わる。厨房の仕事をしつつ、ある程度の介護を受ける必要があるため、世話が出来る者と一緒が適切。施設教育型の果敢な攻撃精神では不適切。白山から今日までヨモがほぼ付き切り。

 もう靴下を履いて寝る季節。異界にも冬があり、基地内の壁には熱伝導率を下げる絨毯が掛けられる程。本格的な冬に突入してはいないが燃料節約のため、早期に措置が取られる。

 星将軍は靴下が片方余る。トウコが「なんも重ねればいがべ!」と履かせる。

 言葉と肩書が周囲に通じず、元より明るくも無く愛想も悪く、良いニュースが飛び込むことは今後無いと人生の陰に入った心算の星将軍には、そこそこ遠慮ないトウコが大体丁度良い。

 ヨモがトウコの履いている靴下に手を突っ込む。屁でお返し。

「ちょっ! くさっ、あ゛っ!」

 ヨモ退散。

「ひやっはっはっは! 熊スプレー! おめも出してみねが!」

「出ませーん」

「そのデッケぇバズーカから出ねってが!」

「出ーなーいー!」

 遅れて臭いがやってきた星将軍が「うえっ」と言う。

「ひやっはっはっは!」


■■■


 決闘当日、場所は堤防卿の城の広場。多数の土豪含む、堤防河川流域関係者を収容出来る施設はこの地方でここしかない。また賭けられるものが主権となれば、その主権が存在する場所が適当である。

 賭けられたのはたかが女の身一つに対し偉大なる堤防の主権。当たり前のように並び立たない。これより強い子を10、20人と産むにしても全く釣り合わない。それを強引に合わせたのは堤防への砲撃と脅迫である。破滅か決闘かを強要した。

 ユウコと長髪姉妹、黒い賢者、土豪等の立会人が居並ぶ中で決闘予備戦が始まる。

 渡島大島基地からヨモ、堤防城から堤防卿の長子が決闘場に歩み出る。

 戦いの形式は徒手格闘、武器禁止で防具禁止。動きやすい服装で、手袋や靴も禁止。

 武装せず明らかになった長子の顔はこの地方の異界人と異なった。少女隊と同類、美少年の系譜。年頃もそう離れていない。つまり母は地球人、ハーフである。

「あの男が対レーダー射撃の弓使いです。あなたが来た日、眼鏡の子が死にましたね。仇が取れます」

 ハリカが耳に囁けばヨモの目が据わる。

「お相撲しようか」

 ヨモが足を上げて天地上下に股割り、四股を踏んで地が揺れ、座席がずれ、見届け人の尻に伝わり、地の振動が空を煽って響く。驚きの声、鳥が飛び立ち、家畜が鳴き、逃げようと綱を引き延ばす。野獣払いの四股踏みは音以上に心を震わす。

 隙ありの熊手打ち、美少年の顔を4つ裂き。すくい投げ、うつ伏せに引っ繰り返して腰を掴んで四つん這いにさせてジャーマンスープレックス後転から直立、尾てい骨割り、裏の投げっぱなし、合わせのムーンサルトダブルニープレス、飛び上がって立ち、踏みつけ、逃げる腕捕まえて引き摺り、宙釣り踏み付け、足首掴んで大上段叩きつけ。顔の抉り傷に指引っ掛け片手で持ち上げ、呼吸確認。堤防卿へ放り投げて渡す。

 長子が医師に引き渡され、不殺を守るためユウコが治療してから決闘本戦。

 互いに甲冑を纏い完全武装。ハリカは裸足。馬体のような下半身の堤防卿は蹄先まで装甲化。

 初手、堤防卿は長剣投擲。ハリカが下両腕の軍刀2本で受けるが弾けず、通り過ぎず、軸旋回始めて火花散り押し切りの動き。必殺の念動剣は全体重を掛けたような重さ。

 第3の目開き、長剣と堤防卿の間の空間を上左腕の短槍で切る。落ちる。念動で拾い上げようという動きも再度短槍で払われる。

 驚きの声が上がる。念動の”線”のようなものを切る現象は、少なくともこの地方では初めて観測された。

 堤防卿、手に長剣持って前へ。4本脚、高い身長、恵まれた体格による長剣の一撃は極めて重く、早くて長い。

 ハリカは子供のような上右腕での拳銃射撃で顔を狙い、目くらまし。やや狙いが反れたところで軍刀2本で受けやや滑らせ、身体を横へ左、しかし左上腕切断、短槍落下。

 続く体当たりでハリカを弾けず、するりと”く”の字に上体反らしで4本脚の隙間へ、抱き合うような姿勢で軍刀離し、右の蹴る裸足は足首に備えた装爆雷剣を掴んで堤防卿の後脚股座を突き爆破。爆圧で内臓損傷、腰上がって前のめりに転倒。

 ハリカは軟体曲芸の姿勢から逆立ち、ゆるりと片足立ち。脛先失った右の膝を曲げ、回転舞で跳んで移動、短槍を拾い、大量出血する堤防卿の股間へ更に突き刺し、傷口を広げ、筋を切り、関節にねじ込み、立ち上がろうとする動きを止め、念動の線も切り、腹圧で飛び出る腸を絡めとって伸ばし、死亡が確信出来るまでほじり回す。

 尋常なら重傷でハリカも相討ちになるところだが、失った四肢をも再生する魔力が大量出血を早期に防いだ。激戦地でエースを張って生き残るには理由がある。

 それから頭へ寄り、仮面兜を剥ぎ取り、雷剣を首筋に突き立て爆破切断。取った首を短槍に突き刺して掲げる。

 土豪達は席を立って佩いた武器を地面に置き、それに両手を添えて座礼。この地方における服従の証明。

 意識朦朧とする長子が引き出され、ハリカの隣に座らせられる。これはトロフィー。

 前王朝の子息を婿に迎えての新王朝発足。ただ武芸に秀でるのみにあらず、賢者を立会人に引き込む政治力、ザース世界の技術や軍事力を引き込む力があり、血統を尊重するとなれば君主として頂くに、まずは不足無い。

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