葛葉
第19話
その切っ先は、
弥吉は白い目
「ま、
ポンと、刀を肩に担ぎ、無慈悲な鬼が一転、にっかりといたずら坊主。
「終わりましたね!」
「ああ、ご苦労さん」
「はい!」
陰火が消えて、そこから現れたのは、仔狐。
それはなんと、コン太へとさらに変化したのである。
よくやったと、源十郎に頭を撫でられればコン太は無垢な笑顔。犬が尻尾を振って喜ぶさまに似ていた。
めっきり涼しくなった秋の夜に、すすきを揺らす風、さらり。
ぷんと、あたりに季節外れな
風のなかに。
源十郎の顔がまた、引き締まる。
夜の闇に満ちて、甘く、
(チッ……)
月がまだ隠れたままの黒い夜空に現れたのは、一匹の巨大な白い狐。
にらみつければ、それはみるみると、
「母さま!」
コン太は源十郎とは逆に、尻尾をぶんぶん振らんばかりに天を仰ぎ見る。
「あらあら、あんさんはいつまでも甘えたどすなあ」
「そ、そんなことはありません!」
母にたしなめられ、はしゃぐ顔を急に引き締めたコン太であった。
それを
「お
「はい!」
「まぁ。相変わらず、お返事だけはええ声どすなあ」
「そ、そんなことは……」
「ま、ええどす」
かしげるようにして、源十郎へと向く仕草。
「さて、そちらさんも、お勤め、ご苦労さんどす」
心のこもっていない薄っぺらい言葉など、かけられても嫌味にしか聞こえない。
源十郎、その心を隠しもせず。
「フン。てめえに
「そうどすなあ」
狐女は
「人の世はいつでも騒がしゅうていけまへんな」
白くも美しい
「人の世を見くだすのもいいが、山んなかだっていうほど静かでもなかったじゃねえか」
「フフフ」
切りつけるような源十郎の言葉にも、狐女は静かに笑う。頭上でぷかぷか、
「
「コン太と一緒にな」
「そうどす。そやさかい、あんさんに付けるんは、うっとこの子の修行に打ってつけや思いましてなあ」
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