第20話
「それで、今日は何なんだ?」
「いややわあ、そないににらまはって。おお、こわ」
「話しにならねえ」
「かわいい我が子の働きぶり、ちょいと覗かせてもらっただけどす。あきまへんか?」
「本当に、コン太の様子見と、それだけか?」
「他意はあらしまへんえ。念押しはいやらしおすなあ」
「おまえが出てくるとなあ、裏も含みもありそうでいやなんだよ」
「ほんに、疑り深いお人やなあ。うちの子、役に立っとりますやろ?」
「それはまあ、な」
今回もだが、そこは否定しようのない
狐女も我が意を得たりと、
「かわいらしい、コン太っちゅう、人の世の名前もつけてくれはって」
「てめえら、
「フフ……。それは当然おす。うちら、それを知られたら、命取られたも当然どっさかい」
「俺は別に、おまえらの命を取ろうとはおもわねえ」
「そやったらよろしいおす。うちも安心や」
「だがまあ、他のもんはしらねえからな」
「そやから、コン太と? おおきにぃ」
「
「はい」
「
源十郎が反撃にも、
「いややわあ。子がお世話になっとるんやさかい、
「てめえ、
「たとえそうやとしても、あんさんがやることに変わりはおへんどっしゃろ? 人の世にのさばる悪を、
打てば響き、立て板に水の返しがまた小憎らしい。
クスクスと、
うすら寒いものを背中に感じ、源十郎は身震い一つ。
それを目ざとく、楽しげに見下ろしつつ、白狐葛葉は、
「これ以上はお役目のお邪魔になりますなあ。ほな、また」
「二度と会いたくねえ」
「いけずやわあ」
そこで葛葉は、コン太にまた向き、
「コンも、これからも源十郎はんのお役に立てるよう、気張るんやで」
「はい!」
雲が消えた。
月が現れれば、その白い光に溶かされるようにして、白狐葛葉も消えてしまった。
月を隠していたのは妖術だったのかもしれない。
すすき野を
「おまえだけならともかく、厄介な奴に取り
くしゃくしゃと、またコン太の頭を撫でつつ、珍しくほっと息つく源十郎であった。
今宵の月は白く輝く。
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