【SS】四月一日のすれ違い。【30秒小説】

環月紅人

本編

「わたしあなたが好きでした」


 きょとんとした。

 初めての経験だった。でもすぐにその意味に気づいて、浮き足だった気持ちも沈む。

「エイプリルフールだろ、知ってるよ」

 本当にタチが悪い。笑い者にする気だろう。

 ……ああ、でも。

 ちょっとだけ。ほんのちょっとだけ、それが真なんじゃないかと横目に様子を見ていたが。

「……はい、っそう、です、エイプリルフール、でした。ごめんなさい……」

 涙ながらに作り笑顔の彼女が、そう謝罪した。


 ああ、もう。

 もっと素直にいれば良かった。

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【SS】四月一日のすれ違い。【30秒小説】 環月紅人 @SoLuna0617

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