夜九時に高校に忍び込んで警備員に見つかりそうになった

 高校一年生のとき、学校でいじめられていた私は教室の机に自分の荷物を置いておくと筆箱の中身なんかを勝手に漁られたりして困っていた。

 それで、仲が良かったとある先生の研究室(予備の職員室のようなもの、各教科ごと設置されていた)に私物を移すことにした。

 問題は時間で、昼間にやるといじめっ子に見つかるので、私は夜九時の学校に忍び込んだ。


 定時制の授業が終了し、真っ暗になった教室に入った私はまず私物を全て男子トイレの器具庫(掃除用具置き場)に移した。次の日の朝登校したときに今度はそれを更に研究室に移す予定だった。(夜間は研究室に鍵がかけられていて出入りができなかった)

 しかしトイレから出た直後、巡回していた警備員に見つかりそうになった私は、再び器具庫に身を隠した。

 こんなことをしてもあくまでもその場しのぎの対処法でしかない。警備員は物音を聞きつけたのか、懐中電灯を片手に男子トイレに入ってきて、私は当然そのまま見つかるはずだった。

 しかし私は咄嗟に器具庫の壁に手足を突っ張って体を宙に浮かし、器具庫の下だけを覗いても足が見えないようにすることに成功したのだ。アホくさ。(トイレもそうだが、大体仕切りになっている壁の下の部分が微妙に空いているので、普通に立っていると中に人がいることが外から分かってしまう)

 警備員はしばらく不審そうに懐中電灯の光を器具庫に向かって投げかけていたが、息を殺して何分経ったか分からなくなった頃彼は去った。

 こうして私はなんとか見つからずにすみ、私の私物は無事研究室に移動できた。

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