第42話 鼓動

ハジメは決して弱くない。

それがたった2合で敗北した。


「なんだろうな、手加減したのかなぁ。

 サボルチで助けたお礼かもな」とチェスキー。

「どうだろうなぁ。斧も軽かったしな」

そうテージョは言うと横になる。


「見ないのか?ジヴァニアの戦い」と

聞かれると

「うーん。少し眠たいんだ」と言うと

そのまますやすやと眠り始めた。

「出番の時には起こすからゆっくり寝ろ」

とチェスキーは言うとジヴァニアの戦いを

見に行く。


すでに戦いは始まっていた。

「リスボアには食い下がってほしいなぁ」

と呟きながら闘技場に入ると。


ジヴァニアが片膝をつき、鼻血を垂らし

剣を杖代わりにしていた。

リスボアは剣を両手でしっかりと持ち

ジヴァニアと対峙していた。


「まじか!?」と驚くチェスキー。


「宿れ!フェニック・・・!」とジヴァニアは

叫ぶが吹っ飛ぶ。

「させない!」とリスボアは踏ん張りながら

スキルを発動させる。


「完全にお前の技をマスターしたんだな」と

バーボンはアスティに言うと

「いや、あれはリスボアのオリジナルだ。

 アレのせいで俺もこの頃負けている」と答える。


真似しようとしても出来ないんだよ。

多分、スキルツリーが違う、というより

概念が違うんだろうな。


とアスティは言うとバーボンは考え込む。


「美香姉!俺は今、師匠を超える!」と

リスボアはジヴァニアに突っ込む。


防戦一方になるジヴァニアだったが

「あら!もうあのスキル使わないのかな!?」

と言いながらリスボアの攻撃を受ける。


「一心不乱!」とリスボアは叫ぶと

めったやたらに両手剣を振る。


「ジヴァニアの勝ちだ」と汗をタオルで

ぬぐいながらウォッカは言う。


全てを剣ではじき返すジヴァニア。

「もう足に来てるわよ?リスボア!」と

言いながら放つスキルは


紫苑しおん


「くっそ!バレてる!踏ん張れ俺!

 スキル『我慢』!」とリスボア。


「体力の差だな。お前が色々リスボアに

 仕事押し付けたせいだな」とアスティを

見ながら言うウォッカ。

「ジヴァニアは朝早くから訓練してたんだろうな。

 ダメージはあるが息は上がっていない」

とも言う。


無数の閃光がリスボアに向かう。

「ぐうううう!耐えろ俺!」とリスボア。

が、目の前に既にジヴァニアがおり

両手剣を横なぎの体制に入っている。


その横なぎがリスボアの胴に食い込む。

そのまま強引に振り抜くジヴァニア。


「根性ぅうううう!スキル『乾坤一擲』!」

ぶっ飛びながらもスキルを発動させる。

瞬時にジヴァニアの懐に入る。

リスボアの、剣の握りて部分がジヴァニアの

みぞおちに食い込むその瞬間。


みぞおちと握りての隙間に

両手剣が入り込んでおり刃の部分で

ガードをする。

「ぶ!」とリスボアは手がしびれる。

ジヴァニアの握り手がリスボアの顎に

当てられる。その瞬間

リスボアが海老ぞりしながらぶっ飛ぶ。


リそボアは脳を揺らされ意識を失う。


勝者 ジヴァニア


「やっぱすげえな!師匠!」とリスボア。

「負ける所だったじゃない!あんたこの頃

 練習していないんじゃないの!?」とジヴァニア。


「そ、それは・・・」とアスティを見る。

皆アスティを見る。


「つい、仕事たのんじゃうんだよな」と

アスティは笑いながら言う。

「あと数年後が楽しみだな。」と

ウォッカは言う。


ジヴァニアがウォッカを指さす。

「あとひとつよ!母様!」と。


「さ、次の試合の邪魔よ。さっさと

 どきなさいよ」と笑いながらソミュール。


そしてテージョも入場する。


ドクン と鼓動がするジヴァニア。

「この気配はドラゴン?」と呟く。

その気配にジヴァニアの眼が青く光る。


「なんだ・・・。この感覚は。

 ゾワゾワする。」

とテージョは言うと周りの大気が

揺らぐのを感じる。


その揺らぎをジヴァニア、そして

ソミュールも感じる。


「ソミュール、アレは危険だ。

 いや、まだ危険ではないが・・・。

 可能ならば戦わない方がいい」と

バフォメットの杖が言う。


「多分、ナニカの加護というか、ドラゴン。

 そういったモノを感じる。エルピス様の

 加護と同等、いやそれ以上だ」とも言う。


「今日はおしゃべりじゃないの。

 腰は直ったの?」とギンコの杖を

構えながら返すソミュール。


「まだ危険じゃないうちに倒す。

 それしかない気がする。私の魔力を

 最初で放出する。それで仕留めろ。

 でなければ負ける」とバフォメット。


「望むところよ。」とソミュール。


そして試合が始まるといきなり

5重の魔方陣が展開される。


「なんだなんだ、あの宙に浮く杖は

 使わないのか?」とテージョ。


拡散!エアリアル・デッド・ショット!


魔方陣を通り抜けた閃光が拡散する。

避けようとテージョ。だがすべてを避けきれない。

「どうやって避けるんだよ!

 頭おかしいくらいの数じゃねえか!」と

目の前に迫る閃光に

「ダメだ!直撃する!」というと

棍でその閃光に合わせる様に振り抜く。


その閃光は棍に当たるとはじき返される。

「うぉ!まじか!さすが竜棍!

 やればできるじゃねえか!」と他の

閃光を避けつつ、回避しきれない閃光を

棍ではじき返す。


「ぶ!」とソミュール。

閃光の数約150本。それがテージョに

当たった数は3発のみだった。


しかしその3発でテージョは結構

体力を持っていかれている。

「殺す気か!全部当たっていたら

 今頃私の体はないぞ!」とテージョ。


そう言うと鋭い踏み込みでソミュールに

棍の一撃を繰り出す。

「やばっ!」と言うとギンコの杖を構える。


ディフェーサ・ペルフェット


棍の突きが魔法防壁に当たる。

「ぬおおおお!」とテージョは体重を

のせさらに突き続ける。


その合わさった所から虹色の光が

放たれる。


徐々に棍が魔法防壁に入っていく。そして

魔法防壁が砕ける。

そのままテージョは体を反転させ

横なぎでソミュールの側頭部を狙う。


「やられる」とソミュールが思った瞬間。

バフォメットの杖が棍を受ける。


「ぎゃああああああああああああああ!」

と杖は叫ぶと直角に折り曲がった。




























  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る