第41話 噛ませ犬

そして背後に回りアームロックからの

胴締めスリーパーホールド並行する。


「こりゃ決まりましたね、解説のバーボンさん」

「えぇ、完璧には言っています」と

バーボンとアスティ。

しかし二人は驚く。ジヴァニアの顔が苦痛に

歪んでいるからだ。


ルエダはジヴァニアの腕をほどこうとはしないで

胴に絡んだ足に手を伸ばし

胸のあたりまで引き寄せると強引に

その体制のまま

クロスヒールホールドを行っていた。


「ギ、ギブ・・・ア・・・」と

そこまでジヴァニアが言うと同時に

ルエダの手が足から離れポトリと地面に落ちる。


勝者 ジヴァニア 

アスティの声が会場に響く


後、1秒、いや2秒ルエダの意識があったら

勝者はルエダであっただろう。


リスボアがルエダの所へ走り気つけをする。

「ま,負けちまったなぁ。また。

 体術勝負なら勝機があると思った

 のだけども」とルエダは笑う。


「いやいや、1秒の差でした。

 ジヴァニアさんは降参と途中まで言ってましたし」

とリスボアは言う。


「ダーリン、動けないからお姫様抱っこして

 控室に連れてって」と冗談ぽくルエダは言う。


つぎの瞬間。「ふぁぁ!?」とルエダ。

リスボアはルエダを抱きかかえる。



そして次の戦いが始まる。

カッツ族テージョ 対 コアントロー族ハジメ(仮名)


斧の重い一撃をテージョは棍で

受け止めずに流している。


「ハジメさんじゃねえか!」とテージョ。

「な、なんでわかった!」とハジメ。


「い、いや。髪の毛染めて短くしただけだし」


「今の俺は只の冒険者だ。サボルチとかしらない!」

とハジメが言うと

「しってるじゃねえか!ってか、なんでコレに

 出てるんだよ!」とテージョ。


「それは秘密だ!罰ゲームとは違うぞ!」

「罰ゲームかよ!」


「じゃ、そろそろ本気を出すぞ?」とハジメは

いったん距離を取る。

テージョも棍を両手で持ち構える。

「あら珍しい。両手で構えるなんて」と

観客席からチェスキー。


一瞬でテージョに近づき既に斧は

テージョの脳天の所まで振り落とされている。


テージョは腰を落とし棍でそれを受け止める。


「ぶ!なんで受け止められるんだよ!」と

いいながら距離を取るハジメ。

「この武器はな!この世界最強の武器で

 凄く価値があるものだからだっ!」と答える。


「いや!おれは、なんで受け止められたかを

 聞いたんだよ!」とハジメ。

「最強の武器だからだっ!」とテージョ。


沈黙が流れる。


再度同じ攻撃をするハジメ。が!

何と斧の重い一撃をテージョは

只払うように棍を振る。

ハジメの斧はハジメ上がり、ハジメの

体が無防備になる。


そこにテージョの突きが入る。

ハジメは崩れ落ちる。


勝者 テージョ

あまりにもあっけない戦いだった。

その戦いを見ていた者のほとんどは

「ハジメが弱かった」と思っている。


しかしバーボンとアスティは衝撃を受ける。

「ありゃなんだ。化け物じゃねえか。

 それになんだあの棍棒は」とアスティ。


「竜棍だ。あいつ竜の化身だ」とウォッカ。

そしてウォッカにも笑いが無かった。


テージョは未だにマスクとコスをしている

ジェニエーベル、いやハヤブサに近づき

なにかをおねだりしている。


二人は何かをモゾモゾとし

黒い箱のような物にひものような物を

つなぐ。その先には!マイク!


マイクを持ちテージョは

見ていたジヴァニアに近づく。


「私は!お前の!噛ませ犬じゃねえ!」と!

「次の試合で前回の借りを返す!」と!


「あのセリフ教えたの、お前?」と

バーボンは言う。頷くウォッカ。


審判員は慌ててテージョに近づき

耳内をする。

それを聞きテージョはハッとする。そして


「つ、次の次の試合でお前に勝つ!」と

テージョは言いなおす!そして

マイクをジヴァニアに渡す。


会場は静まり返る。


「やろう!お互いに勝ち上がろう!」と

ジヴァニアが言うと会場は盛り上がる。

しかし!強引にマイクを奪い取る者!


「私に勝ってから言う事ね!」と

ジヴァニアを指さすソミュール!


審判員はソミュールに耳打ちする。

ソミュールはジヴァニアに刺した指を

ゆっくりとテージョに向ける!


「わ、私に勝ってから言う事ね!」と!


「な、なんか盛り上がってるな。あいつら」と

バーボン。

「いいことじゃねえか。」とアスティ。

「もうリスボアは蚊帳の外だなぁ」と

苦笑いをするバーボンに


「リスボアな、この半年で俺との

 模擬戦。勝率は互角だぞ?」とアスティ。

「まじか!」とバーボン。

「あいつまだ16だろ?末恐ろしいな」と

もいうと、後ろから

「私の街にも弓の極級スキルを

 ぶっ放した少女が居るぞ?10歳だ」と

ウォッカも言う。


「どうなんだろうぁ。若かったときは

 思ってはいなかったが、年取った俺達は

 奴らの壁になるべきなのか、それとも

 引くべきなのか」とアスティ。


「壁になってねえじゃねえか。

 半分は負けてるんだろ?」と笑うウォッカ。

「俺はもう個人では戦わないと思っている。

 俺は悠々自適に暮らすよ」とバーボン。


「ま、そう言う事は置いても

 勇者と、竜の化身、そしてお前。

 見ものだな。本気出すのか?」とバーボン。


「当たり前だ。本気を出さなければ

 負ける。あんな試合を見せられたら

 そう思ってしまう」とウォッカ。


「どっちの試合をだ?姐さん。

 どっちに負けてしまうんだ?」と

アスティはウォッカに聞く。


「剣を振ってくる」そう言うとウォッカは

振り返り扉を開けて出て行った。


そして準決勝が始まる。


ジヴァニア 対 リスボア

テージョ 対 ソミュール




















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