第40話  ロマン

カルーア族ハヤブサ 対 マルフス族ソミュール


頭上の杖から閃光が放たれ続ける。

「いかん、弓を構える暇がない!」とハヤブサ。

強引に矢を放つが当たらない。

そもそも回避するだけで手一杯となっている。


「しかたねえな!武器を変えるしかないか」

とハヤブサは言うと神器フェイルノートを取り出す。


「やっと本気じゃない!ジェニエーベル様!」と

ソミュールは言っちゃう。

会場全体が静まり返ってしまうが、すぐに

大歓声へと変わる。


「マスクマンが本名言われたみたいだな」と

バーボン。「そうだな」とアスティ。


被弾覚悟で弓を構える。

閃光が2発ハヤブサを貫くが

十分な溜めの後に矢を放つ。


その矢は浮いている杖に直撃し、杖が

粉砕される。

連続でもう一発矢を放つと、それも

杖に当たり杖が粉砕されるが

ハヤブサも後ろからさらに被弾してしまう。


「格好つけてコスなんてするんじゃなかった!」

と閃光を避けながらハヤブサは言う。

「マジでガ○ダムに出てくるキ○ベレイと

 戦っている気分だ」とも。


しかし宙に浮いているのは残り1本。

多分バフォメットの杖。


「バフォメット!」とソミュールは叫ぶと

ソミュールの手元に戻ってくる。


「次被弾したらきついなぁ」とハヤブサは

いいながら弓を引く。


ソミュールの前に4重の魔方陣が

展開される。

そして詠唱が始まる。


お互いに少しの間が入るが

ソミュールの魔法が放たれるのが速い。


拡散!エアリアル・デッド・ショット!


太い閃光が次々に魔方陣を通り

最後の魔方陣を通ると閃光は

無数の細い閃光となり弧を描くように

ハヤブサへ向かう。


「やべえ!」とハヤブサは構えを止め

神器キリシマを取り出し完全防御を発動させる。


5秒間で100ほどの閃光がハヤブサへ向かう。

完全防御のおかげで被弾はしなかったが・・・。


そしてハヤブサはフェイルノートを再度構え

十分な溜めののち、金色に輝く閃光を放つ。


極級スキル バン・ナ・リタデメン!


がソミュールはギンコの杖を構える。


ディフェーサ・ペルフェット


魔法防壁がその閃光と激突する。

魔法防壁が砕かれるが閃光も拡散してしまう。


会場から割れんばかりの歓声が上がる。


少しの油断がソミュールに出来てしまう。

それはお互いの攻撃が互角であったために

呼吸を置いて「次で決めてやる」と

ソミュールが思った事。


しかしハヤブサは「次」ではなかった。

呼吸を入れずに、

すでに連続での攻撃を放っていた。


その朱色に似た閃光。

その閃光がソミュールの腹を貫通しようと

したその瞬間、バフォメットの杖が

矢に突っ込み激突する。


「痛ってえええええええええ!」と叫ぶ杖。

そしてボトリと地面に落ちる。

「折れた!多分、腰のあたり折れた!」とも。


しかしその矢を追うように風の刃が

ソミュールを襲う。


直撃。

が、ソミュールは耐える。

そして魔法を呟くが、立てずに

片膝と片手を地面につける。


ハヤブサの足元には魔方陣が書かれている。

「あ、これやばいやつだ」とハヤブサ。

魔方陣から出ようとするが足がガクンと折れる。

「へレスはまじでアレを撃ったのか。

 すげえな、アイツ。」とも言う。


そして岩の檻が出来てハヤブサを囲む。

「うーん。出れないな。これ。」


まさに鳥かごに入れられたハヤブサ。

「降参でーす」と中から声がする。


勝者 ソミュール

会場が歓声に包まれる。


「刀で斬れば出れたでしょうに」と

ソミュールはハヤブサに言う。

「いや、結構体力使ったんで出たとしても

 攻撃に回せる力は残ってないよ」と

ハヤブサは言うと

「そりゃお互い様ですよ、ジェニ様」と

ソミュールはハヤブサと握手をする。


「魔族の力は発動しなかったか」とウォッカ。

「そりゃそうだろう、相手は吸血族だ」と

バーボンは言う。


「じゃあ次の戦いも勇者の力は

 発動しないんだろうな」とウォッカ。

「そうだな、お互いがエアストの眷属だ。

 まぁルエダは鍵なのでどうかは知らんが」

とバーボン。


「いやぁ、負けちゃいました」と

頭を掻きながらウォッカに言うジェニ。

「あれがエルピスの加護を受けた者の

 魔法力なんですね」とも言うと


「まぁ少し不利があったからな。」

「そもそもなんでそんな恰好で出たんだ。

 普通の装備なら、そこまで体力を

 持っていかれないだろうに」とウォッカ。


「そりゃあ、ロマンですよ」とジェニ。

頷くバーボンとアスティ。


「それでこそだ」と!


そして次の試合が始まる。


「シャルルさんより早いし!」と

ジヴァニアは防戦一方となる。

しかし防戦しながらブツブツと何かを

唱えるジヴァニア。


「精霊は来させないよ!」と

ジヴァニアに密着し詠唱している

口を塞ぐ。


「いってえええええ!」とルエダは

足元を持ると

足の甲に唯タクトが刺さっている。


一気に距離を取るジヴァニア。

そして前回同様に居合の構えをする。

それも両手剣で。


「くっそ、一撃勝負か。」そう言いながら

タクトを抜き腰を低く落とすルエダ。


爪がジヴァニアの前に突然現れると

ジヴァニアはその爪の下にあるはずの

胴の部分を目算で斬り抜く。が、


「残念」とルエダは言うと

ジヴァニアの胴に腕を回し「せえの」と

いうとジヴァニアを抱えたまま

ブリッジをする。


「ジャーマンスープレックス!」と

バーボンとアスティは興奮する!

「アレ教えたのお前?」とバーボンは

ウォッカに聞く。うなずくウォッカ。


後頭部からしこたま頭を打った

ジヴァニアだったが跳ね返りながらも

ルエダの腕を取る。












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