第38話 究極竜

ジェニエーベルを見送る。

「これからどちらへ?」と

メルトは聞くとジェニは

当てもなくぶらつきますよ、と

答えた。それを聞き笑う。

「まるでサンテミリオン様だな」と。


「あんまり国の者を心配させんで

 くださいよ」とガハハと笑う。

そして姿が見えなくなるまで見送る。


「いい青年に育ったな」と。


ジェニは一旦首都に戻ると、親方に

弓と矢の作成を頼むと

ポムロールの所へ行き言う。

「どんな剣かは知らんが、昔この国の

 フミージャという女性騎士が使っていた

 剣がどこかに売り渡っている。

 それを探してほしい」と。


「じょ、情報はそれだけですか?」と

ポムロールが言い返すと

「君ならできる!」と肩を叩くジェニ。


「挑戦状ですね」と目を光らす。


見つけたら赤の国のカッツ族の所で

宿屋を経営しているフミージャに

送ってほしい。親方にも弓を作って

貰ってるので、それも一緒にね。


「俺の命の恩人なんだ。頼む。」と。


「今からどちらへ?」と聞かれると

「わ、わけあって赤の国首都へ・・・。」と。


「そういえばジヴァニアさん来ましたよ?

 もうバーボンさんはデレて犬のように

 ついて回っていましたが」ともポムロール。


「まだいるの?」と聞き返すと

「いえ?もうどっか行きましたよ。

 アノ人も落ち着きないですからねぇ」と

シミジミと言う。


「すまんね、俺ももう行くわ。

 じゃ頼んだよ」とジェニ。



その頃 赤の国 キルビー族の街


「なぁ、もうお前がこの街の、族長で

 いいんじゃねえか?」とバローロ。


フランゴのピリ辛揚げを食いまくりながら

ジヴァニアは

「いやよ、メンドクサイ。あ、おかわり」と。


「でもよく出る事にしたなぁ、対抗戦。」

とおかわりを持ってきながらバローロ。

「代表戦って聞いたからね。そして

 試したいのよ、色々とね」とジヴァニア。


「やっぱ、勇者になってすごい?」と

バローロは聞くと


「よくわかんないのよ!それが。

 前と変わってない気もするし。だから

 腕試しで出るのよ。魔獣以外でないと

 どれくらい強いかわかんないし」と

おかわりを食べながらいう。


「あぁ、お前勇者になる前でも

 魔獣とかちょろかったもんな」と

お茶を出しながら言うバローロ。そして


「母ちゃんと戦えばわかるかもな。」と。


ジヴァニアは「ごちそうさま」と

手を合わせながら言うと

「だから出るのよ、こんどこそ勝ってやる」と。

「しかし、あんたの料理上手いわね。

 店をすれば?」とも言う。


「だから店してるじゃねえか!今ここで!」

とバローロがいうが

「客居ないじゃないのよ!」とジヴァニア。


「だからさ、これに名前書いてくれ。

 あ、横にバローロさんへって書いてね」

と色紙を差し出す。


「ってか実際お前の街なんだからさ。

 みんなそう思ってるぞ?」とも言う。


「な、なんでそうなってるのよ」と

まんざらでもないように色紙に書く。

イラスト付きで!


「だって俺が言いふらしたし。」と

色紙を受け取り壁に飾る。


「今度の戦いで優勝したら考えるわ」と

銀貨1枚を机に置き出て行こうとすると


「これは噂だが、カルーア族はウォッカ様が

 刺客を送り組むらしいぞ?」と行くと

ジヴァニアは反応する。


「ほほう、どんな人?名前は?」と聞くと

「弓使いらしい。まぁあそこは弓が

 盛んだからな。名前は確か・・・

 ハヤブサ?」と答える。


「ぶw」とジヴァニアは吹き出す。

「なんだ、知ってるのか?」とバローロ。


「い、いや。嫌な予感がしただけよ」と。


「流石勇者だな。強敵を名前だけで解る。

 そう言ったの敏感なんだろうな。」

と唸るバローロ。流石勇者だと!


「お、おう」とジヴァニア。



その頃 カルーア族の街


「たのもぉー」とテージョ。

「おい、道場破りじゃねえんだぞ?」と

チェスキー。しかし中から声がする。


「なんだ?お前たちも保母さんになるのか?」

とルエダがエプロン姿で出てくる。


「あ、それもいいな」とテージョ。


「お前たちは無理だ。血なまぐさい」と

エプロン姿のウォッカが出てくる。

「いや、ウォッカさんに言われるのは

 どうかと思う・・・。」というが

エプロン姿に興奮するテージョ。


そして4人は客間に移動する。


事のあらましを話し、竜棍と

チェスキーの勾玉を机に置く。

「強くなった気もしないし、

 やっぱ夢だったんですかね」と

テージョ。


「あー。なっちゃったか」とウォッカ。

風竜が探していたしな。まぁお前が

適任だろうな。ジヴァニアの好敵手と

私も思うし。


知っている限りの竜の化身について

テージョに説明をするウォッカ。

そして竜棍に魔方陣を当てる。


竜棍についてはよくはわからんが

4種の竜の角が使われているのは確かだ。

であれば、価値としては

神器も魔剣も超えているだろうな。


「ルエダ、その竜棍を持ってみろ」

とウォッカが言うとルエダは手に取るが


「なんだこれ?びくともしねえ。

 机に引っ付いてるんじゃねえか?」と。


「何やってるんだよ」とひょいと

片手でテージョは持つと

「今までで一番軽い棍棒だ」とも言う。


「神器ケラウノスと同じだな。あれも

 持つ者を選ぶ。武器が認めない者は

 持ち上げる事すらできない」とウォッカは

テージョの持つ竜棍を両手で持つ。


「もってるじゃないですか!」とチェスキー。

「いや、気合いでやっと持ってるだけだ。

 両手で。は、はやく受け取れテージョ」

そういい渡すと

「腕が痙攣している」とウォッカは腕を回す。


間違いなくお前は竜の化身だ。

どれくらい強いかはわからん。

「私と戦ってみるか?」とウォッカは言うと

「是非」と真顔でテージョ。



「ならば代表戦で勝ちあがれ。その時は

 本気で相手してやる。」とウォッカ。


「ジヴァニアを倒していいんですね?」と

テージョは言うと。

「あいつは強いぞ?」と笑う。


そして机に「ウルテ○モ・ドラゴン」

の覆面と肩に付ける装飾を机に置く。


「うぉおお!なにこれかっこいい!」

とテージョは目を輝かす。


「お前にくれてやる。バーボンに言わせると

 異世界で究極竜と名乗る者が身に着けていた

 装備らしいぞ?」とウォッカは笑う。












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