第33話 ソースの味

翌朝早くジェニは1階の掃除をしている。

「あら早いのね、おはよう」とフミージャ。

「おはようございます」とジェニエーベル。


「なんか向こうの世界を思い出しちゃって。

 懐かしみながらやっています」と笑うジェニ。


「あー、私の仕事とってる!」とへレス。

「あはは、おはよう」とジェニエーベル。


「じゃあ私は朝食でも作ろうかな。

 昨日の冒険者たちは早いと思うし」とフミージャ。


ジェニも興味津々で調理場に入る。

テキパキと調理をするフミージャを補佐する。


そうこうしていると本当に3人組の冒険者が

降りてくる。

「おはよう、女将さん」と3人。

「もうちょっと待ってね、座ってて」と女将。


「はい、出来た。」とフミージャが言うと

ジェニは皿を持ち配膳をする。


「やっぱうめえな。ここの朝食」と

3人は食い始める。

「お世辞言っても安くならないわよ」と

フミージャは言うと

「はい、お弁当」と渡す。


「無理はしたらダメよ?」とも言う。

「しないよ、人数も少ないし。

 今日は田畑を荒らす魔獣だから。

 危なくなったらすぐ逃げる!」と

自慢げに言う冒険者。


そうこうしていると二人組も降りてくる。

「おはようございます」と言うと


「俺達、実は紹介されてここに来たんです。

 駆け出しでも大丈夫だって」

「女将さんの忠告は凄く当たるから

 絶対に聞いとけって」


「誰だい、そんなこと言ったのは」と笑う。

「ランクはB?」と聞くと二人は頷く。

「じゃあAになるまでは何人いても

 洞窟とかには行かない事。

 今は悔しくて恥ずかしくてもギルドの

 受付の人の進める者を行う事。

 ここの受付は見極めるのが旨いから」と。


「あー。俺達も言われたな。でも

 聞いててよかったよ。」と3人組。

「うんうん、なんでか他の冒険者よりも

 早くAになれたし」ともいう。


じゃ行ってくる!と3人組は出て行った。


お互いの顔を見て二人組はウンウンと頷く。

「安全第一で行こう」と。そして机に

目を移すと

「こんなに量が多いって!」と朝食を

見て驚く二人。

「はい、お弁当」とフミージャ。


「すみません、払えません。」と二人は

下を向く。

「大丈夫よ、今の人達の余りもので

 作ったから。材料費はさっきの3人組

 だから。内緒よ?」と笑う。


二人は涙を流す。そして

「ありがとう、ありがとう」と言う。

そして二人は元気に出て行った。


二人組の料理を作ったのは

ジェニエーベルだった。


「お好み焼きって言って、この間の

 料理選手権では混ぜくり焼きって名前です」

「本当に余りものとか野菜の端材が

 使えるので。向こうでもよく作っていました」


「向こうではマジデ食費貧乏だったんですよ」

と肩を落とすジェニエーベル。


「これってさ」というと食材庫から

何かを持って来るフミージャ。


それを見てジェニは目を光らせる。

「それはまさかのヤマイモでは!」と!

「イニャムっていうわ」とフミージャは言うと

すりおろす。


それをジェニが作ったお好み焼きの

材料に混ぜて作る。


「うん。ふわふわでボリュームも

 出たわ。これ安いし、今度から

 使おうかな。というか全体的に

 安いやつで出来るからこれはいい」と

フミージャは言う。


「お見事です。向こうではソレ

 高級食材なんですよ」とジェニ。


「こんなもん、裏山を掘ればいくらでも

 出てくるわよ」とフミージャ。


「確か、村・・・じゃなかった首都の

 近くの山でも取れるわよ?」と

机にお好み焼きを持って行きながら言う。


3人でお好み焼きを食べる。

「濃い目のソースが合うわね。」と

フミージャ。うんうんと頷くジェニ。

兎に角食べるへレス。


「あ、そうだ。これマヨネーズの

 レシピです。この世界での食材の名前で

 書いています。これに合うんですよ!

 ソースと一緒にかけて食べると!」とジェニ。


「あれ?このソースってどうやって

 つくったんですか?」とジェニは聞く。

「あら、こんなもんどこの家庭でも

 作っていたわよ?紫の国で」と

お好み焼きにドバドバかけるフミージャ。


「じゃあこれでよかったらレシピを

 あげるわ。マヨネーズと交換ね」と笑う。


「それにマイスを入れたらミネルヴァの味よ。

 ちょっと高価だから少ししか入れないけど。

 荒めに砕いてすり鉢で、それでも荒く。」

と言うフミージャ。


「マイス育ててやる。国を挙げて大農場だ!」と

ジェニエーベルは心に決めた!


そして皿洗いをして道場に出かけるジェニ。


時間になり道場の外に整列をし

柔軟体操を行い、そして族長の家まで走る。


そして全員が帰ってくると道場に入り

スキルを使える者はどんどんスキルを使う。


そして体に疲れが出た者から休憩を取らせる。

「どうしても体力には個人差があります。

 競争ではないので自分が何回スキルを発動

 したら疲れるのかを

 しっかり把握してください。」

そう言いうとへレスを見る。


へレスはほぼ毎回初級スキルを使い続ける。

「30!ちょっと疲れたかも!休憩」とへレス。

「まじか!」と驚くジェニ。


一時休憩をするとへレスはまた始めるが

「あれ?なんだろう。」と言いながら矢を放つ。


ジェニは矢の軌跡を確認し的に

当たった瞬間を見ていた。


「もしかしたら防御無視かもしれない」と。

「中級スキルです。力系のスキルから

 普通は派生するんですが・・・。」と

ジェニは思案する。


「疲れは?」と聞くと、それほどないと

へレスは答える。

それを連続で使うと10発くらいで

「疲れたああああ!」と座り込むへレス。


ジェニエーベルは考える。

通常は初級から段階的にスキルは増える。

そして閃き中級を覚える。へレスはなぜ

中級を撃てたのか・・・。

もしかしたらこの間、上級を放ったからか。

俺は集中を中心とし派生するスキルと

力を中心とし派生するスキルを教えた。


もう一度させてみるか、アノ時に

放った上級スキルを・・・。




















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