第30話 食事

ジェニエーベルが降りてくる。

机には豪華ではないがおいしそうな

食べ物が並んでいる。


「え?こんなにたくさん。

 食べきれないかもしれないなぁ」と

少し苦笑いするジェニ。


「私とお母さんが作りました!」と

何か鼻息荒く気をつけの姿勢で言う。


「ははは、そんなに気を付けなくて

 いいよ」といいながら席に着く。


女将はそわそわしながら、

何か言おうとし、しかしそれを止める。

「私が何者かわかるんですね」と

ジェニエーベルは「いただきます」

といい食べながら女将に言う。


「よくぞ、ご無事でいらっしゃいました」

と拝礼をしようとするが

ジェニエーベルは手を伸ばし

女将の拝礼を止める。


「へレスは奥で洗い物おねがいね」

と女将は言うとヘレンは厨房に入っていった。


ジェニは女将に座る様に言うと

女将はジェニの正面に座る。


少しの沈黙が流れた後に女将は


「おにごっこはうまく逃げる事が

 出来たみたいですね」と涙を流しながら

そして笑いながら言う。


ジェニは食べるのを止め

「あ、貴女はもしかしてフミージャさん!」

そう言うとジェニエーベルは立ち上がり

そして逆に拝礼する。


「止めてください!ジェニエーベル様!」

と制止をする。座ってください!とも。


「あなたのおかげで私達は生き延びる

 事が出来ました。本当にありがとう」と

少し涙を浮かべるジェニ。


「ミネルヴァの事は紫の国の建国と

 その首都の名前がミネルヴァになった事で

 生きていないと思っていました」と

フミージャは言う。


「そのアイテムボックスが今、その首に

 かかっている事で現実として受け止める

 事が出来ました」とも言う。


「母さんは向こうの世界で私と

 生きて行くことが出来ました。本当に

 あなたとメルトさんには感謝しかありません」

とジェニエーベルは言うと


「逆にあなたが生きている事を本当に

 うれしく思っています」と言う。


「メルトはいまだに行方不明です。

 私が生き延びたのは偶然です。二人が

 異世界に転生したことはウォッカ様に

 聞いておりました」と言うと


メルトが結構な数を倒していたので

私は敵を足止めすることに集中しました。


その後敵の馬を奪って私もその場所を

撤退しましたが追ってくる兵士達を

逃げたであろう別な方向へ誘導しました。


その後、逃げ切った私は色々と探しました。

しかし足取りがつかめず赤の国のポルスカ

に行くことにしました。


子供を連れた冒険者が居るという事で

探しておりました。

門番にも結構金を渡し二人を見かけたら

必ず逃がすように言っておりました。


その後、宿屋で乱闘があったと噂を聞き

そこに向かいましたが

一歩遅く既にお二人は逃げて行ったと

宿屋の主人に聞きました。


私は青の国に顔が知られていたので

その後、兵士たちに捕まり青の国へ

連れていかれました。


しかし、何故かすぐに解放されたのです。


私には見張りが付いている事が

解りましたので

ふたりを探す事は逆に逃げる二人の

邪魔になると考えこの街へ来ました。


私はお二人を探しませんでした。

ミネルヴァなら必ずうまくやってくれると。

探さない事こそ守る事であると。


私が泊まっていた宿屋、まぁここなんですが。

ここの宿屋の方は私に凄く優しくしてくれました。

素性もよくわからない私を。


まぁ剣士と言うのはバレていましたけども。


ある時ウォッカ様がいきなり尋ねてきて

二人は異世界へ逃げることが出来たと聞いて

私は、その時に剣を置きました。

私の役目は終わったと。


私はこの宿で働くことにし、

普通の庶民として暮らし

ここの宿屋の息子と恋に落ちました。

そしてへレスが生まれました。


へレスが弓の加護があった時は

笑っちゃいましたけどね。


その後主人は事故で亡くなってしまい

ましたが、それでもここの方は

とても優しく私を本当の娘のように

接してくれました。


その後その親も亡くなり今は

へレスと二人でこの宿をやっています。


「私が紫の国を復興させたとき

 来てくだされば」とジェニは言うと


噂を聞いた時には歓喜しました。

しかしミネルヴァは居なかった。

首都の名前を聞いた時に察しました。


すでに私の役目は終わっています。

剣もお金に替えちゃいました。

と、ハニカミながら笑うフミージャ。


貧乏宿屋ですけど楽しくやっていますよ。

と笑う。それに私はこの宿を守りたい。


「一度でいいです。旅行でいいです。

 是非、母に、ミネルヴァに祈りを

 捧げてもらえませんか?」

と頭を下げるジェニエーベル。


「ミネルヴァの事を母さんって言うのね。

 ミネルヴァの夢がかなったって事ね」

と笑いながら言うフミージャ。


行きたいけど、この宿とかへレスが

いる事で行くことはできないわ。ここから

祈りを捧げています。


それを聞くと

「サンテミリオンの息子、ジェニエーベルの

 お願い、いや勅命でもですか?」と

笑いながら言う。


「それはずるいですよ」と笑いながら

返事をするフミージャ。


では頃合いを見て伺います。とも言うと


「私が勅命を出したんです。これを

 使って準備してください」とジェニは言うと


金貨数十枚と銀貨が沢山が入った袋を差し出す。


「こんなにたくさん受け取れません!」と

フミージャは言うが


「向こうの世界では退職金ってあるんです。

 職を止める時、活躍した人に

 まとまったお金を渡すんです。

 次の人生を楽しむ為に。

 私の国でも取り入れるつもりです。

 その第一号なだけです」とジェニ。


「あ、それと今私はこの大陸を

 ユウキとして見て回っています。

 内緒にしてください。私の素性は」と

笑いながらいう。


ありがとうございます。

とそれを受け取り涙を流すフミージャ。


「おかあさんはなんで泣いてるの?」と

へレスが洗い物が終わりやってくる。


「ユウキさんに食べ物を進められて

 のどに詰まっちゃったの。」


「へレスの一緒に食べてくれないかな。

 こんなにたくさん食べきれないよ」と

笑うジェニエーベル。


へレスはフミージャを見ると

フミージャは頷く。


そして3人は食事を食べる。

3人は楽しそうに食事を食べる。

















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