第22話 らび焼き
「ところで旧首都ってどんなとこ?」
とファルツは聞く。
「お前知らないのか!」とバーボン。
旧首都は現在の首都とは異なり
娯楽や趣味と言うモノにあふれている
街となる・・・予定。
「ところでソミュールは?」とも聞く
ファルツ。
「旧首都でいろいろしてもらってる。
今回の選手権に来れなくて、相当に
機嫌が悪いんだ」とバーボン。
「じゃあ軽貨の素材を取りに行く
段取りをしに行くか」
とバーボンとジェニは部屋を出る。
行く先は冒険者ギルド。
「集まってる?」と受付に聞くと
「400人ね」とリストを見せる。
「明日の正午には集合場所に
集まってるわよ」と受付。
「緊急で魔法使いを集めてよ。
座学を行う」とバーボン。
「あ、俺が穴掘り行きますから
座学の方をお願いできます?」と
ジェニは言うと
「ところで」と切り出す。
バーボンさんって、
結構な知識ありますけど、向うの
世界で何やってた人なんですか?
その質問に答えるバーボン。
「俺はな」と。
高校中退してな。小学生の頃から
知りたがりでな、気になったら
調べたくてしょうがなかった。
徹夜で調べたこともざらだった。
そうしているうちに学校へ行かなくなった。
でも、学歴って便利そうだったから
大検を受けてな、そんで東京大学。
でもつまらなくて止めた。
俺が知りたい事と教えてもらう事の
溝がありすぎて。
と言うかそもそも、異世界に行きたくて
そうれが講じたってのもあるな。
「人生が全て異世界に染まってるんですね」
と笑うジェニエーベル。
「おかげで、何の不便もなくここで
やっていけてるよ」とバーボン。
向うとこっちでは色々違うと思うが
実は同じなんだよ。そう、結果が同じだ。
体力を回復するにしろ、怪我を直すにしろ
なんと、魔法にしろだ。
「回復した」という結果。
「敵を倒した」と言う結果。
過程はどうであれ。銃で撃とうが
魔法で倒そうが。
単純にさ、銃をこの世界に持ち込んだら
どうなると思う?
向うに魔法を持ち込んだらどうなる?
向うの医学ですら、色々とあるんだ。
西洋医学と東洋医学の違いと同じだ。
「そ、そうなんですかね。魔法なんて
どうやって説明すれば・・・」とジェニ。
向うの世界では「電力」を「発見」し使った。
こっちでは「魔法」を「発見」し使った。
それだけの違いだろ?
向うでは自分に足らないものを外に求めた。
「ないなら補う」と。
こっちでは自分に足らないものを
自分の中に求めた。「あるはずだ」と。
「まぁ話は長くなるので、今度ゆっくりと
飲みながら話そうか」と笑うバーボン。
「そういえば、お偉い方々は?」と
バーボンは聞くと
「みんな帰りましたよ?いそいそと」
とジェニは言うと笑う。
「それは残念。軽貨について話したかったんだが」
と少し残念そうにバーボンは言う。
「アスティさんとか、乗っかって
来ると思うんですけどね」とジェニ。
「いや、アイツはないよ。異世界人だが
この世界の理を徹底的に守っている。
あれだ、郷に入っては郷に従え、ってやつ」
とバーボンは言いながら笑う。
「あぁ、そうだ」とバーボンは言うと
ジェニエーベル、覚えて置け。
珍しいモノと、新しいモノは違う。
俺達が取り入れるのは新しいモノだ。
もし、それでだめだったらすまんが
国造りは諦めてくれ。
「無理ですよ、もうここまで出来ちゃったし。
というかもう国だし。」
と苦笑いをするジェニ。
「俺はこの国を大きくしたいとか
思ってはいません。この国を争いのない
豊かな国にしたいんです。」
「向こうの世界でもそうでしょう?
大きい国だから豊かとはいえない。」
「そりゃそうだ。」と笑うバーボン。
そして次の日
「いいか!掘って掘って掘りまくれ!」
とジェニは掛け声をかける。
「うぉおおおおお!」と大歓声。
ジェニは思う「相当給金がいいんだろうな」と!
バーボンは学校に魔法使いを集め
鉱石について話をする。特にアルミについて。
この世になかった、というか思いつかないでいる
素材。「新しいモノ」。
ファルツも参加をし、実験をしながら
図に書きながら説明をする。
現物もあり、どういったモノに使えるかも
説明する。
そして、魔法と言うモノの使い方。
敵を倒さなくても金になる事。
全員にソフトクリームが振舞われる。
全員が「おいしい」と笑顔になる。
「その笑顔を作っているのは魔法だ」と。
使い方を変えるだけでみんなが笑顔になる。
この国ではみんなの笑顔の為に
魔法を使ってほしい。
争う事「だけ」に、使ってほしくはない。
無論、自身にあうあわないがあると思う。
それを見極めてくれ。
全員がソフトクリームを食べ終わり
授業が再開される。
全員が前半と違い、さらに真剣に
話を聞いてくる。質問もしてくる。
一方裏山では
「掘りまくれぇぇ!」と先頭に立ち
ガンガン掘るジェニエーベル。
「運べええええ!」とも言う。
何故かハイテンションであった。
というか全員ハイテンション。
「よし!休憩!」と言うと
全員に丸い食べ物が振舞われる。
「なんだこれ!うめえな!この間のより
うめえぞ!」と全員。
「中にホワイトラビットの肉が入ってて
こりゃうめえ!」とも。
そう!機を照らしたものを捨て
王道!タコの代わりに肉を入れた、そう
「らび焼き」であった!
ジェニは食べながら思う。
「これでやれば銀貨1000枚だったかも。」
と肉をかみしめる。
「温泉旅行いきたかったなぁ」とも言う。
しかし!この後、掘り続け、なんと!
温泉が出る事を、まだジェニ達は知らない!
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