第14話 竜の化身①

その頃 とある洞窟


「なぁ、なんで私達、穴掘ってるんだよ」

とチェスキー。

「そりゃおまえ、素材を盗むためだ」

とテージョ。


「そうだったな」と穴を掘りながら

チェスキー。そういって穴を掘る。

「なぁ、なんで私達、穴掘ってるんだよ」

とチェスキー。

「うるせえ!黙って掘れ!」とテージョ。


「もう3日目だぞ!これ以上穴掘ったら

 バカになる!お前みたいになる!」

と騒ぐチェスキー。

「もう少しだ!多分、後少しで・・」と

そこまで言うと

そのひと堀で土が崩れ光が差す。


歓喜する二人。

「多分この時間はいないはずだ!

 かっぱらってとっとと逃げるぞ!」

そう言うとテージョは穴から出る!

チェスキーも出る!


目の前には光り輝く糞があった!

それを袋に詰め込む二人。

「よし、帰るぞ!」と振り向くと

そこにはエアリアルドラゴンが居た。


「こんばんわ」とあいさつをする二人。


沈黙が流れる。

しかしそれを打ち消すように

咆哮するエアリアルドラゴン。


その咆哮を受け体が動けなくなる二人。

「やべえ、体が言う事聞かねぇ」とチェスキー。

眼だけを動かしテージョを見る。


そこには歯を食いしばり棍を手にしている

テージョが居た。

「根性だ、私は二度と負けない・・・。」

と唇をかむテージョ。そして言う。


「頼む!お前の糞をくれ!それで

 最強の棍を作りたい!負けたくない奴が

 いるんだ!ジヴァニアと言う!」

そう言うと、何故か少し体が軽くなる。


「あいつはアースドラゴンの糞で

 剣を作った!私とアイツの差は

 武器だ!うぬぼれかもしれない!

 しかしそう思いたい!」


エアリアルドラゴンは何とそれを聞いている。


「あの剣に勝つにはエアリアルドラゴンの

 糞で作った武器が必要なんだ!

 その貴重な鉱石となった糞で作る武器!」


「勝てるのか?それがあれば」と

なんとエアリアルドラゴンは言葉を返す。

というか、二人の脳に直接に話す。


「当たり前だ!私は棍使いだ!

 だからエアリア・・・長いから風竜!

 だから風竜の糞を選んだ!何故ならば

 最強の龍は風竜だからだ!」

マジでそう言うテージョ。


「私はそれほどに強いのか?他にも

 炎竜や水竜もいるが?」と笑ったように言う。


「風竜じゃないとダメなんだ。

 勿論、どの竜が強いなんてわからない。

 ただ私がそう思ってるだけかもしれない。

 だけど私は風竜がいいんだ!それで

 ジヴァニアに勝ちたい!」


と強く、ハッキリと物おじしないで言う。


「なるほど。それでも勝てないぞ?

 そのジヴァニアには」と風竜。


ついこの間に勇者が誕生した。

それが多分ジヴァニアだ。

武器云々ではない。そしてもし

神器か魔剣があるとすると勝てる確率は

皆無だ。あきらめろ。


「諦めてたまるか!ほんの少しの

 勝機があれば!」とテージョ。


「ない。勝てる見込みはない。

 その糞を使って棍を作ったとしても」

と風竜は言う。


その一言に項垂れるテージョ。

「くやしいなぁ・・・。くやしいよ」

と唇をかむ。そして言う。

「しかし私はそれでも・・・」と

涙を流す。


風竜は沈黙する。しかし、

「ならばこれを使え。」そう言うと

何かを吐き出す。


「魔剣ならぬ魔棍だ。名前は

 魔棍 アスピド・ズメイ」そう言うと


「それならほんの少しの勝機が

 あるかもしれないぞ?」と。


「な、なんで・・・。」とテージョ。


気に入っただけだ。お前の闘魂と

いうのか?ソレにだ。

それはエンドが作り私が持っていた。

私はエンドの眷属ではないが、まぁ

友達みたいなものだ。


歯の間に詰まった肉片とかをよく

その魔棍で取ってくれたよ。

まぁホムンクルスだったので

一生懸命だったぞ。


そう言うと懐かしみながら笑った。


「ありがとう!」と満面の笑みで

泣きながら、それを受け取るテージョ。

「条件がある。たまにはここに来て

 その魔棍で歯の掃除をしろ」と言う。


「どうやってするかわからんから

 今させろ!歯の掃除!」とテージョ。


テージョは歯の隙間の肉を魔棍で

突きながら取る。

チェスキーも手伝う。


「ふっ。いいか?テージョ。竪琴の

 弦にはな、こういう使い方もあるんだ」

そういうと、弦を歯と歯の間に差し込み

ギコギコとする。


ドヤ顔のチェスキー。


「気に入ったぞ!」ご満悦の風竜。

ついでに糞も持って行け。そっちの

竪琴使いが使えばいいさ。相性も良い。

とも言う。


最後に聞きたいことがある。

お前はジヴァニアのように勇者とか

魔族とかになりたいか?


「いいや、私は人間でいい。」と

テージョはきっぱりと言う。


「面白いな、お前。」と風竜は言う。

「お前にいい事を教えてやる。」


この世には、魔族や勇者と言った

者とは違う特殊な力がある。


安心しろ、眷属とかそういったモノではない。

解りやすく言うと「竜が応援している者」と

いうモノだろうか。


「竜の化身」


全ての竜に会え。

そしてお前を応援させろ。


これを持って行け。


そこまで言うと風竜は勾玉のような

物を創造しテージョの足元に投げる。


それは綺麗な緑のような薄い色。

テージョは受け取るとひもを通し

首にかける。


それが4つ集まったらお前は

「竜の化身」になる。

もしかしたら勝てるかもしれないぞ?

ジヴァニアに。と笑うが


しかし、その力を無駄な事に使ったら。

悪事の限りを尽くしたら。その時は、

お前は炎に焼かれ、氷の檻に閉じ込められ

地中深くに埋められる。

そして風の力で封印される。


「するかそんな事!私は正義の味方だ!」

と自慢げに恥ずかしげもなく、

当たり前のように言うテージョ。


「正義の味方 竜の化身」か。

面白いぞ。楽しみにしているぞ、

お前がジヴァニアに勝つことを。


そう言うと風竜は「用が済んだら

さっさといけ」と魔方陣を発生させ

強引に二人を転移させた。


「面白くなりそうだ」と。













 

 



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