第11話 腹黒、もとい屑。

翌朝。


既にウォッカとルエダは

保育施設への帰路についた。


ハジメの所に顔を出す

ジェニエーベルとジヴァニア。

「なんか面白れぇことになってるな」

とボルドーは笑う。


「もう知らない所で色々と」と

ジェニは天を仰ぐ。

「ハジメさんは?」と聞くと

「首都に総統殿に会いに行ってるぞ」

「あ、大会までには帰るから」と

笑いながらボルドー。


「勿論、お前も参加するんだろ?

 国主としてすっごいとこ見せてくれ」

とも言う。


そしてボルドーに別れを言い

紫の国へ帰る二人。



その頃 紫の国では。


「やはり発光した」とバーボン。

黄の国から集められた魔核を

硝子の器に入れている。その器の底には

魔方陣が描かれている。


「しかし、魔方陣は消えちゃうんだよな」

とバーボンは椅子をギコギコとする。


「もし、永続的に、いや、夜の間だけでも

 簡単に発光できれば・・・。」とも言う。


その時に親方が入ってきて言う。

「いい加減、銀貨を作るの飽きたぞ」と

机にあった菓子を勝手に食う。

「銅貨とか作らないのか?」とも言う。


「銅貨・・・。か」とバーボンはつぶやく。

「なぁ、親方、銅線。銅でさ。

 ほっそい紐の様なモノ作れない?」と聞く。


「作れるに決まってるじゃねえか」と親方。


その言葉を聞いて

「試験的に、これくらいの細さで

 1メートル作ってよ」と言う。


「お、また面白いこと考えたのか?

 乗っかるぞ」と笑いながら部屋を出る。

一時して親方は戻ってくると銅線を渡す。


バーボンはその銅線で魔方陣を作る。

「魔力が通ればいい。というか、

 なんで発光するか考えろ、俺。」と言いながら。


電気なのか・・・。なら、銅線を

通るはずだ。そう言うと魔核の器の中に

銅線を差し込み、もう一つの器にも

銅線を差し込む。


バーボンは一方の魔核に魔力を注ぐ。

しかし、もう一つの器の魔核は光らない。


「電気と言う概念を捨てよう」そう言うと

ファルツを呼び出す。

「なぁ、ファルツ。これなんで光るんだ?」

と直球で聞く。

「知るかよ。まぁでもちょっと貸して」

とファルツは器を受け取る。


ファルツは魔力を流し込むのではなく

魔方陣を器の下に書いた。

器の中の魔核が光る。しかし、魔方陣の

消滅と共に発光も止まる。


「これ、もしかしたら魔方陣に

 反応してるんじゃなくて、単純に

 魔力に反応してるんじゃないの」と

ファルツは言うと魔核に魔力を注ぐ。


「ほら。発光した」と自慢げに言う。

「考えすぎなんじゃねえのか?まぁた

 異世界の知識とかで考えたろ」とも言う。


「器に魔力を付与すればいいじゃねえか」

そう言うと器に魔力を付与する。

「因みに俺の配合した魔力だから

 安定しないかもよ?」とも言う。


そして、器全体が光りだす。


「これどれくらい持つの?」と

バーボンはじっくりと見ながら言う。


「多分、永遠?」とファルツ。

「まぁ大げさだが3年くらいは持つだろうな」

とも自慢げに言う。

「俺が!」付与したしな!と強調する。


それを聞くと今までの4倍の器を準備し

その中に雷属性の魔核を入れる。

ファルツはその器に魔力を注ぎ込むと

魔核が光りだす。その器にさらに魔核を入れる

と、強い光を放つ。


「決定。ファルツは街灯担当大臣ね」

とバーボン。

「なんだっそりゃ。やってもいいが

 給料上げてくれよ」と軽い返事をする

ファルツであったが、この後の

重労働を、この時は知らなかった!


「で、銅線は?」と親方が聞くと

「もう、用済み」とバーボン。

「でも、これを大量に作ってくれ。」

と大きな器を渡す。

「表面をこんな感じで作れる?」と

紙に断面図を書く。


「そんなもん、型に流し込むだけだ。

楽勝だ。給料上げろよ」

と親方は笑いながら言う。

しかし!親方も知らない!この後の

重労働を!


親方とファルツは部屋を出て行こうとするが

バーボンは呼び止める。

「なぁ、今から作る物、食ってってくれよ」と

バーボンは言うと奥の部屋に引き込む。


一時して、小ぶりの器が出す。

その中を見て二人は

「なんだこりゃ?食いもんなのか?」と

言うとソレを「ズルズル」と食べ始める。


「なんだこれ!うめえな!おい!」


「俺はこれで銀貨1000枚を手にする」

と目を輝かせバーボンは言う。


「おまえ主催だろう。ねえよ、賞金は」

とそれを食べながら言い放つ。

「誰が決めた!そんなこと!俺は

 決めてねえぞ!」と怒り狂うバーボン。


「どこの世界に主催者が優勝する

 大会があるんだよ」とファルツは言うと

「おかわり」とも言う。


「絶対食わせん!」とバーボンは言う。

「ガキか!てめえは!」とファルツ。

「元帥に向かってガキとはなんだ!

 このBL野郎が!」とバーボン。


「BLってなんだよ!知るかそんなもん!

 もういい、さっきの器に魔力は付与しない」

とファルツは言う。


バーボンは一旦退席をし、戻ってくる。


「へい、おかわりお待ち」


それを笑顔で食いながらファルツは言う。

親方も食いながら言う。


「旦那、アイツ使えば?ほら。

 対抗戦で赤の国のさ、ナンとか族の

 ダンとか言う奴?」と

食いながら親方は言う。


「金は折半とかいってさ」と

ごちそうさまと手を合わせながら親方。


「それだ。それでいこう。もし優勝したら

 お前たちにリフレッシュ休暇をやろう」

とバーボン。


「なんだそれ?」とファルツは聞くと

「5泊6日の慰安旅行をさせてやる」と

バーボンは言う。


3人はガッチリと手を取りあう。








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