第3話 実家

朝、ジェニエーベルは目が覚める。

テントから出ると

ルナティアとウォッカが話をしている。

「なんだ、何気に仲いいじゃないか」

と思っていると、突然。


殴り合いを始めた。


二人はジェニに気づくと

「今頃起きたのか。」とウォッカ。

「あら、おはよう」とルナティア。

というより多分、エアスト。


「朝から何やってるんですか!」と

ジェニエーベルは言うと


「準備運動だ」とウォッカ。

「準備運動よ」とエアスト。

二人は鼻血を出しながら言った。


頼むから綺麗な人達が鼻血を出しながら

言わないでください。と懇願する。

そして5人はアクイと向かう。


目の前で青白い閃光がいくつも

放たれている。

ユキツーが辺りの魔獣を片付けている。


「この体はいい!本当にいい!」と

笑いながら縦横無尽に飛び攻撃をする。


「あら、機嫌がいいわね」とジヴァニア。

魔剣を取り出し「フェニックス!」と叫ぶ。

剣を振るジヴァニア。

放たれたフェニックスが魔獣を殲滅する。


ジェニエーベルはフェイルノートを構える。

そして放たれる6連の矢。

全てが魔獣の頭部を貫通する。


「やることねえじゃん」とルエダは笑う。

「お前の出番は洞窟だ」と肩を叩くウォッカ。


「何してたのよ」とユキツーに聞く。

「只の準備運動ですよ」とジヴァニアに

答えるユキツー。


「少しはやるようになったじゃねえか」

とユキツーに言うウォッカ。


「それは貴女たちがおかしいだけです。

 これでも妖精族3本の指に入るんですよ」

とウォッカに言うユキツー。


「もう魔獣がうじゃうじゃです。根城に

 なっています」とも言う。


しかたないわね。とルナティアは言うと

極大な魔方陣を描く。


プリフィケーション・エスパス


そう唱えるとその一帯から魔獣が消える。

「魔獣を弾いたわ。この辺にはもう

 魔獣は出ないわ」とも言う。


「あんたもどっかに飛べばよかったのに」

とウォッカに言う。

「そんなクソみたいな魔法が効くか」

とウォッカは言う。


そしてお互いの右拳がお互いの

顔面を捕らえる。


「因みに入り口の目印とかあるのか?」

とウォッカはエアストに尋ねる。


「何かの目立つ建物だった気がするわ。

 結構昔の事だから忘れた。来るものは

 鍵を使って来てたしね」とエアスト。

 


「よし行くぞ」と何事もなかった様に

二人は鼻血を拭きながら歩き出す。


「フシャスラ。扉を探せ。

 地中にある。」とウォッカは言うと

ユキツーは先行していく。


「ここにベースを張る。ジヴァニア、

 精霊を呼び探索をしろ。」


「ルエダも軽く辺りを探索しろ。

 人間の目で気になる事が

 あったら言え。」とも続ける。


そのテキパキとした行動に

ジェニとルエダ、そしてジヴァニアも

感動している。

「おおう、これこそ冒険者だ」と。


「ジェニエーベル、テントを立てろ。」

と指示をするウォッカ。


一時後、

ベースとなる場所が出来上がる。

「フシャスラが戻ってきたら行動だ」

とウォッカは言うと


「少しこの辺りを私も見てくる。

 少し時間がかかるかもしれない。

 ジヴァニア、お前も来い。」

と言い二人は幻獣を呼び飛び去る。


結構な距離を飛ぶと

「ここだ、ここが婆ちゃんの家。

 私の生まれた家だった所だ。」

と幻獣から降りて言う。


崩れた入り口を片付けるウォッカ。

それを手伝うジヴァニア。

「こりゃもう家じゃねえな」と

笑うウォッカ。


回りと比べると少し大きめの家だが

それでも豪邸の広さとまでは行かない。


「私、御婆ちゃんの記憶がないなぁ」

とジヴァニア。

「そりゃそうだ、お前が生まれた時には

 死んでいたしな。」とウォッカ。


「ここでいいか」とウォッカは言うと

穴を掘る。そこに懐から取り出した

ベルジュラックの髪の毛を埋める。


「私はね」とウォッカは言うと続ける。


冒険者にあこがれていた。

母の、お前の婆ちゃんの仕事が

凄い事とは知っていたが、私は嫌いだった。


私は勘当のように追い出された。

今思うと、流行り病から私を遠ざける

為だったかもしれない。


母は戦った。魔獣ではなく病とだ。

そして駆逐する代わりに死んじまった。


私は泣いたよ。

なぜ母が死ぬ必要があったのかと。

病に苦しむ人は母を聖女と言った。

その時は皆が母を敬った。

しかし、それも過去の事だ。

誰も、その時の事を思い出しもしない。


しかし、私やベル婆ちゃんは一生、

母さんが死んだことを覚えている。

ベル婆ちゃんはずっと悔やんでいたろうな。


そう言うとその場所で祈りを捧げる。

「おばあちゃんの墓はないの?」と

ジヴァニアはウォッカに聞く。


「ない」とウォッカは言う。

流行り病の為に死んだんだ。

焼き払われたよ。だから灰は

ここに撒いてある。


まぁここが、私達、家系の墓みたいな

もんだな。とウォッカは笑う。


「ジヴァニア、私も死んだらここに

 髪の毛でも埋めてくれ」とも言う。

「大丈夫、母様は死なないわ」と

ジヴァニアは言う。


「よし、帰るか」とジヴァニアの背を

押すウォッカ。


二人はベースに帰ると、ちょっと

遅めの朝食が準備されている。


「フシャスラは?」とウォッカは言うと

「まだ帰ってきません」とジェニエーベル。


結構な時間が立っていると思うが。

そうウォッカは気になるが朝食の

スワンサンドを食べる。


「うまいな、これ」とかぶりつく。

なぜかルナティアがドヤ顔をしていた。


その時にユキツーが戻ってくる。

「多分ですが場所がわかりました。」と。

ここから2キロほどの所です。とも言う。


「ジェニ、すまんがベースは撤収だ。

 そこに再度ベースを張る」とウォッカ。


「了解」と軽く言うとテキパキと

テントを畳む。




























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