第2話 原因

「エアストをアクイに連れて行って

 城の所でルナティアから離すって

 事でいいのよね?」とジヴァニア。


「まぁそんなところだ」とウォッカ。

「離すには?」とジヴァニア。


「そんなもん刺さっている魔剣の

 破片を抜けばいいだけよ」とエアスト。


「城に閉じ込められたエアストを

 エンドが強引に外に出したのよね」

とジヴァニアが聞く。


「エンドの城もだがエアストの城も

 転移でないといけない場所だ。

 その転移装置を起動する者が

 死んでしまった。」とウォッカは言う。


エンドの城へはサンテミリオンの血が

必要だった。実際はそこへ続く塔を開くだけ

だけどな。サンテミリオンの血だけでは

エンドの城には行けない。


エアストの城もそうだ。

守護をする者の血で城へ続く所へ

行けるだけだ。そこからは鍵が必要だ。


「エンド討伐の時も鍵を使ったの?」

その話を聞いたジヴァニアが聞く。


「いいや?」私達は正規の手順を踏んで

エンドの所へ行った。

鍵と言うのは、

まぁ正規の「メンドクサイ事」を

しなくても直接城に行けるってことだ。


「鍵ってそこに転移が出来るって事か」

とジェニエーベルは言う。


「そう言う事だ。だから今回は

 メンドクサイ事の前にさらに

 メンドクサイ事をしなければいけない」

とウォッカは言いながら、


「住んでいた奴がメンドクサイ奴だ。

 道中もさぞ、メンドクサイのだろうな」

とルナティアを見て言う。


「あら、大陸最強の魔族さんが

 ビビってるの?」と返すエアスト。


「やっぱ、魔獣がうじゃうじゃ何ですかね」

と焦りながら聞くジェニ。


「まぁ居るだろうな。」とウォッカ。

「居るに決まってるじゃない」とエアスト。


そんな事よりもまずは城へ続く場所へ

行く入り口を探す事だな。

多分それが一番メンドクサイ。


「因みにエンドの城に行く為の

 塔に、母の血、いや鍵がなかったら

 どれだけ面倒くさいですか?」と

ジェニは聞く。


「そうだな、アルブの塔は海に浮かぶ

 孤島にある。全員が60キロ泳ぐ

 くらいだな」とウォッカ。


「因みにエアストの城も海に浮かぶ

 孤島の塔から行くんですか?」と

少し冷や汗を流しながらジェニは聞く。


「いいえ?私の所は洞窟を通っていくわ。」

とエアストは言う。


全員がホッとする。

しかしエアストの次の一言でその安堵が

消し飛ぶ。


「洞窟の入り口は地下よ。地面の中。

 そうね、深さ50メートル下ってとこかな」

「泳ぐより厄介じゃねえか!」とルエダ。


「ふ、普通に考えればですよ?

 聞きたくはないけど聞いちゃいますが。

 掘るんですか?」とジェニエーベルは聞く。


「掘る」とウォッカ。


全員が動揺をする。が、ウォッカは

笑いながら、

「その為にフシャスラを呼んでいる。

 労力は半分くらいになるだろう。」と。


それでも半分じゃないですか!と

ジェニエーベルは上ずった声で言う。


「人海戦術で掘りまくるって駄目

 なの?」とジヴァニア。


「ダメらしいぞ?」とルナティアを

見ながらウォッカは言う。


「当然よ。なんで城に続く場所を

 晒さなければならないのよ。

 ジヴァニアの部屋の入口をこの大陸の

 者が全員知っているのと同じよ?」

とジヴァニアを見ながら言う。


「あぁ、そりゃ嫌だ」とジヴァニア。


そう言った会話をしながら進む一行。

目的地まで後少しとなった所で

陽が沈む。


「今日はここで野営かな」と

ジェニエーベル。


そうしてテキパキとテントやらを

組み立てるジェニ。

テキパキと竈造りをするルエダ。


「なんか久しぶりで体が喜んでいる」

とジェニエーベル。

「そういえばアウトドア、趣味だったもんね」

とジヴァニア。


「向こうの世界では野営は趣味でやる

 ものなのね」とルナティア。


「そうよ。カップルとか気の合った友達

 とかでやるのよ。焼肉とかもして。」と

ルナティアに教えるジヴァニア。


「カップルってなによ」とルナティア。

「あんたとコルンみたいなものよ」と

ジヴァニアはサラッと言う。


「ぶっ」と吹き出すジェニエーベル。

「マジか!?」とも言う。


「まぁ気が合うと言うよりも

 ただ、飲み屋に一緒に行く位よ。

 友達ではないわね。ん?それを

 人間は友達と言うのか。」とカップルを

理解していないルナティアだった!


「ほれ」とホワイトラビットと

サングリア、フランゴを1匹づつ、

ルエダに渡すウォッカ。


「ホワイトラビットはシチューにしよう。

 そしてサングリアは串焼きかな。

 フランゴはどうしようか」と

ルエダに聞くジェニエーベル。


そして調理を始めるジェニとルエダ。

「なんか手際がいいわよね。」と

ジヴァニア達3人はそれを見ている。


「あ、そうか。」とジェニは手を止め

3人に聞く。

「料理する時にもしかして、魔力を

 込めてます?」と。


「込めてるよ」とジヴァニア。

「おいしくなぁれ、と大量に込める!」

とウォッカ。

「込めると言うより漏れてる」と

ルナティア。


「それだ!」とジェニは言うと

「金輪際、料理に魔力は込めないで

 作ってください!」と言い切るジェニ。


この人達がアレなのはそれが原因だったか!

人類が今まで解明できなかった事を

解明してしまったジェニだった。


「そうか、本当に些細なことだったんだ」

と涙を流し料理を作るジェニ。


「手伝おうか?」とウォッカは言うと


「いえ、結構です。」とそれでも

キッパリ断るジェニであった。
























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