紫の国 第5章

erst-vodka

第1話 出発

ジェニエーベル。

向うの世界での名前は神原かみはら 勇樹ゆうき

エアスト大陸で生まれ向こうで育ち

そして、帰ってきた。紫の国の国主として。


ジヴァニア。

やはりこのエアスト大陸で生まれる。

向うの世界では加納かのう 美香みか

ジェニエーベルと共に帰ってくる。

様々な出来事の末、勇者となる。


ウォッカ。

この大陸最強の剣士。

ジヴァニアの母であり、そして

魔王エンドとの契約で魔族となる。


ルエダ。

赤の国で有名だった爪使いの女性。

対抗戦では美香に敗れるがその強さは

折り紙付きである。

今はウォッカと共に保育施設で働く。


ベルジュラックの葬儀の後

4人はルエダの到着を待ち、そして

青の国へ向かっている。


「依頼内容を聞いてないんだが?」と

ルエダはバイクを運転しながら

ジェニエーベルに聞く。


「気にするな、俺もだ。」と

いつもの事だと言わんばかりに答える。


「というか、お前。国離れていいのかよ。

 国主だろう?忙しんじゃないの?」と

ルエダは聞くと


「大丈夫だ、一番暇だ。そう、

 ハンコ押すだけの簡単な仕事だ」と

答えるジェニエーベル。


ジヴァニアとウォッカは幻獣を

操りながら会話をしている。

「勇者になっちゃったけど、何も

 変わらないのよ?」とウォッカに言う。


ウォッカは笑いながら、そんなもんだ。

と答えるとジヴァニアも笑う。

「ところでなにしにいくの?」と聞く。


「あいつ何も言ってないのか!」と

驚き、ジェニとルエダにも聞く。

勿論、知らないとの答え。


「あいつの城で封印して二度と

 出てこれないようにしてやる」と

ウォッカはむかついたように言う。


「私達は今からルナティアを、いや

 エアストを基いた城に戻すんだ。」

ともウォッカは言った。


場所はアクイの街、今は廃墟となっている。

「城なんてあったっけ?」とルエダ。

入り口があるだけだ。とウォッカは言うと

「案内係はもうアクイに向かっている」


「あぁ、だからユキツーは単独行動

 なのね」とジヴァニアは言う。


ユキツー。

ジヴァニアの父バーボンによって

向うから持ってきたフィギュアに

統合された妖精フシャスラ。


そして4人は青の国の首都につく。

4人は城に向かい、門番に声をかける。

「ルナティアいる?」と凄く軽めの

挨拶をするジヴァニア。


門番は驚き

「ジヴァニア様が来られた!」と

大きな声で叫ぶと門が開く。

方々から兵士が集まってくる。

「おお!勇者様!綺麗だ!」とか

「生勇者だ!」とか。

それはもう大人気だ。


ウォッカが門の中に入ろうとすると

「ウォッカだ!ウォッカもいるぞ!」

という大きな声がすると

「やばい!隠れろ!」とか

「食われるぞ!」とか

「でも綺麗は正義」とか。

ある意味大人気だった。


ジェニエーベルも門の中に入る。

・・・。

「なんで俺には歓声が無いんだよ!」

と動揺するジェニに、ルエダは

「そんなもんだ、男子は」と肩を叩く。


「あ、ルエダさん?ですよね!

 俺爪使いで、俺の憧れなんです!」

と一人の兵士がルエダに声をかけた。


ルエダはジェニをチラ見すると

ニヤリと笑った。


「こ、こんなものか。他国の国主は」

と落ち込むジェニエーベル。


4人が場内に入り案内係の後を

ついて行くと。

「あれ、ここ宝物庫じゃない」と

ジヴァニアは言う。


「来たわね、中に入れて」と

ルナティアの声がした。


ルナティア。

青の国の皇女でありながら

体に神エアストを封印されている。

エアストが居なくてもウォッカと

同等に戦える力を持つ。


「てめえ!なんでこいつらに

 目的を伝えてないんだ!」とウォッカ。

「それは貴女がするって言ったじゃない!」

とルナティア。


「耄碌してんじゃねえ」と

ウォッカとルナティアは言い合う。


「大体は聞きましたし、久しぶりです。

 ルナティア様」とジェニエーベル。


「ふん」とウォッカをチラ見して言うと

「はいこれ。ルエダ使いなさい」と

爪を渡すルナティア。


「うぉ!なんかいい感じの爪!神器?」

とルエダは聞くと

「残念ながら違うわ。爪の神器はどっかに

 いっちゃってるの」とルナティア。


「武器マニアのお前が無くするのか?

 ウケるんだけど」とウォッカ。

「無いものはないのよ。あんたが

 隠してるんじゃないの?」とルナティア。


次にジェニエーベルに弓を渡す。

「手に入れるの苦労をしたのよ?

 エルピスごときに頭まで下げて。」と

ルナティアは言う。


「あなた、それを一度使ったことある

 わよね?そう言っていたわ。

 ジェニエーベルが使うならともね」


ジェニエーベルは思い出す。

「え、でもアレは子供用の弓じゃ?」

と言うとルナティアは答える。


その弓は使う者の身の丈に合うのよ。

大きくもなるし、小さくもなる。


「それでウォッカを後ろから撃ちなさい」

ともケケケと笑いながら言うルナティア。

「おい、ジヴァニア。その魔剣で

ルナティアを斬れ」とウォッカ。


「仲悪いのに。何故このメンバーなんです?」

とジェニエーベルは聞くと


「そりゃ、残念ながらウォッカは

 強いからよ。私よりも弱いけど」と

ルナティア。

よくよく見るとルナティアの目が

先ほどから金色であった。


「お互いの利害が一致しただけだ」と

ウォッカは言う。


宝物庫を出るとそこにコルンが居た。


コルン・ブラント。

転移魔法を失敗し、魂のみ

向うの世界に飛ばされる。そこで

ジヴァニアに出会い、この世界に

戻ってくる。


「コルン、いつの間にこの国の人間と

 なったんだ。国主の俺は悲しいぞ」

とジェニエーベルは言う。


「ちょ!只の出向ですよ!というか

 帰してくれないんですよ!」と

言い訳をするコルン。


「そうか、そうだよな。国のてっぺんが

 男よりも女の方がいいもんな。」

「残念だ、残念だよコルン君」と

ジェニエーベルは言う。


「そ、そんな事はないですよ!今でも

 勇樹君一筋ですから!」とコルン。


全員が目を見開く。

「コルン、悪い事は言わない。

 女子を好きになれ。」とルエダ。

「そうじゃないし!」とコルン。


「もうお前はずっとこの国に出向だ。」

とジェニエーベルは言うと

「あら。よかったじゃない」と

ニヤニヤしながらジヴァニアは言う。


「コホン」と咳払いをして

「準備していくわよ」とルナティアは言う。


そしてルナティアを入れた5人は

アクイの街、いや廃墟へと向かう。

エアストを戻すために。

















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