第112話 しば犬の彼との生活
はい。しばらくぶりに彼の近況報告です。
早いもので、彼が家に来てくれてから、六年の月日が流れました。
慌てずゆっくり、できるだけ優しく、を心がけて、どうすれば彼が快適なのだろうかと模索していた日々もありました。
うちに来た時にはすでに一年十二ヶ月でしたので、成犬は懐いてくれないのかな? なんて、さみしい思いをしたのも本当のことです。
が、年月をかけて、ゆっくり、優しく、で正解だったようで、彼はすっかり大人になりました。
今では、親父さんになでられたくないよ〜、みたいなからかうような素振りをしたり、一生懸命マットをホリホリする姿も見せてくれました。
心やさしい彼ですので、ガツガツ食べるようになっても、間違えて私の手を噛みそうになるとパッと離してくれています。
そうなのです。今でも、遊びの時間にあげるおやつは、きちんと手で食べさせております。そうして、私たちのにおいを覚えてくれたら、との目論見もありました。
怖くないんだよ、って正確に伝えるために、仮に噛まれてもかまうもんかという私のポリシーは、小学生の頃、ホワイトタイガーの赤ちゃんを抱っこしてから一度も変わっていません。
そこまで真意を見せないと、彼らに味方だよって伝え方がわからないからなのです。
なので、前の子には結構バリバリ噛まれていましたね。伝え方を間違えていたのかもしれませんし、甘え方を知らなかったのかもしれません。
年月って、すごいなって。そう思いませんか?
つづく
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