第16話 魂の力


 *異世界4日目:昼

 パスタとバゲットを出来るだけ早く食べ終えた俺は、コアの前にいるリリスのところに戻った。


「リリス、戻った。なんか気になるものはあったか?」


「マスター、領域の拡張にSPを割くのは勿体無いことが分かりました。」


「お?何?どんな感じだった?」


「はい。SPはMPを使う機能なら全てが10倍換算で運用出来るようです。貴重で強力な分、かなり使えるエネルギーです。」


 俺自身に確認させたいのか、タブレットを手渡してきた。ホーム画面に追加されたSPショップアプリを開く。


 _____

 SPショップ


 SP限定ダンジョン施設

 SP限定特殊機能

 SP限定医薬品

 SP限定装備品


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「ほぼDPショップだな。これがそんなに強いんか?」


「限定医薬品を押して下さい。驚きますよ。」


 その通りにSP限定医薬品を押した。


 _____

 SP限定医薬品:SP


 MP増幅薬:5〜∞SP(1MP:5SP)

 筋力増幅薬:10〜∞SP(1筋力:10SP)

 瞬発力増幅薬:10〜∞SP(1瞬発力:10SP)

 持久力増幅薬:10〜∞SP(1持久力:10SP)

 知力増幅薬:10〜∞SP(1知力:10SP)

 視力増幅薬:10〜∞SP(1視力:10SP)

 精力増幅薬:10〜∞SP(1精力:10SP)

 再誕の雫:20.000.000SP


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「おぉー、MPはこれで増やせるのか!…ん?この再誕の雫って…?」


「はい、ご家族の蘇生に必要なアイテムのようです。マスターには失礼ですが、意外と安いと思いました。」


「へぇ…2000万か。いや、俺も結構安いと思うわ。だってハチ400万匹でしょ?死者蘇生なんだしもっとすると思ってた。まぁ邪神様にとっては大した差はないのかもな。」


「そうかもしれませんね。それと最優先はマスターのMP増幅薬です。ご家族の蘇生はしばらくお待ち下さい。」


「分かってる。次が無い2000万と次がある2000万とじゃ全然違うからな。素直に拡張と強化に回すよ。」


「はい、早く稼げるようにしましょう。では私は他も探しますので、マスターはSPショップの確認をお願いします。」


「おけおけ。」


 そうしてSPの解放で変わったことを確認していった。


 ***


 SP限定ダンジョン施設は、浸かっていると少しずつ体が再生する[神秘の泉]や、1日で作物が収穫出来るまで成長する[実りの園]なんてものが購入出来る。


 SP限定特殊機能は、領域内の生物から生気を徴収してMPに変換する[生気変換装置]、惑星を流れる地脈を少しずつ引き寄せる[地脈誘引装置]などが売られている。


 SP限定医薬品は、SPを使ってステータス値を強化出来る薬を買える。MP強化は眷属強化で上げる方が安上がりだから、実質俺専用の項目だな。知力とかは他の魔物に飲ませても良いかもしれない。


 SP限定装備品は、DPと同じように武器と防具と装飾品に分かれている。武器はゲームとかでよく見た神話の武器が普通に並んでいる。値段から考えると本物っぽいけどバカ高い。

 防具も神の名前が付いた鎧とか盾があってこれも本物っぽい。比較的(?)普通っぽくて安いのが、[アダマンタイトの不壊鎧ふえよろい]なんてものがあった。



(基本的に全部がかなり使えるモノばっかりなんだけど…、武器がバカ高い!SPで100億ってMPだったら1000億だぞ?普通に100億クラス用意した方が早いわ!)


 SPショップの一部のロマン枠に脳内ツッコミをしていると、


「マスター、コアの生成可能使役生物にSPを使う生物が追加されていました。魔物と言うよりは人間種になりますが、魔人種マギ、  精霊種エルフ鉱洞種ドワーフが追加されていました。」


「マジ?どれ?見せて。」


 コアの横に居たのですぐにウィンドウを覗き込む。


 _____

 生成可能使役生物:SP


 魔人種マギ:300

 精霊種エルフ:520

 鉱洞種ドワーフ:440


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


(うーん、安い?MP換算だとまぁそれなりって感じか?)


「マスター、これは最低1体は作った方がいいかもしれません。どの種族と接触するにも同じ種族が間に入ればスムーズに接触出来ると思います。」


「それがこちら側の者でも?」


「勿論です。そんなことは相手に分かりませんから。黙っていれば良いのです。」


「…はい。それでこのSPは高い?安い?」


「私は値段相応だと思いました。魔人種はただの人間種より魔力に親しい種族です。3万MPで戦闘可能な工作員と考えると安いと思います。」

「精霊種は全身に魔力回路を持つ種族で、魔人種より強くて長命です。その代わりに数が増えにくいですが、それを超える能力があります。工作員というより研究員として作るのもアリかもしれません。」

「鉱洞種は鉄の骨格と人間の倍の筋密度を誇る種族で、戦闘も出来ますが第1は鍛治技術ですね。鍛治職人として作りましょう。」


「鍛治職人?あー、そういえば通路に坑道とかあったな。あれから鉱石が採れるんだっけ?」


「はい、坑道タイプは鉄をメインに金銀銅鉛錫鉱石がランダムで。秘密坑道タイプは鉱石の品位が上がります。希少金属タイプは6属性を持つ属性鋼の鉱石が追加されるようです。」


「なるほど、ドワーフにそれを加工させれば武器を自給出来るのか。」


「はい。あとはエルフの研究員でしょうか。魔力適正が高いですし、何より長命で気が長いので研究に向いていると思います。」


「研究って何を研究するん?そんなに研究するものあったっけ?」


「そうですね…、魔法技術に関しては、魔力修行の際に色々とお教えする予定だったのですが、今説明してもよろしいですか?」


「うん、よろしく。俺も魔法使ってみたいし。」


「はい、では基本的な魔法と魔術の違いから順番に説明していきます。」


 そうして、昼食を食べて少しした昼下がりに魔法と魔術の授業が始まった。

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