第15話 先遣隊
コアからの侵入の警告を聞いた俺達は、ロキとウルフズはコアルームの扉の前へ。リリスと俺はコアに向かった。
「コア、侵入した敵は何だ?」
:侵入者は蜂系統種、ワーカー・ビー3、ソルジャー・ビー13の16体です。
「え?そんだけ?」
予想外の少なさに思わず声が出た。
「マスター、これは先行部隊でしょう。マップにはかなりの数がこちらに向かっているのが写っています。この部隊はこちらの戦力構成を確認しに来た部隊だと思います。」
「あー、だよな。流石に少なすぎると思ったわ。」
「こちらにはゴブリンジェネラルがいますから、向かってきている本隊全てを投入してくると思います。」
「ん?ジェネラルってそんなに強いん?向こうの大部屋に生成させたからまだ見たこともねぇや。」
「それならコアのウィンドウで離れた部屋のモニターする機能があります。それでゴブリン共を観察されては?そろそろハチと戦闘が始まると思います。」
「そんな機能があるのか。じゃあコア、大部屋のモニターを出してくれ。」
:大部屋、ゴブリン防衛部隊を表示します。
いつも使っているより少し大きなウィンドウが現れ、ゴブリン達を映し出した。
(おぉー。本当にゴブリンだ!マジで緑の肌じゃん、何の色素だよ…。しかも腰蓑しかしてないし。ソーサラーはちゃんと上位者って感じだな、ローブっぽいの着てるし杖持ってるし。ジェネラルはデケェしフルプレートの鎧着てるし普通に強そう。)
興味深く観察していると、
「マスター、それで先程のジェネラルの話ですが。ジェネラルは鎧を着ていますから他のゴブリン共と比べるとかなりの防御力があります。当然ハチの針では隙間以外は刺さりません。軽装のゴブリンとソーサラーは毒針で殺せても、ジェネラル相手だと取り囲んで隙間を狙い続ける必要があるんです。」
「それに囲んで針を刺せても、生命力があるのですぐには死にません。刺されてもしばらくは動けるでしょう。」
「そんなタフな敵が巣から離れた場所でそれなりの戦力を整えているのです。今の内に叩いておきたいと考えるはず…です。」
「ふーん、ハチは頭良さそう?巣で見てきたハチはどうだった?」
「それなりに頭が良いように感じました。木の枝で屋根を作っていたり、雨水を貯めるため池までありました。」
「それなら大丈夫じゃない?ジェネラルを知らなかったとしても見たこと無い奴を警戒するくらいの知能はあるでしょ。」
「はい、そう思うことにします。」
*
そんな話をしていたところで、ハチとゴブリンの戦いが始まった。
通路から大部屋に入ったハチに対して、ソーサラー10体からの火球が飛んでいく。遠距離から放たれた火球は13匹の内4匹に命中し、一瞬で全身に燃え広がった。
命中したハチは全身が焼け焦げ、羽も燃え尽きて地面でもがいている。
「おぉ!あれが魔法!結構な威力じゃん?」
「はい、魔法は最下級の魔法でもそれなりの威力になります。それにあのソーサラーはダンジョン産ですから、野生のソーサラーよりも少し強いですよ。」
「へぇー、俺も使ってみたくなった。リリス、俺に教えてくれるか?」
「もちろんです。これからは動画を見るより魔法の訓練をしましょう。」
今までダラダラ過ごしていたのを遠回しに詰められたようで、身体を縮めた。
そんなことをしている内に、ゴブリン60体がソルジャー・ビーに突撃していく。ワーカー・ビーと思われる3匹の小柄なハチは通路から逃げていったが、この大部屋は一辺100mの大部屋なので、他のハチは当然に上に逃れた。しかし、上に逃げても魔法で狙い撃たれて、また4匹が炎上墜落する。
残り5匹は不利を悟ったのか、下で騒いでいるゴブリンに急降下して襲い掛かった。尻から突き出る毒針でゴブリン4体を道連れにしたが、数に押されて叩き潰された。
:侵入者4体の魂の捕獲に成功しました。残存する侵入者を排除して下さい。
「4体?」
「撃ち落とされたハチでしょう。まだ息があるのかと思います。」
「あー、確かにピクピク動いてたな。じゃあトドメを刺さないと。」
「マスター、よろしかったらご見学されますか?私とロキで護衛しますので、ゴブリンとハチを見に行かれますか?」
「じゃあそうしようかな。護衛がいれば危険も無いだろうし。」
そういう訳で、大部屋にハチとゴブリンの見学に行くことにした。
*
見学といっても、コアルームを出たらすぐ大部屋だし距離にすると100mくらいでハチの近くに来た。
(ハチはハチだけど、デケェ…。50cmくらいはあるな。針も10cmくらいあるし。)
画面越しではあまり感じなかった大きさをリアルで見て実感した。俺が来るまでに全て息絶えていたが、イメージしていたハチの数倍は大きくて、少しビビった。
(それにゴブリンがな…。ソーサラーとジェネラルはいいけど、こいつらは俺が誰か分かってないんか…。)
そう。コアルームから俺が出てきた瞬間に、ジェネラルとソーサラーは俺に跪いてきた。しかし、ゴブリン共はそれを見てもそのまま突っ立っている。
(他人から貰った力でイキるつもりは無いけど…、もうちょっと何というかこう…、ないんか?いや、俺が我儘になってる?)
そんなことを考えながらリリスとロキを連れてコアルームに戻った。
*
戻ってきた俺達にコアから、
:侵入者の排除及び魂の捕獲が完了しました。魂を送信しますか?
魂を送るか聞いてきた。送り先は分かりきってるので、
「あぁ、送信してくれ。」
:送信が完了しました。
:
:65SPを獲得しました。
「お?ソウルポイント?そのまんまだけど分かりやすくて助かる。」
机のタブレットを点けて変わったところを確認する。
_____
ダンジョン管理アプリ
DP:104529
SP:65
階層拡張機能▶︎
空間操作機能▶︎
眷属登録▶︎
眷属強化▶︎
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ダンジョン管理アプリを確認する。DPに追加でSPの表示がされていて、どうやらSPはMPの上位互換のエネルギーのようだ。
_____
外部領域拡張
外部領域拡張:1㎡:10MP
外部領域拡張:1㎡:8DP
外部領域拡張:1㎡:1SP
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
領域拡張を開いてみたら、MPの10倍換算らしいことが分かった。
「10倍か…。13匹で65ってことは…1匹5?そうすると思ってたよりショボいな。」
「マスター、魔物の生成でも10倍換算のようです。フェンリルが9.2億SPでした。」
コアで調べていたリリスが報告してきた。
「うーん、ハチ換算だと何匹?」
「1億8400万匹ですね。近衛や女王は多少上だと思いますが、誤差の範囲内でしょう。巣の5〜7万匹で25〜35万の間でしょうか。」
「あー、やっぱりハチじゃあ全然かぁ…。そういえば惑星の生き物全部でも1体に届かないとか言ってたような気がする…。」
「そうですね、やはり惑星上の情報量を増やすのは必須ですね。それに巣を全滅させればそれなりに領域を拡張出来ます。」
「それでも盆地全部はまだまだ掛かるな…。」
「はい…。それでマスター、そろそろ昼食のお時間です。私がSPの仕様を調べておきますので、少し休憩して下さい。」
「分かった。じゃあ頼むよ。俺もサッサと食べ終えるからさ。」
そう言って、コアから離れた机で昼食のパスタとバゲット140DPを食べた。
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