第10話 リリスの強化


 ハチの本拠地を発見して、卵を奪ってくる前にリリスの強化をすることにした。


 夕食に豚骨ラーメンを食べて、シャワーを浴びてから回復してきたMPをリリスに使う。


 ハイデーモンであるリリスの1つ上の位階が男爵級バロンデーモンだ。MPだと38万で生成出来るから、ハイデーモンの21万から差額17万を使えばいいらしい。


「差額だけでいいんだ?少しはロスが出ると思ってた。」


「はい、基本的に肉体を持つ魔物はロスが出ると思います。魂を強化しようとしても肉体の方にも力が流れてしまう分ですね。例外として悪魔とゴースト系統は魂が本体なので、余すことなく力を受け入れることが出来ます。」


「へぇー、ゴーストもそうなんか。確かに流出先が無ければ魂しかないってことか。」


「はい、それではマスター、眷属強化をよろしくお願いします。」


 リリスに促されて、コアに右手を触れる。コアウィンドウを操作して、眷属強化に進んだ。


 _____

 眷属強化


 強化する個体を選択して下さい。


 ハイデーモン・希少種♀個体名[リリス]




  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 リリスを選択する。


 _____

 眷属強化


 強化に消費するMPを設定して下さい。


 消費MP:

 強化効率:100%



  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 どうやら消費MPを打ち込んで設定出来るらしい。170.000と入力した。


 :眷属強化を実行します。MPが169.968不足しています。169.968MPを吸収します。手を離さないで下さい。


 コアからのアナウンスにウィンドウを消して、コアに右手を触れる。MP吸収の血が流れていくような感覚を感じていると、40秒程で吸収が止まった。


 :眷属強化が完了しました。個体名[リリス]は眷属新生が可能です。続けて実行しますか?


 想定通り次の段階に進化出来るらしい。横に立っているリリスに顔を向けると、

「いえ、まだ属性が3つしかありません。もう少し属性を増やしてから新生させていただきたいと思います。」


 そう首を振られた。俺としても特に異論は無いので、

「いや、眷属新生はまだ実行しない。コアはまた待機モード。」


 :待機モードに移行します。


 コアを待機させ、またリリスに向き直った。

「それでどう?なんか調子変わった?」


 リリスは拳を握ったり、首を回したりしている。

「身体は特に変わりませんが、魔力の循環がかなり速くなりました。魔法の発動速度が今までの2倍近いかと。しかし一体どんな仕組みなんでしょう?コアに触れることもなく…、無線強化?」


「確かに意味分からん技術だけど、強くなれればいいんじゃね?…それでこの後はさ、リリスに卵の拉致をお願いしたいんだけど、俺の護衛になんかもう1体作っていい?あの蜘蛛はちょっと…。」


「はい、元からその予定でしたので全く問題ありません。20万クラスを護衛として用意しましょう。あのヒュージスパイダーにはダンジョン入り口に網を張らせて、私が居ない間は何も侵入させないようにします。」


「じゃあ何にしようか?MPがまだ6000くらい残ってるけど先にチャージしておいていいか?」


「はい、生成を中断してどれだけMPが発散するのかも知りたいです。護衛は…どうしましょうか?ガルム、オルトロス、ケルベロスなら小柄で鼻も効く上にそこそこ強いです。」

「銀獅子とキマイラは身体が5〜10mになりますが、その分タフになります。銀獅子の毛皮は半端な攻撃は通しませんし、キマイラは背中の山羊の頭が魔法を使います。」


「うーん、あんまデカいのはな…。ガルムとオルトロスの違いは?ケルベロスはなんとなく知ってるけど…。」


「ガルムは地獄の番犬です。犬と言っても狼犬なので体長4m程の巨狼です。オルトロスは双頭の犬です。こちらはそのまま番犬で、大体2m程です。」


「狼か…。ならガルムに6属性ウルフを4体の20万1個小隊みたいにするのは?狼なら連携とかも取りやすそうじゃね?」


「それは…アリかも知れません。20万でそこそこの機動力に戦闘力、鼻を活かして追撃部隊としても運用出来る…。」

「付けるウルフ4体は、火、水、土、光にしましょう。火起こし、水分補給、安全な寝床、回復担当を付ければかなりの継戦能力が期待出来ます!」


「おぉぅ、そう?それなら良かったです。でも俺の護衛にそんな能力要る?基本ダンジョンにいると思うんだけど。」


「これは暫定的な護衛です。マスターの護衛はどんどん強い個体に更新して、最終的にはドラゴンクラス以上を揃えなければいけません。更新された護衛は他で使うのでどこかで役に立たせます。」


 確かに。俺は不老らしいけど不死ではないから、自分が強くなることもそうだけど、周りに強い魔物を置いて守ってもらう必要があるんだ。


「あぁ、それなら悪魔代表はリリスに任せるからよろしくな。」


「はい、あとは私に任せてマスターはお休みください。」


「じゃあガルムの生成に6000チャージして寝るよ。」


 すぐ横にあるコアに右手を触れる。ウィンドウを呼び出し、ガルムの生成を開始しようとする。


 _____

 防衛使役生物生成


 ガルムを生成します。コアに触れて下さい。



  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 ウィンドウの横からコアに触れる。


 :必要なMPが不足しています。分割チャージを開始しますか?


 コアからシステムメッセージが流れた。

(なるほど、分割チャージね。)


「分割チャージで6000チャージしてくれ。」


 :分割チャージモードで6000MPをチャージします。

 :現在の魔力濃度では1時間に約0.8%ずつ発散します。実行してよろしいですか?


「はいはい、実行して。」


 スッとMPが吸われた感覚がすると、ウィンドウの表示が変わっていた。


 _____

 分割チャージ中


 ガルム:6000/160.000

 発散率0.8%/時間


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「リリス?魔力濃度が高くなるとこの発散率も抑えられるってことだよな?」


「恐らくはそうです。特殊機能設置の大気魔力収集装置を導入すれば改善出来そうですね。」


「あぁ、それと魔力停滞装置とかも使えそうだな。…まぁ、とりあえずまた後日な。どっちもまだそこまで必要って程でもないし。」


「はい、お休みなさいませマスター。」


「おやすみ。」


 また改善しないといけないことが増えたけど、MPは空だし、明日に回して眠りについた。

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