第4話 周辺偵察


 地中に埋まったコアルームに閉じ込められた状態だった俺は、リリスと相談して100mの横穴を開けた。


 操作は簡単で、タブレットに表示される周辺地形を見ながら、画面をなぞるだけ。上からの視点表示でなぞると、縦一直線に引かれる。それを今度は横からの視点で高さを合わせる。


 そうしてコアルームから、横に1本横穴を開けた後は、偵察に魔物を派遣することにした。


「偵察用の魔物は飛べる方が良いよな?」


「はい。山の中腹から出ることになりますし、飛行系なら敵も飛行系に絞られます。」


「そうだよな、飛べるやつ、飛べるやつ…」


 呟きながらコアに右手で触れた。

(これコアに触らないと一覧も見れないのめんどいな…)


「コア、タブレットで生成可能な魔物を見ることは出来ないか?」


 :一覧表示機能を拡張端末に追加しますか?


「はい、追加する。」


 :生成可能な防衛使役生物の一覧表示機能を拡張端末に追加しました。


「おし、これでタブレットで見られるな。」


 白い地面に胡座をかいて座る。リリスも俺の横に膝を折って座り込んだ。


 見やすいように少し画面を向けながら、新しくアプリとして増えた魔物一覧を押した。


 _____

 生成可能使役生物:単位MP


 ビッグラット:20

 ビッグバット:25

 ビッグリーチ:25

 ビッグセンチピード:25

 ビッグフライ:30

 ビッグモスキート:30


 犬・狼系統

 ウルフ:1000

 ウルフリーダー:1400

 ダイアウルフ:4000

 ウルフ(6属性):10000

 ブラックドッグ:40000

 バーゲスト:80000

 ガルム:160.000

 オルトロス:180.000

 ケルベロス:230.000

 フェンリル:9.200.000.000


 猫系統

 パンサー:3500

 ライオン:4000

 シャドウパンサー:12000

 銀獅子:210.000

 キマイラ:205.000


 鳥・猛禽系統

 クロウ:1200

 ファルコン:5000

 ホーク:4800

 イーグル:5500

 スピードファルコン14000

 双頭ワシ:12000

 ロック鳥:90000

 不死鳥:130.000

 八咫烏:6.000.000


 蛇・蛇龍系統

 スネーク:2600

 ハイドスネーク:4800

 シャドウスネーク:16000

 キングコブラ:6000

 ポイズンスネーク(弱.強毒):15000.29000

 サーペント:40000

 ピュートーン:60000

 バジリスク:160.000

 ヒュドラ(3.6.9):60000,140.000,230.000

 黒龍:980.000

 八岐大蛇ヤマタオロチ:140.000.000

 アポピス:9.700.000.000


 竜系統

 ワイバーン:140.000

 ドラゴン(幼体):210.000

 ドラゴン(成体):510.000

 ドラゴン(6属性):660.000

 ドラゴン(エルダー):850.000

 ドラゴン(古代種):1.950.000

 ドラゴン(純血種):5.400.000

 ドラゴン(始祖種オリジン):42.000.000

 ミドガルズオルム:10.020.000.000


 悪魔系統

 インプ:9500

 レッサーデーモン:48000

 デーモン:160.000

 ハイデーモン:210.000

 男爵級バロンデーモン:380.000

 子爵級ヴァイカントデーモン:570.000

 伯爵級カントデーモン:990.000

 侯爵級マークイスデーモン:1.860.000

 公爵級デーモンデューク:3.700.000

 魔王級サタンデーモン:10.500.000

 権能保有悪魔:6.000.000.000


 二足歩行系統

 ゴブリン:500

 ホブゴブリン:1300

 ハイゴブリン:2200

 ゴブリンソルジャー:3600

 ゴブリンソーサラー:5700

 ゴブリンコマンダー:5200

 ゴブリンガーダー:6400

 ゴブリンジェネラル:11000

 ゴブリンキング:48000

 ゴブリンエンペラー:77000


 オーク:1200

 オークソルジャー:3700

 オークソーサラー:6600

 オークジェネラル:24000

 オークキング:59000

 オークエンペラー:96000


 オーガ:5300

 ハイオーガ:19000

 鬼:67000


 ワーキャット:12000

 ワーウルフ:28000

 

   ・

   ・

   ・

   ・

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「おぉー、かなり種類あるなぁ…。」


 下までスクロールすれば、粘体系統とかゴースト系統とか更に系統があった。


「マスター、この100億クラスの魔物が女神を殺せる規模の力を持っていると思われます。」


「あー、うん。普通に生成しようとするのは無理だな。俺の魔力が20万で、分けてチャージするにしても200万チャージに100時間掛かるんだろ?2000万に1000時間、2億に10000時間、20億に10万時間…。200億に100万時間。3体分なら300億で150万時間…、リリス150万時間って何年?」


「はい、約173年です。しかしですねマスター、自然に散っていく魔力を計算に入れますと、更に長くなるかと。」


「あれ?意外とそうでもないな。元々500年くらいで考えてたし、最悪でも半分の250年くらいで女神を殺す力が貯まるって考えるといけそうな気がする。」


「そうですね、言われてみれば確かに。ここに魂からのエネルギーも加われば更に短くなりますし。」


「変に浪費しなければ意外と100年くらいで殺れるかもな。」


「無駄に浪費しないためにも周囲の偵察を済ませましょう?私のおすすめは、クロウです。戦闘力は有りませんが、元から比較的賢い鳥ですし、ダンジョン産なら更に賢く強化されているはずです。」


「ダンジョン産だと賢くなるんか?」


「はい、なるはずです。ダンジョン産の個体は完全な設計図が元になるので、その生物に許された理想のスペックで生成されます。最大の身体能力に、最大の頭脳で作られるので、野生とはかけ離れた性能になります。」


「へぇーじゃあクロウにしようか。とりま1体生成してみよう。」


 座ったままの状態から、右手を伸ばしてコアに触れた。


「コア、魔物の生成だ。クロウを1体生成してくれ。」


 :クロウを1200MPを使って生成しますか?


「はい、生成する。」


 :1200MPを吸収します。手を離さないで下さい。…生成が完了しました。


 魔力を吸われる感覚が少しして、すぐに終わった。コアが完了と言った瞬間に、俺の左前にカラスが出現した。


「これがクロウ?気持ちデカいか?日本で見たカラスとは違うな。」


「このクロウは魔力も通ってますから、その分も体格が良くなっているかもしれません。」


「うんうん。半端だしあと9体で10体にしよう。コア、クロウをもう9体生成!」


 :10800MPを吸収します。手を離さないで下さい。…生成が完了しました。


 今度はコアの向こう側に生成されたけど、透き通ったコアの奥に黒いクロウ達が見える。


 横のリリスにタブレットを渡して、指示をするために立ち上がる。コアルームから外に伸びる横穴まで歩く。その俺の後ろにクロウ達が付いてきた。


「よし、クロウ達!お前達は今からこの横穴を出た先で偵察をしてきてもらう!まずは浅く広くだ。魔物はいるか、どんな場所か簡単な情報でいい。危険を感じたらすぐに逃げて、情報を持ち帰れ!以上!」


 そう指示を出したら、ちゃんと理解しているようで、一斉に「カァ!」と鳴いた。


 横穴から飛んでいくクロウ達を見送ると、


「リリス、偵察はこれで足りるか?他におすすめはいたか?」

 タブレットを渡したリリスに確認した。


「マスター、このタブレットなのですが、私は操作する権利が無いようです。見ることは出来ますが、スクロール出来ません。」


「マジ?あーそういえば、眷属登録はしたけど強化はやってないな。」

 コアの近くに戻って、リリスからタブレットを受け取る。


 _____

 眷属強化


 眷属強化

 眷属権限強化

 眷属特殊能力付与

 眷属新生


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「リリス、この4つの詳細を説明出来るか?」


「はい、上から眷属強化は眷属の魔力量を強化し、瞬間・継戦能力を高めます。」

「眷属権限強化はそのままで、眷属に権限を与えてダンジョン管理を代行させることが出来ます。」

「眷属特殊能力付与は…、簡単に言えば属性の追加でしょうか。例えば私は悪魔の属性ですが、ここに火や土等の属性を追加出来ます。」

「眷属新生は進化のようなものです。経験を積み、大きくなった魂を再利用して、眷属の存在を1つ上の位階に押し上げる力です。」


「へぇー、色々試したいけど、とりあえずリリスの権限だな。」


 _____

 眷属権限強化


 権限を強化する眷属を選択して下さい。


 ハイデーモン・希少種♀[リリス]




  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 リリスを選択する。


 _____

 眷属権限強化


 ダンジョン管理権限

 ・サブマスター権限

  ・ダンジョン構築操作権

  ・使役生物命令権


 拡張端末操作権限

 ・タブレット端末操作権

  ・タブレット端末操作権(一部)

 ・スマホ端末操作権

  ・スマホ端末操作権(一部)


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「リリス、この上のダンジョンの権限も有った方が良いんじゃね?俺の情報参謀なんだし。」


「情報参謀…。ありがとうございます。ご期待に添えるよう全力を尽くします。」


(じゃあ、サブマスターにしとくか。あとタブレットとスマホの上の権限を付けて…)


「じゃあサブマスターにしといたから、はいこれ動かせるか弄ってみて。」

 タブレットをリリスに手渡す。


「はい。……動かせます、ありがとうございます、マスター。」


「いいんだいいんだ、それで何か良いことを思いついたら俺に教えてくれ。サブマスター君?」


「はい、お任せください、マスター。」


「これから長い付き合いになるだろうから、改めてよろしく。」


 俺の右腕、ダンジョンのサブマスターとして、リリスが就任した。

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