第16話 おすすめのチート


 4月17日? ??:??

「このギフトは文字通りの意味ですか?悪性排除って言うのは?」


『言語理解は文字通りだ。書く読む話すがスムーズに行えるようにする。不老は文字通り不老。今現在の22歳で情報を固定される。魔力眼も文字通り、魔力を認識できる眼だ。これは魔力を扱うからには外せない。悪性排除は毒物・ウィルス等の身体に害を及ぼす物質の排除だ。』


「病気と毒殺が効かないのはありがたいです。ありがとうございます。」


「それで…、あの、おすすめみたいな力はありますか?」


(チートくれるって言われても、そんなすぐには出ないよ…。スキルとかステータスじゃないらしいし。)


『おすすめ…。お前が復讐をどういった手段で達成しようとしているかで変わるな。3つ挙げれば、自分の手か他人の手、時間をかけて確実にかでも変わってくる。』


「…すみません、それぞれどんな力になるのか教えていただけませんか…?」


『自分の手で達成するならば、お前本人に超人的な力だ。圧倒的な個になれる力。デメリットは、我との接続を維持するための力を使う必要があること。』


『他人の手でも良いなら、支援能力型か精神干渉型だ。我からの報酬を他者に付与して強化する力、または精神に干渉する力で、イステルへの信仰心を捨てさせる。デメリットは維持のための力と裏切りの可能性があること、社会的な影響力を得る必要がある上に時間がかかること。』


『時間がかかっても確実性を取るならば、拠点防衛・侵略型だ。拠点を設定し、そこを維持しながら勢力を拡大し、最終的に地上を勢力圏に収める。デメリットはお前個人の強化が遅くなる上に、時間がかかること。』


(それなら3つ目がデメリットが少なくて良いんじゃね?不老で寿命が無くなるらしいし、別に強くなりたい訳じゃない。異世界人はみんなアホみたいに強いみたいだし…)

「拠点防衛・侵略型を詳しくお願いします。」


『拠点防衛・侵略型は所謂[ダンジョン]だ。莫大な魔力に超圧力をかけて変質、物質化させた[ダンジョンコア]を作る。それを使って空間を歪めたダンジョンを作成し、生物を呼び込む。召喚・生成した魔物を使役し、人間と戦わせる。[ダンジョン]は移動式では無い分コストも節約出来る。』


「魔物と魔獣は召喚だったり、コアが生み出したりするんですか?」


『召喚も可能だが、最初期は悪魔類のみが無難だな。他は契約で縛る必要がある。交渉出来る悪魔でないと召喚した瞬間襲われる危険がある。戦闘可能な手駒が出来てから他を召喚、契約すればよい。』

『それとコアによる生成も可能だ。お前の魔力を原料にして設計図通りに生成することが出来る。』


「なるほど…。悪魔は交渉可能と。設計図というのはまた情報次元から引っ張ってくるのですか?」


『そうだ。与える力の7割ほどを使えば、召喚・生成機能、階層拡張機能、空間操作機能、魂の捕獲・転送機能、我との接続維持が付与出来る。これらの機能は削ることも出来る。』


「なるほど。俺の強化じゃなくて機能の強化なんですね。」


『コアは可動式で無い分、我との接続を固定出来る。固定することで、移動式のコストの1割で実現可能だ。情報次元からの生成能力を落とせばお前自身の強化にもコストを回せるがどうする?』


「ん?落とすとどうなるんですか?あんまり弱いやつだけだと困ると思うんですが…」


『能力を落としても…、竜種や幻獣種などの比較的強力な種族は生成可能だ。だがその程度の種では人間でも狩れる者は多くはないが存在する。今我が削るか聞いているのは、女神すら殺すことが可能な生物の生成能力だ。』


「…そんな化け物みたいな生き物まで作れるんですか…。」


『可能だが、強力な生物になればなるほど巨大になる。その場合は階層拡張機能と空間操作機能は外せない。この2つが無ければダンジョン内に入らないほど身体が巨大だ。』

『だが、その分強い。所詮はまだ肉体を持った下等な生命体だが、周囲の空間ごと食らう能力、精神に干渉する能力を持つ種も存在する。』


『これらの種の空間干渉と精神干渉は、情報生命体でも殺傷することが可能だ。』


「…そいつらが作れれば、女神を殺せると?」


『生成出来れば充分に可能だ。精神干渉型が2、空間干渉型が1で確実に勝てる。だがその分エネルギーが必要だ。今現在イステルシアに存在する全ての生物を殺しても1体分に届かない。』


「そんな…、それじゃあ絶対に不可能じゃないですか!」


『そうでもない。魂に情報量を増やす、または生物の数を増やせば、我が変換可能なエネルギーを増やすことが出来る。そうだろう?』


「……。俺に文明を進めろということですか?」


『そういう訳では無い。惑星上の人間種全てを殺しても女神はいずれ死ぬ。信仰が途絶えれば痩せ細っていつかは消滅する。だが元がそれなりの生命体だ。最短でも1万年は保つだろう。』


「分かりました。イステルシアの文明が目的では無いのであれば、女神を殺した後、元イステルシアは俺の縄張りとして認めていただけますか?」


『いいだろう。お前の西木圭人さいきけいとの縄張りとして認めてやる。魂のエネルギー化も代行してやろう。家族の再生もそのエネルギーで賄えばよい。』


「あなたは…、俺を使って何をしたいんですか?報復の権利だとか言ってましたけど、あなたなら一発殴るくらいのことは簡単なはずです。」


『もちろん、簡単だ。だがそれでは面白くない。…我はな、暇なのだ。退屈だけが唯一我を殺せると言っても良い。暇すぎて死にそうになっていたところにこれだ。』


『我から菓子を奪い、蟻を虐める悪ガキ。蟻を憐れんだ我はその蟻に毒を与える。ただそれだけだ。虐めた蟻に殺されようとそれは因果応報というやつだ。蟻に殺される悪ガキを遠くから眺めているのは何の問題も無い。だろう?』


 *


『我のことはよい。お前の力のことだ。拠点防衛・侵略型だが、残った3割はどうする。お前の魔力量拡張なら力を1割使って20万。基本的には成竜の竜種:ドラゴンの生成には50万程の魔力を使う。』


「生成のタイミングは分けても大丈夫なんですか?」


『生成の魔力供給は分けても問題無い。だが供給した魔力は少しずつ霧散する。時間をかければかける程必要な合計量は多くなる。』

『魔力の回復速度は器が大きくなればなる程に早くなる。そこに呼吸法や操作力で更に効率良く魔力を取り込める。お前なら何もしなくても、1時間に2万程度で10時間でほぼ全快する。』


(うーん…。2割使えば時間がかかるけどドラゴンを充分に生成出来る範囲で…。どうするか…。向こうの情報もかなりざっくりした情報しか無いし。)


(でも魔力量は一応増やせる要素みたいだし、ある程度は欲しいけど、後からどうにかなる気がする。それよりも…。)


「向こうに行く時にサポートしてくれる生命体が欲しいと言ったらどんなものになりますか?」


『それは欲しい機能によって変わる。情報が欲しいなら保管庫から情報をインプットする。戦闘型なら2割で竜種の討伐が可能な個体を用意出来る。』


(うーん…。2割でドラゴンクラスか。それだったら2割40万の魔力にして自分で作った方が良いよな。魔力は回復するんだから、1回のドラゴンより絶対に得だ。となると情報か…。)


「情報で1割だとどのくらいの情報量ですか?」


『情報は1割使用で、周辺国の情勢。大まかな市場の物価。一般的な魔法陣・魔術陣・錬成陣・召喚陣。魔物魔獣の生態などの一定数以上の人間が知っている事柄をインプットする。』


(これは絶対に必要!1割使用は確定!)

「それが2割になるとどうなりますか⁉︎」


『2割使用で、全世界の情勢、リアルタイム更新の物価値。出回らず秘匿されていたり一部は失伝した魔法陣・魔術陣・錬成陣・召喚陣。魔物魔獣のデータバンクをインプットする。』


(うわー!欲しい!欲しいけど情勢と物価はそこまででも無いんだよな…。周辺国で充分だし、大体の物価でいいし。)


「情報は報酬の力を使って後からでも手に入れることは出来ますか?」


『可能だが、手間がかかる分今ここで得るより割高になる。』


「ありがとうございます。」

(後でも平気なら1割で充分だな。まずは一般的な情報を知っておけば問題無いはず。)


(うーん…。それでも悩むな。戦闘1割だとどうなんだろ?ドラゴン半分ってどれくらいだよ?)


『1割であれば…。ミノタウロスやキメラと同等だな。2体いればドラゴンと相討ちか一歩及ばずという程度だ。』


「あ、…ありがとうございます。」

(そうだ、心読まれてるんだった。まぁそれはいいとして…。戦闘力も1割でいいかな?そこらの一般人にそのクラスがゴロゴロいるとは思えないし、魔力20万でもう1体作っておけばほぼ安心出来る。)


(よし、俺に魔力を1割、サポートに戦闘、情報1割ずつにする!)


「決めました!俺に1割、サポートに…、」


『分かっている。それでサポートの魔物はどうする?ミノタウロス、キメラ、魔獣ならガルム、オルトロスといったところか?』


「あ、…そいつら喋れないんじゃ…?」


『あぁ、会話は出来ない。ガルムとオルトロスなら念話が可能だが。』


「あの、それなら悪魔とかはどうなんでしょう?」


『悪魔ならデーモンかハイデーモン辺りだな。大した差では無いがハイデーモンの方が多彩なはずだ。』


「悪魔は喋れますよね?人語は喋れますよね?」


『あぁ、会話は可能だ。それでハイデーモンでいいか?男と女型どちらにする?』


(ん⁉︎そっか!悪魔にも性別があるんだ!)

「女型でお願いします!」


『分かった。ではお前に与える力は拠点防衛・侵略型のダンジョンコア。能力は召喚・生成機能、階層拡張機能、空間操作機能、魂の捕獲・転送機能。女型のハイデーモンに情報、戦闘力を2割分。お前の魔力量拡張に1割。これで決まりでよいな?』


「はい。問題ありません。」


『よし、これに追加で我からの誕生日プレゼントを贈ろう。元々ハイデーモンにはそれなりに高度な魔法技術が備わっている。その情報が被る分も合わせて、我から武装を贈る。槍と剣、どちらが欲しいか?おすすめは槍だ。懐に入られると弱いが、お前は前に出る機会は少なかろう。投げることも出来る槍がおすすめだ。』


(ありがてぇけど、実質1択…。まぁその通りだよな。剣は距離近いから怖そうだし。)


「ありがとうございます。槍でお願いします。出来れば投げたら手元に戻ってくるタイプで。」


『よし、それでは決まりだ。』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る