東の魔女(ショートショート)

東の魔女

ああ、また私は

死ぬのね。

異世界に巻き起こるという竜巻

それに乗って少女がここへやってくる

少女の家ごと。

そしてそれは

私の上へ降ってくる。

何度繰り返しても変わらない

何度逃れようとしても避けられない

変わらない私の結末

東の魔女

それはマンチキンの人々を虐げ、独裁していた悪い魔女

…ではなかった。

西の魔女の妹

それだけで私も悪い魔女だと思い込まれた

姉さんのせいで全くもって良い迷惑である

私はただ

時の魔法を守る番人であり

時の魔法を使役する代償に両足が使えなくなった

残念な魔女だ

マンチキンの人々に何もしてあげられないのは非常に心苦しい

おまけに足が不自由だから何かと頼まなければならない

私の力を込めて作ったこの銀の靴がなければ

私は立つこともできない

私の力はもう弱い

自分で歩きたいがために作ったこの靴に

随分力を吸われている

銀の靴の力は増すばかりなのに

私は自分の老いすら止められない

だけど

私が弱いと知れてはならない

国の主が弱くては侵略を許してしまう

今日も私は嘘をつく

「マンチキンたちよ！日が昇し東の民よ！誇り高きこの大地を、今日も耕し苗植えて、作物豊かな国とせよ！大地と共に我らあり！時空と共に我らあり！強大な力を持つ我に従い、示す道を歩むのだ！」

「東の魔女様、ばんざーい！」

いつもの朝礼と

マンチキンたちの壮大な返事が響き渡る

そう

私がいなくなっても

みんなが育てたこの大地で

緩やかに過ごせるように

静かに祈る

時の魔法が私に告げる

私の終わりの

その瞬間まで