チャルダッシュ

 渋谷ハロウィンをしよう、と大学の友達に誘われたので私は快く了承をした。


 私は、四国のそれはそれは田舎出身で、大学を期に上京した。


 東京生活ももう半年たつがそれでも未だに方言が抜けない。


「ええよ」


 私は言った。


 友達は「ええよだって~かわいい」と言って鼻で笑っていた。




 ところで、東京の人はおしゃれで、流行の最先端を走っている。


 なので私のようなかっぺは日夜馬鹿にされないよう、東京人のものまねに奔走している。


「来週のハロウィンはなんの仮装をしようかなぁ」


 私は友達に「何着る?」とラインを送る。


 すると「メイド服とかナースとかミニスカポリスかな!」と返事が来た。


 なるほど職業の制服ね。


 私は消防服を買いに行った。



 当日の渋谷は熱気がすごかった。


 皆とんちきに騒ぎ、正気を失っているのだ。


 目の前ではパリピたちが路上で酒を飲み、数人の団体が路上に停まっていた車を横転させていた。


「クレイジージャパン・・・」


 私は思わずそう口にしていた。


 なるほどね、同じアホなら踊らにゃ損!


 これは田舎のばあちゃんの格言なのだが、私はこの言葉が好きだった。


 そして、私は近辺のガソリンスタンドからガソリンを盗み、ハチ公にぶっかけて、着火した。


 あたりは騒然となって、ハロウィンというより、きよしこの夜という感じがした。


 騒ぎを聞きつけた消防士がやってきて私の姿をみるなり腕を引いてこういった。



「おい、ぼーっとしてないで早く消火しろ!」

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