歪み
双子の妹は生まれたときから重い罪だった。
田舎の旧家に生まれた俺と、罪深い妹は小さい時から差を付けられて育てられてきた。でも俺は妹のことが大好きだった。家族から疎まれ蔑まれても、いつもニコニコしていた。祖母に気持ち悪い子だね、と言われ頭をよくはたかれていた妹は、俺とよく似た相貌でとても美しかった。
そのうち俺は小学生になって学校に通うようになったが、妹は当然のごとく通わせてもらえなかった。村人にも俺は旧家の一人息子として通っている。この村に妹の存在など最初からあっていないのだ。
それからまた、9年が経ち、俺はもうすぐ高校生になる。
ある日中学校の給食でプリンがでたので、俺はそっとカバンに忍ばせた。そして家に帰り、深夜になると布団から抜け出し懐中電灯を手に取って広い庭に出る。
そして庭の奥にある蔵の門をコッソリと開け、体を滑らす。懐中電灯をつけてからガラクタを押しのけて蔵の最深部へ向かうと、蔵の中にも関わらず、木で組まれた牢屋がそこにはあった。
「遅くなってごめんね」
俺は中にいる妹に近づいて、懐に忍ばせたプリンをとりだして妹に食べさせた。妹は相変わらずニコニコしながら口を開けていた。こうやって手ずからプリンを与えていると双子なのにまるで親鳥になった気分だった。でも鳥は大空へ羽ばたいていけるけれど、妹はどうなんだろう。一生この薄暗い座敷牢の中で美しく儚く、死んでいくのだろうか。
ふと妹に目をやるとニコっと微笑まれた、あまりにもその顔が綺麗だったので俺は柵越しに顔を近づけて妹にキスをした。
一生、ここで俺だけのものでいるのもいいな、と俺は笑った。
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