疲れた裏切り

 浴びるように酒を飲む。目の奥が熱い。

「これで何度目?」


 Yがいつものように半笑いの引き攣れた顔をしながら私にそう言う。


「うるさいなぁ」


 私は大声で怒鳴りつけた。

 Yとは3か月前に出会った元カレで、先ほど別れ話をしたばかりだった。

 あんなに熱烈に告白をしてくれたのに、次こそは結婚できる運命の相手だと思っていたのに。


「これで何人目よ」


 私は、アルコール臭い息を吐きながら、叫ぶように言った。


「その酒癖の悪さと、ヒステリックが原因じゃないの?」


 Yは相変わらず、目元をニヤニヤさせながら、言葉を続けた。


 そう、ヒステリック。自分でも分かっているのだ。

 でもしょうがないじゃない、男って私をいらだたせるもの。


 そうするとなんだか情けなくなってきて、涙がつるつると頬を伝った。


「ごめんね」


 私は思わず謝罪の言葉を口にした。


 するとYは、今までの飄々とした態度を一変させ、さっと目を吊り上げながら


「今更おせぇんだよ!!メンヘラが!!!気持ちわりぃ!!!!」と金切声で怒鳴ってきた。

 

私はびっくりして、手でYを振り払った。


 すると、Yはフッと消えて、目の前には動かなくなった物体が倒れていた。


「私だって、私だって治したいよ・・・」


 私は、私への裏切りに、いい加減疲れ切ったいた。

 

 物体の横に倒れていた酒瓶を手に取り、中身を一気に煽った。

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