第2話 夢
幼いころの夢は何だったか........今となってはどうでもいいことに思える。でもなぜかたまに思い出してしまうのだ。
「僕ね、お父さんたちみたいな幸せな家族を持ちたいの」
あの時、父さんや母さんはなんて言ったんだっけ......?.......あれ?おかしいぞ........思い出せない。.........もうどうでもいいか。そうして俺の大切な何かは崩れていったのだった。
重たい瞼を開けて辺りを見回す。時刻は午前三時、どうやらスマホをみたまま眠ってしまったようだ。しかし、辺りを見た限り、やつは帰ってきてないようだった。
俺は今、何をしたいんだっけ.......?あれ.......なんで思い出せないんだ?
何かがおかしい。しかし俺はそれを気にも留めずスルーした。
やつが帰ってくるまでの間、俺は...................何をしてたんだっけ?
※
バンっと机をたたく音があたりに響く、案の定、それを褒めるものは誰一人いなかった。結果、こっぴどく怒られたのだ。(今も継続中)
「何をしてるんだね君は!なんで捕まえなかったんだ!!」
またバンっと腹立たしいのか何度も机を叩く、やはりこいつは名誉や地位のために動いていたか。ここで俺は先の質問に嘘偽りなく伝える。
「このデータを取り戻すことで頭がいっぱいいっぱいでした」
明らかにその最高責任者はチッと舌打ちし、嫌そうな顔で今回の独断行動の訳を聞いてきた。これに関しては大嘘をつくつもりで俺は言った。
「犯人をいち早く捕まえたかったからです」
どこかで「それでこのざまかよ」と言う男の声がし、辺りはざわざわしていた。
「みな静粛に..........君にはがっかりだよ。数々の功績を挙げてた君には結構、評価していたのにねぇ」
俺は心の中でお前に評価されても嬉しくないんだよバーカ!と言うも、言葉にはならずに代わりに深々と頭を下げて「申し訳ございませんでした」と強く言った。
「で彼は君の車の中かね?」
ようやくかと内心ほっとするもまた気を引き締めて「はい、今は車でおとなしくしています」と伝える。
「ここに連れてきてくれ」
知らないだろうが俺は上層部の連中が嫌いだ。なぜならつくづく偉そうだからだ。
しかし、逆らえば即クビ☆があるため、逆らいたくても逆らえないという所謂、痒いところに手が届かない状態のため。しかたなくそう、仕方なーく従っているのだ。
過去の功績が何だっていうんだと陰でいろいろ愚痴をこぼしてるが今まで問題にされてなかったのは評価しているやらなんやら言う功績のお陰もあり、外面がいいので無問題(モーマンタイ)なのだ。
「はい、ただいま」
俺は180°右回りするとゆっくりと足をドアの方へ進めていった。帰り際、見ると時刻は午後4時を回っていた。(........案外、怒られる時間長かったんだな)
※
やつが来ると時刻は4時半を過ぎていて、少し眠かった。だが俺はそれをなんとかこらえて奴に案内されるがままその場へ向かう。
向かう途中、やつは一言「気をつけろ」と言ったきり何も話さない。おそらく俺はドアを開けた瞬間のある程度の予測はしていた。
ドアを開けるとそこには案の定数えきれない程の拳銃が俺に向けられていた。
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